源氏イラスト訳【若紫303】四十九日忌
「…かくてのみは、いかが。もの怖ぢしたまはざりけり」とのたまへば、
「宮も御迎へになど、聞こえのたまふめれど、この御四十九日過ぐしてや、など思うたまふる」と聞こゆれば、
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【源氏物語イラスト訳】
「…かくてのみは、いかが。
訳)「…こうしてばかりいては、どうしたものだろうか。
もの怖ぢしたまはざりけり」とのたまへば、
訳)姫君はおびえたりはしなさらなかったよ」とおっしゃるので、
「宮も御迎へになど、聞こえのたまふめれど、
訳)「父宮もお迎えになど申し聞かせていらっしゃるようだけれど、
この御四十九日過ぐしてや、など思うたまふる」と聞こゆれば、
訳)今度の故尼君の四十九日忌が過ぎてからか、などと存じております」と申し上げると、
【古文】
「…かくてのみは、いかが。もの怖ぢしたまはざりけり」とのたまへば、
「宮も御迎へになど、聞こえのたまふめれど、この御四十九日過ぐしてや、など思うたまふる」と聞こゆれば、
【訳】
「…こうしてばかりいては、どうしたものだろうか。姫君はおびえたりはしなさらなかったよ」とおっしゃるので、
「父宮もお迎えになど申し聞かせていらっしゃるようだけれど、今度の故尼君の四十九日忌が過ぎてからか、などと存じております」と申し上げると、
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■【かく】…こう。このように
■【て】…単純接続の接続助詞
■【のみ】…限定の副助詞
■【は】…取り立ての係助詞
■【いかが】…どんなものだろうか。どうしたものか
■【もの怖(お)ぢ】…怖がること。おびえておどおどすること
■【し】…サ変動詞「す」連用形
■【たまは】…ハ行四段動詞「たまふ」未然形
■【ざり】…打消の助動詞「ず」連用形
■【けり】…詠嘆の助動詞「けり」終止形
■【と】…引用の格助詞
■【のたまへ】…ハ行四段動詞「のたまふ」已然形
※【のたまふ】…「言ふ」の尊敬語(作者⇒光源氏)
■【ば】…順接確定条件の接続助詞
■【宮(みや)】…父宮である、兵部郷宮をさす
■【も】…添加の係助詞
■【御―】…尊敬の接頭語(少納言の乳母⇒若紫)
■【に】…目的の格助詞
■【など】…引用の副助詞
■【聞こえのたまふ】…申し聞かせていらっしゃる
※【聞こえ】…ヤ行下二段動詞「聞こゆ」連用形
※【聞こゆ】…「言ふ」の謙譲語(少納言乳母⇒若紫)
※【のたまふ】…申し聞かせる
■【めれ】…推定の助動詞「めり」已然形
■【ど】…逆接確定条件の接続助詞
■【この】…指示連体詞。ここでは今度の、くらいの意
■【御―】…尊敬の接頭語(少納言乳母⇒亡き尼君)
■【四十九日】…四十九日の法要
■【過ぐし】…サ行四段動詞「過ぐす」連用形
※【過ぐす】…やり過ごす
■【て】…単純接続の接続助詞
■【や】…疑問の係助詞
■【など】…引用の副助詞
■【思うたまふる】…存じております
※【思う】…ハ行四段動詞「思ふ」連用形ウ音便
※【たまふる】…ハ行下二段動詞「たまふ」連体形
※【たまふ】…謙譲の補助動詞(少納言乳母⇒光源氏)
■【と】…引用の格助詞
■【聞こゆれ】…ヤ行下二段動詞「聞こゆ」已然形
※【聞こゆ】…「言ふ」の謙譲語(作者⇒光源氏)
■【ば】…順接確定条件の接続助詞
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光源氏が、若紫をもらい受けたいと提案しましたが、
実は、父宮(兵部郷宮)も、若紫を引き取る算段をしていたようです。
「四十九日」というのは、
故人が亡くなってから、四十九日めの忌のことをさします。
現代でもありますね。
…こんな、平安時代からの慣習なんですね~!!