源氏イラスト訳【若紫321】面痩せ
「夜昼恋ひきこえたまふに、はかなきものもきこしめさず」
とて、げにいといたう面痩せたまへれど、いとあてにうつくしく、なかなか見えたまふ。
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【源氏物語イラスト訳】
「夜昼恋ひきこえたまふに、はかなきものもきこしめさず」
訳)「夜昼となく恋い慕い申し上げなさるので、ちょっとした物もお召し上がりになりません」
とて、げにいといたう面痩せたまへれど、
訳)と言って、なるほど、とてもひどく顔がやつれなさっているけれど、
いとあてにうつくしく、なかなか見えたまふ。
訳)とても上品でかわいらしく、かえって美しく見えなさる。
【古文】
「夜昼恋ひきこえたまふに、はかなきものもきこしめさず」
とて、げにいといたう面痩せたまへれど、いとあてにうつくしく、なかなか見えたまふ。
【訳】
「夜昼となく恋い慕い申し上げなさるので、ちょっとした物もお召し上がりになりません」
と言って、なるほど、とてもひどく顔がやつれなさっているけれど、とても上品でかわいらしく、かえって美しく見えなさる。
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■【夜昼】…一日中。昼夜問わず
■【恋ひ】…ハ行上二段動詞「恋ふ」連用形
■【聞こえ】…ヤ行下二段動詞「聞こゆ」連用形
※【聞こゆ】…謙譲の補助動詞(少納言乳母⇒故尼君)
■【たまふ】…尊敬の補助動詞(少納言⇒若紫)
■【に】…順接の接続助詞
■【はかなき】…ク活用形容詞「はかなし」連体形
※【はかなし】…ちょっとした
■【もの】…ここでは、食べ物の意
■【も】…強意の係助詞
■【きこしめさ】…サ行四段動詞「きこしめす」未然形
※【きこしめす】…「食ふ」の尊敬語(少納言乳母⇒若紫)
■【ず】…打消の助動詞「ず」終止形
■【とて】…~と言って
※【と】…引用の格助詞
※【て】…単純接続の接続助詞
■【げに】…なるほど。ほんとうに
■【いと】…とても
■【いたう】…ク活用形容詞「いたし」連用形ウ音便
※【いたし】…ひどい
■【面痩(おもや)せ】…サ行下二段動詞「面痩す」連用形
※【面痩す】…顔がやつれる
■【たまへ】…ハ行四段動詞「たまふ」の已然形
※【たまふ】…尊敬の補助動詞(作者⇒若紫)
■【れ】…完了(存続)の助動詞「り」已然形
■【ど】…逆接の接続助詞
■【いと】…とても
■【あてに】…ナリ活用形容動詞「あてなり」連用形
※【あてなり】…上品だ
■【うつくしく】…シク活用形容詞「うつくし」連用形
※【うつくし】…かわいらしい
■【なかなか】…かえって(美しい)
■【見え】…ヤ行下二段動詞「見ゆ」連用形
■【たまふ】…尊敬の補助動詞(作者⇒若紫)
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