源氏物語イラスト訳【末摘花91】驚顔 | 【受験古文速読法】源氏物語イラスト訳
2023年01月02日

源氏物語イラスト訳【末摘花91】驚顔

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命婦を呼ばせたまふ。今しもおどろき顔に、

「いとかたはらいたきわざかな。しかしかこそ、おはしましたなれ。…」

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【これまでのあらすじ】

故常陸宮の姫君の噂を聞いた光源氏は、「零落した悲劇の姫君」という幻想に憧れと好奇心を抱き、大輔命婦に手引きを頼んでようやく逢瀬を迎えます。

 

【源氏物語イラスト訳】

 

命婦呼ばたまふ

訳)大輔命婦呼び出させなさる

 

 

今しもおどろき、「いとかたはらいたきわざかな

訳)今初めてはっと気がついた、「とてもきまり悪いことだわ

 

 

しかしかこそおはしましなれ。…」

訳)これこれで、いらっしゃっそうよ。…」

 

 

【古文】

命婦呼ばたまふ今しもおどろき

いとかたはらいたきわざかなしかしかこそおはしましなれ。…」

 

【訳】

大輔命婦呼び出させなさる今初めてはっと気がついた

とてもきまり悪いことだわこれこれで、いらっしゃっそうよ。…」

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

■【命婦】…大輔命婦。光源氏の乳母子のひとり

■【を】…対象の格助詞

■【呼ば】…バ行四段動詞「呼ぶ」未然形

■【せ】…使役の助動詞「す」連用形

■【たまふ】…尊敬の補助動詞(作者⇒光源氏)

■【今しも】…今はじめて「しも」は強意

※【し】…強意の副助詞

※【も】…強意の係助詞

■【おどろき顔】…はっと気づいたような顔

■【に】…状態の格助詞

■【いと】…とても

■【かたはらいたき】…ク活用形容詞「かたはらいたし」連体形

※【かたはらいたし】…きまり悪い。苦々しい

■【わざ】…こと

■【かな】…詠嘆の終助詞

■【しかしか】…これこれ。かくかくしかじか

■【こそ】…強意の係助詞(結び;「なれ」)

■【おはしまし】…サ行四段動詞「おはします」連用形

※【おはします】…「来」の尊敬語(大輔命婦⇒光源氏)

■【た】…完了の助動詞「たり」連体形撥音便の無表記

■【なれ】…伝聞の助動詞「なり」已然形

 

重要古語一覧はこちら

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☆本日の『源氏物語』☆

 

光源氏が、常陸宮邸にやって来て、大輔命婦を呼び出させました。

 

命婦は、大仰におどろいたふりをして、

常陸の姫君に、誰がどういう経緯でやって来たのかを説明します。

 

「しかしか」は、今で言う「かくかくしかじか」のことですね。

 

口笛

 

「た・なれ」という表現がありましたが、

」の文法、分かりましたか?

 

後接の「なれ(なり)が伝聞・推定の場合、

直前がラ変型(終止形がuでないもの)ならば、

連体形がつきますよね。

 

すると、この「なり」は、断定の助動詞なのか、伝聞・推定の助動詞なのか、わかりません。

 

したがって、「なり」が伝聞・推定の場合に限って、

直前のラ変型は、撥音便となる場合が多い、

さらに、その撥音便が無表記になる場合もある。

…という法則があります。

 

 

チューチューチュー


 

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