源氏イラスト訳【若紫247】恐縮
「乱り心地は、いつともなくのみはべるが、限りのさまになりはべりて、いとかたじけなく、立ち寄らせたまへるに、みづから聞こえさせぬこと。…」
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【源氏物語イラスト訳】
「乱り心地は、いつともなくのみはべるが、
訳)「病気によるすぐれない気分は、いつもと変わらないばかりございますが、
限りのさまになりはべりて、
訳)いまわの際となりまして、
いとかたじけなく、立ち寄らせたまへるに、
訳)とてももったいなくも、(あなた様が)お立ち寄り あそばし たのに、
みづから聞こえさせぬこと。…」
訳)自分自身でご挨拶申し上げないこと(が恐縮です)。…」
【古文】
「乱り心地は、いつともなくのみはべるが、限りのさまになりはべりて、いとかたじけなく、立ち寄らせたまへるに、みづから聞こえさせぬこと。…」
【訳】
「病気によるすぐれない気分は、いつもと変わらないばかりございますが、いまわの際となりまして、とてももったいなくも、(あなた様が)お立ち寄り あそばし たのに、自分自身でご挨拶申し上げないこと(が恐縮です)。…」
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■【乱り心地】…病気によるすぐれない気分
■【は】…取り立ての係助詞
■【いつ】…いつも
■【と】…引用の格助詞
■【も】…強意の係助詞
■【なく】…ク活用形容詞「無し」連用形
■【のみ】…強意の副助詞
■【はべる】…ラ変動詞「はべり」連体形
※【はべり】…「あり」の丁寧語(尼君⇒光源氏)
■【が】…逆接の接続助詞
■【限り】…いまわの際。臨終
■【の】…連体修飾格の格助詞
■【さま】…様子。ありさま
■【に】…変化の結果の格助詞
■【なり】…ラ行四段動詞「なる」連用形
■【はべり】…丁寧の補助動詞(尼君⇒光源氏)
■【て】…単純接続の接続助詞
■【いと】…とても
■【かたじけなく】…ク活用形容詞「かたじけなし」連用形
※【かたじけなし】…もったいない
■【立ち寄り】…ラ行四段動詞「立ち寄る」連用形
■【せ】…尊敬の助動詞「す」の連用形
■【たまへ】…ハ行四段動詞「たまふ」已然形
※【たまふ】…尊敬の補助動詞(尼君⇒光源氏)
■【る】…完了の助動詞「り」連体形
■【に】…逆接の接続助詞
■【みづから】…自分自身で
■【聞こえさせ】…サ行下二段動詞「聞こえさす」未然形
※【聞こえさす】…「言ふ」の謙譲語(尼君⇒光源氏)
■【ぬ】…打消の助動詞「ず」連体形
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尼君が光源氏に、
見舞いのお礼を述べている場面です。
「聞こえさせぬこと」とあるので、
尼君は、光源氏に、直接挨拶できていないことが分かります。
おそらく、女房の誰かを伝って、
別の部屋から光源氏に謝辞を伝えているのでしょうね。