【夕顔129-2】思考力の高まる「に」識別問題☆
源氏物語イラスト解釈です
【これまでのあらすじ】
天皇(桐壺帝)の御子として産まれ、容姿・才能ともすぐれていた光源氏は、幼くして母(桐壺更衣)を亡くし、臣籍に降下した。帝の後妻である藤壺宮(ふじつぼのみや)が亡き母に似ていると聞き、思い焦がれるようになる。
ただ今、「4.夕顔(ゆうがお)」の巻。中流階級の空蝉(うつせみ)との仮初めの恋を経て、現恋人の六条御息所(ろくじょうのみやすんどころ)にも、正妻の葵上(あおいのうえ)のもとにも心が向かないでいる光源氏は、惟光(これみつ)の実家の隣家にひっそり住まう、夕顔の君に心惹かれ、こっそり通うようになりました。
【今回の源氏物語】
いかなることにかと心得がたく、女方もあやしうやう違ひたるもの思ひをなむしける。
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☆ 「に」の識別~こんな問題 ☆
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2020年から始まる新テストに向けて、
各大学では、思考力や判断力を問う問題が
今後、どんどん増えていくと思われます。
古文も、高校で習うような、
助動詞や単語覚えだけでなく、
常に「なぜ?」って疑問を持ち、
ちょっと考えながら理解するよう、
心がけるようにしましょう。
このブログでも、
思考力を高めるような問題を
随時アップしておりますので、
利用してねん♪
新テストの例題については、こちらから
ダウンロードして見ることができます。
ではここで、本日の思考力UP問題☆
いかなることにかと心得がたく、女方もあやしうやう違ひたるもの思ひをなむしける。
問)傍線部「に」と同じ種類の用法を、次の中から2つ選べ。
1.我も死に、聖も失せなば尋ね聞きてむや。(徒然草)
2.月出でぬ。桂川、月の明かきにぞわたる。(土佐日記)
3.夜中うち過ぐるほどになむ、絶えはて給ひぬる。(源氏物語)
4.継母なりし人は、宮仕へせしが下りしなれば、(更級日記)
5.さまでことごとしき病にもはべらず。(松浦宮物語)
6.むげにうちゆるべ見放ちたるも、心安くらうたきやうなれど(源氏物語)
まじ
「に」だったり、それ以外だったり…;;
なんじゃこりゃ;;
(/TДT)/
――でもね。
傍線部の「に」を、
直後の「―にか」と合わせてみると、
なんとなく、見えてくるんです。
【にか】
【連語:断定の助動詞+係助詞】
①~であろうか〈疑問〉
②~であろうか、いや~ない〈反語〉
【連語:格助詞+係助詞】
①~に…か〈疑問〉
②~に…か、いや~ない〈反語〉
*全訳古語例解辞典(小学館)より
前者の「にか(=~であろうか)」は、
基本的に、「にや」と同じ。
「に」は、断定の助動詞です。
例えば、
「間(あひだ)無く恋ふれにかあらむ(万葉集)」
この「にかあらむ」で、
「~であろうか」と訳します。
それに対して
「新羅へか家にか帰る壹岐(ゆき)の島(万葉集)」
の場合の「にか」は、
明らかに、「家に―帰る」のつながり!
Σ(・ω・ノ)ノ!
こういう「に」は、
たとえ「にか」のつながりであっても、
単なる、格助詞の「に」なんです。
これは、「にや」の場合も同じ☆
つまり、
「にか・にや」が、
「~あらむ」もしくはその内容が省略されている場合は、
「に」は断定の助動詞。
「~に…(動詞)」という「to」的なつながりであるなら、
「に」は格助詞となるわけです。
(o^-')b
また、「静かにや」とか、「むげにか」の場合の「に」は、
直前の様態を表す語により、
形容動詞の活用語尾になるんです。
Σ(・ω・ノ)ノ!
いかなることにかと心得がたく、
→直後の「と」より、「あらむ」の省略⇒断定の助動詞
1.我も死に、聖も失せなば尋ね聞きてむや。(徒然草)
→「な」の活用形から⇒完了(強意)の助動詞「ぬ」の未然形
2.月出でぬ。桂川、月の明かきにぞわたる。(土佐日記)
→「~にわたる」のつながりから⇒格助詞
3.夜中うち過ぐるほどになむ、絶えはて給ひぬる。(源氏物語)
→「ぬる」の活用形から⇒完了の助動詞「ぬ」の連体形
4.継母なりし人は、宮仕へせしが下りしなれば、(更級日記)
→過去「き」連体形「し」の直後⇒断定の助動詞「なり」の已然形
5.さまでことごとしき病にもはべらず。(松浦宮物語)
→直後の「はべり」は「あり」の丁寧⇒断定の助動詞「なり」の連用形
6.むげにうちゆるべ見放ちたるも、心安くらうたきやうなれど(源氏物語)
→直前の「むげ」(様態語)から⇒形容動詞「むげなり」連用形活用語尾
「1つ選べ」と問われたら、答えは→5のみ
「2つ選べ」と問われたら、答えは→4と5になるんです。
(-c_,-。)
正解…4・5