源氏イラスト訳【若紫248】万一
「…のたまはすることの筋、たまさかにも思し召し変はらぬやうはべらば、かくわりなき齢過ぎはべりて、かならず数まへさせたまへ。…」
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【源氏物語イラスト訳】
「…のたまはすることの筋、
訳)「…おっしゃることの主旨が、
たまさかにも思し召し変はらぬやうはべらば、
訳)万一にもお気持ちが変わらないようでございますならば、
かくわりなき齢過ぎはべりて、
訳)このように分別のないような年齢を過ぎましてから、
かならず数まへさせたまへ。…」
訳)きっと一人前の女性として扱いなさってくださいませ。…」
【古文】
「…のたまはすることの筋、たまさかにも思し召し変はらぬやうはべらば、かくわりなき齢過ぎはべりて、かならず数まへさせたまへ。…」
【訳】
「…おっしゃることの主旨が、万一にもお気持ちが変わらないようでございますならば、このように分別のないような年齢を過ぎましてから、きっと一人前の女性として扱いなさってくださいませ。…」
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■【のたまはする】…サ行下二段動詞「のたまはす」連体形
※【のたまはす】…「言ふ」の尊敬(尼君⇒光源氏)
■【の】…連体修飾格の格助詞
■【筋(すぢ)】…主旨。事柄。方向
■【たまさかに~ば】…万一~ならば
■【も】…強意の係助詞
■【思し召し~】…お気持ちが~
※【思し召す(おぼしめす)】…「思ふ」の尊敬(尼君⇒光源氏)
■【ぬ】…打消の助動詞「ず」連体形
■【やう】…様
■【はべら】…ラ変動詞「はべり」未然形
※【はべり】…「あり」の丁寧(尼君⇒光源氏)
■【未然形+ば】…~ならば(順接仮定条件の接続助詞)
■【かく】…このように
■【わりなき】…ク活用形容詞「わりなし」連体形
※【わりなし】…どうしようもない。分別がない
■【齢(よはひ)】…年齢
■【過ぎ】…ガ行上二段動詞「過ぐ」連用形
■【はべり】…丁寧の補助動詞(尼君⇒光源氏)
■【て】…単純接続の接続助詞
■【かならず】…きっと。必ず
■【数まへ】…ハ行下二段動詞「数まふ」未然形
※【数まふ(かずまふ)】…一人前として扱う。数の中に入れる
■【させ】…尊敬の助動詞「さす」連用形
■【たまへ】…ハ行四段動詞「たまふ」已然形
※【たまふ】…尊敬の補助動詞(尼君⇒光源氏)
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尼君が光源氏に、
見舞いのお礼を述べている場面です。
「数まふ」というのは、
数の中に入れる、つまり、
若紫を一人前の女性として、
あなさたまの愛人の一人に数え上げてほしい、
ということです。
かなり、へり下った感じがしますけど、
この当時は、女性はこういう扱われ方が一般的だったのでしょうね。