【夕顔411-2】冬立つ日~「立冬」☆
イラスト解釈では
源氏物語イラスト訳で出てきた古文の
入試対応オリジナル問題を掲載しています☆
源氏物語イラスト解釈
【これまでのあらすじ】
天皇(桐壺帝)の御子として産まれ、容姿・才能ともすぐれていた光の君は、幼くして母(桐壺更衣)を亡くし、臣籍に降下、「源氏」姓を賜り、左大臣の娘葵(あおい)の上を正妻にもらいました。一方、帝の後妻である、亡き母によく似た藤壺宮(ふじつぼのみや)への恋慕、そして、中流の女空蝉(うつせみ)との一夜限りの情事、プライドの高い六条御息所(ろくじょうのみやすんどころ)との逢瀬…。光源氏は尽きせぬ恋を重ねていくのでした。
ただ今、「4.夕顔」の巻です。17歳の光源氏は、五条にひっそり住まう夕顔の君に恋をし、彼女を廃院に誘いますが、夕顔は物の怪に襲われ急死してしまいます。失意の中、喪も明け、光源氏はかつて関係のあった人妻の空蝉へ、そして一夜の逢瀬であった軒端荻へと、想いを馳せつつも、夕顔の四十九日を終えました。一方、伊予介と空蝉が地方へ下ることとなり、光源氏は一夜の関係を結んだ人妻の空蝉と和歌を交わします。
【今回の源氏物語】
「思へど、あやしう人に似ぬ心強さにても、ふり離れぬるかな」と思ひ続けたまふ。今日ぞ冬立つ日なりけるも、しるく、うちしぐれて、空の気色いとあはれなり。
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☆ 古文オリジナル問題~冬立つ日~☆
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「思へど、あやしう人に似ぬ心強さにても、ふり離れぬるかな」と思ひ続けたまふ。今日ぞ冬立つ日なりけるも、しるく、うちしぐれて、空の気色いとあはれなり。
問)傍線部の説明として最も適当なものを選べ。
1.今日は立冬であるのも空にはっきり現れていて、小雨がさっと降って
2.今日は立冬だというにもかかわらず、少しも寒くはなくて、ずっと曇り空であって
3.今日はとても冬寒い日だというのに、小雨ばかりがずっと降り続いていて
4.今日は著しく冬寒い日であったので、霙(みぞれ)のような雪が降ってきて
5.今日は冬の様子が立っていたので、雪もいちじるしく降ってきた様子で
古文読解のポイントは、次の3つです。
⑴ 古文単語を覚える
⑵ 古典文法(助動詞・敬語)をマスターする
⑶ 古文常識を理解する
今回は、古文常識です☆
「冬が立つ」という漢字を見ても分かるように
「冬立つ日」は「立冬」のことです。
【冬立つ(ふゆたつ)】
【連語】
…暦の上で冬に入る。立冬となる
*『全訳古語例解辞典(小学館)』より
そんな立冬に、
夏の思い出が過ぎ去ったという空蝉の歌は
よく映えて見えるものです。。。
「しるく(しるし)」は「著し」という漢字を当てて
「はっきりと」という意味の重要古語です。
また、「しぐれ」というのは「時雨」という
秋から冬にかけて降ったりやんだりする小雨のことです。
【うちしぐる(打ち時雨る)】
【自動詞:ラ行下二段活用】
①秋から冬にかけて、小雨がさっと降る。しぐれる
②(比喩的用法)涙ぐむ。涙にうるむ
*『全訳古語例解辞典(小学館)』より
今回は、もちろん情景描写の部分なので
①の意味ですね。
しかし、光源氏の心の中には
まさに、空蝉を想って
②の意味も含まれているのは
言わずもがな、でございます。
【答え】…1