源氏イラスト訳【若紫322】私がいる
「何か、さしも思す。今は、世に亡き人の御ことは、かひなし。おのれあれば」
など語らひきこえたまひて、
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【源氏物語イラスト訳】
「何か、さしも思す。
訳)「どうして、そんなにお悲しみなさるのか、いやその必要はない。
今は、世に亡き人の御ことは、かひなし。
訳)今となっては、もうこの世にいない方のことは、どうしようもない。
おのれあれば」など語らひきこえたまひて、
訳)私がついているので」などとお話申し上げなさって、
【古文】
「何か、さしも思す。今は、世に亡き人の御ことは、かひなし。おのれあれば」
など語らひきこえたまひて、
【訳】
「どうして、そんなにお悲しみなさるのか、いやその必要はない。今となっては、もうこの世にいない方のことは、どうしようもない。私がついているので」
などとお話申し上げなさって、
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■【何】…どうして~か
■【か】…反語の係助詞
■【さ】…そう。そんな(指示副詞)
■【し】…強意の副助詞
■【も】…強意の係助詞
■【思(おぼ)す】…「思ふ」の尊敬(兵部郷宮⇒若紫)
■【今は】…今となっては
■【世(よ)】…この世
■【に】…場所の格助詞
■【亡き】…ク活用形容詞「亡し」連体形
■【の】…連体修飾格の格助詞
■【御―】…尊敬の接頭語(少納言乳母⇒故尼君)
■【は】…取り立ての係助詞
■【かひなし】…しかたがない。どうしようもない
■【おのれ】…わたし
■【あれ】…ラ変動詞「あり」已然形
■【ば】…順接確定条件の接続助詞
■【など】…引用の副助詞
■【語らひ】…ハ行四段動詞「語らふ」連用形
※【語らふ】…親しく話し合う
■【きこえ】…ヤ行下二段動詞「きこゆ」連用形
※【きこゆ】…謙譲の補助動詞(作者⇒若紫)
■【たまひ】…ハ行四段動詞「たまふ」の連用形
※【たまふ】…尊敬の補助動詞(作者⇒兵部郷宮)
■【て】…単純接続の接続助詞
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「おのれあれば」とは、
「私がいるから大丈夫!」という励ましの気持ち。
お父さんから、こんなふうに言われたら、
若紫も心強いでしょうね。
しかし、彼は、このまま帰ろうとしています。