【夕顔406-2】「なむ」の識別☆
イラスト解釈では
源氏物語イラスト訳で出てきた古文の
入試対応オリジナル問題を掲載しています☆
源氏物語イラスト解釈
【これまでのあらすじ】
天皇(桐壺帝)の御子として産まれ、容姿・才能ともすぐれていた光の君は、幼くして母(桐壺更衣)を亡くし、臣籍に降下、「源氏」姓を賜り、左大臣の娘葵(あおい)の上を正妻にもらいました。一方、帝の後妻である、亡き母によく似た藤壺宮(ふじつぼのみや)への恋慕、そして、中流の女空蝉(うつせみ)との一夜限りの情事、プライドの高い六条御息所(ろくじょうのみやすんどころ)との逢瀬…。光源氏は尽きせぬ恋を重ねていくのでした。
ただ今、「4.夕顔」の巻です。17歳の光源氏は、五条にひっそり住まう夕顔の君に恋をし、彼女を廃院に誘いますが、夕顔は物の怪に襲われ急死してしまいます。失意の中、喪も明け、光源氏はかつて関係のあった人妻の空蝉へ、そして一夜の逢瀬であった軒端荻へと、想いを馳せつつも、夕顔の四十九日を終えました。
【今回の源氏物語】
「荒れたりし所に住みけむ物の、我に見入れけむたよりに、かくなりぬること」と、思し出づるにもゆゆしくなむ。
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☆ 古文オリジナル問題~「なむ」の識別~☆
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「荒れたりし所に住みけむ物の、我に見入れけむたよりに、かくなりぬること」と、思し出づるにもゆゆしくなむ。
問)傍線部の説明として最も適当なものを選べ。
1.廃院から物の怪を引き連れてきたのは、さぞ恐ろしかったろう。
2.廃院での夕顔を死なせた事件は、とてもゆゆしき事態である。
3.廃院での出来事を思い出すにつけても、気味の悪いことである。
4.廃院での出来事は、きっと人に話したりはしないほうがよい。
5.廃院のことを思い出すにつけても、どうか夢であってほしい。
傍線部の説明問題では
基本的に、次の手順で考えます。
⑴ 傍線部一語一語の逐語訳
⑵ 主語をつかんで前後の状況確認
⑶ 特に前後含めた重要古語に着目
今回は
傍線部中に、重要古語「ゆゆし」が入っています。
「ゆゆし」はとても幅広い古語ですよね;;
【ゆゆし】
【形容詞:シク活用】
①神聖で恐れ多い。はばかられる
②不吉である。縁起が悪い
③はなはだしい。ひどい
④すばらしい。立派である
*『全訳古語例解辞典(小学館)』より
プラス・マイナス両方の意味のある古語なので
とても注意が必要です。
こういう古語での文脈判断だけをたよりに
文意を掌握しようとするのは
たぶん…失敗すると思います。
特に、センター試験は5択。
よっぽど、運が良くなければ
当たりませんよぉ~!
なので、一語一語を文法的にきちんと理解しておきましょう。
「荒れたりし所に住みけむ物の、我に見入れけむたよりに、かくなりぬること」と、思し出づるにもゆゆしくなむ。
傍線部最後の「なむ」は
文法識別問題でもよく出ます。
「なむ」が文末にある場合は
次の3つとなります。
「ゆゆしく」のように
未然形か連用形かわからない
形容詞の本活用が接続してる場合――
「―く+なむ。」なら、
「なむ」は係助詞
と覚えてしまいましょう!
形容詞の補助活用に接続しますし
実は、形容詞の補助活用の未然形に接続するんです。
…こういうのは
多くの古文に触れて慣れていくと
おのずと頭に入ってくるもんですよ。
【答え】…3