契約の申し込みフォームに「最終確認画面」が必要なのは法律事項で、多くの個人経営者が違反してるかも | 個人経営者・女性起業家のための法律とWEBの基礎知識(神戸・大阪)

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法律とWEBの専門家、消費者法務コンサルタントの赤松です。消費者センターで11年間で15万件以上の相談を経験した元行政技術職員が、契約や取引の法律対応やWEB情報発信をサポートします。一般社団法人はりまコーチング協会 代表理事。ITコーディネータ。

「問い合わせフォームの「確認画面」は法律事項ではありませんが「安心プロセス」とよんでいます」という記事を9/5に書きました。

そこに『通信販売の申し込みフォームになると確認画面は法定事項になります。追って解説したいと思います。』としましたが、ついに、その日がやってきました。


そして、タイトルにもあるように、個人でホームページを作っている場合や格安業者にホームページを作ってもらったときに、できていないことが少なくないのです。

「顧客の意に反して契約の申込みをさせようとする行為」とは

前回の「特定商取引法の通信販売の行政処分(指示、業務停止、業務禁止)では氏名等が公表されます」の中で、第7条(指示等)には違法行為について具体的に書かれており、「顧客の意に反して通信販売電子メール広告委託者に対する通信販売に係る売買契約又は役務提供契約の申込みをさせようとする行為として主務省令で定めるものいます」を紹介しました。

実は、これが、「最終確認画面」が必要な理由なのです。

3つの具体例な違反事項(特定商取引法施行規則第16条第1項)

  • ①電子契約の場合、それが電子契約の申し込みとなることを容易に認識できるようにしていないこと
  • ②電子契約の場合、申込みの内容を容易に確認し及び訂正できるようにしていないこと
  • ③書面契約の場合、それを送付することが契約の申し込みとなることを容易に認識できるようにしていないこと

①②は電子契約なので、みなさまのホームページ等のことを指しています。このシリーズで解説していることですね。

③は、具体的には「はがき」等のことで、「資料請求」や「無料プレゼント」とハガキに大きく書いてるのに、実は資料請求だけではなく「契約の申込み」でもあったというような場合になります。

そして、一番大事なポイントである①「契約の申し込みとなることを容易に認識できる」②「申込みの内容を容易に確認し及び訂正できる」とは、具体的にどのような表示を指すのかについては、この2項目を解説するためのガイドライン(消費者庁「インターネット通販における『意に反して契約の申込みをさせようとする行為』に係るガイドライン」)が出ているぐらい重要なポイントなのです。

「フォームズ・フォームメーラー・リザーブストック」などの外部サービス

アメブロを使っている場合は、外部フォームである「フォームズ」や「フォームメーラー」、「リザーブストック」などを使っている方もいると思いますが、その場合は「確認画面」はありますが、その画面に書くべき事項が十分ではない場合があります。

つまり、問い合わせフォームを契約の申込みフォームにしている場合には最終確認画面に表示すべき事項があり、特に、価格などが抜けていることが多いのではないでしょうか。

そもそも最終確認画面に何を表示しなければいけないの?という疑問もあるかもしれません。

念のために言っておくと、事業者はプロなのですから、知ってて当然の法律知識で、知らなければ法律違反で処分を受けたり、消費者から苦情を受けたりすることがあるということですね。

詳しくは次回以降に解説します。なお、根拠条文を参考までに紹介しておきます。

特定商取引法施行規則

(通信販売における禁止行為)
第十六条 法第十四条第一項第二号の主務省令で定める行為は、次に掲げるものとする。
一 販売業者又は役務提供事業者が、電子契約(販売業者又は役務提供事業者と顧客との間で電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信技術を利用する方法により電子計算機の映像面を介して締結される売買契約又は役務提供契約であつて、販売業者若しくは役務提供事業者又はこれらの委託を受けた者が当該映像面に表示する手続きに従つて、顧客がその使用する電子計算機を用いて送信することによつてその申込みを行うものをいう。この号及び次号において同じ。)の申込みを受ける場合において、電子契約に係る電子計算機の操作(当該電子契約の申込みとなるものに限る。次号において同じ。)が当該電子契約の申込みとなることを、顧客が当該操作を行う際に容易に認識できるように表示していないこと
二 販売業者又は役務提供事業者が、電子契約の申込みを受ける場合において、申込みの内容を、顧客が電子契約に係る電子計算機の操作を行う際に容易に確認し及び訂正できるようにしていないこと
三 販売業者又は役務提供事業者が、申込みの様式が印刷された書面により売買契約又は役務提供契約の申込みを受ける場合において、当該書面の送付が申込みとなることを、顧客が容易に認識できるように当該書面に表示していないこと。
2(以下省略)

さらに、電子消費者契約法も関係してきます。これについても解説したいと思います。

電子消費者契約法(正式名称は「電子消費者契約に関する民法の特例に関する法律」)

第一条 この法律は、消費者が行う電子消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示について特定の錯誤があった場合に関し民法の特例を定めるものとする。

 

通信販売の規制シリーズ 
通信販売の定義シリーズ