関係代名詞の目利き―制限的か非制限的か
うぇ~~~知らなかったぁ....(,,-_-).って少し大げさですが、みなさんGoogleの電卓機能って知ってました?「そんなもん知ってるわボケぇ!!」って声も聞こえてきますが、こんな便利な機能をワタシは知りませんでした。Googleの検索ボックス「1+1」と入力して「Enter」で答えが出るんです。引き出し開けて、電卓取り出して...とやってる間に計算できちゃうわけです。知らなかった人は試してみてください。因みに、足し算や掛け算以外にも、「1000 円をドルに」「5ポンドを韓国のお金に」なんて入力しても計算してくれます(Citibankと提携しているらしい)。結構、気づいていない便利な機能って、ほかにもあるんだろうなーと思いつつ、今週のレッスンです。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━翻訳力診断はこちら>>> http://www.babel.co.jp/shindan/free.htm━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━CONTENTS━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━【1】翻訳ワンポイントレッスン ~「関係代名詞の目利き―制限的か非制限的か」【2】今週のコラム ~ 「美しき乙女」━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━【1】 翻訳ワンポイントレッスン━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★関係代名詞の目利き―制限的か非制限的か 英語の関係代名詞には、制限(限定)的用法と非制限(非限定/連続)的用法の2 種類の用法があります。関係代名詞に導かれた部分が文意の形成に不可欠で、先行する名詞や名詞句の属性を限定するのが制限的用法です。一方、関係代名詞に導かれた部分は補足情報で、それを省いても文意が成立するような用法が非制限的用法です。翻訳時には、この2種類のどちらであるのかを必ず見分けてから訳す必要があります。実際によく使われるのは、that と which です。関係代名詞としてのthat は、事物と人物の両方について使われますが、どちらの場合も制限的用法です。which は、事物について使われ、制限的/非制限的の両用です。制限的用法のwhich は、at which、to which、in which などの形でも使われます。コンマを伴った , which … や挿入句の , which …, は、非制限的用法です。who やwhom、whose は人物や擬人化した事物に対して、where は場所や場合に対して使われます。これらは、いずれも制限的/非制限的の両用です。 [例文]翻訳してみよう━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━Visual Basic includes an online reference that you can use to learn moreabout the Visual Basic development environment and programming language.<ヒント>制限的用法のthatは、先行する名詞を特定の属性をもつものに限定する修飾節を導きます。Visual Basic は、グラフィカル・インターフェースを備えたプログラムをBasic 言語を使って作るためのソフトウェア・パッケージです。<直訳例>Visual Basic は、あなたがVisual Basic の開発環境とプログラミング言語についてより多くを学ぶために使うことができる一つのオンライン参照を含みます。 <翻訳例>★意訳する場合、次のどちらに訳してもかまいません。Visual Basic には、Visual Basic の開発環境とプログラミング言語について詳しく説明したオンライン マニュアルが含まれています。(後ろまくり訳)Visual Basic にはオンライン マニュアルが含まれているので、Visual Basic の開発環境とプログラミング言語について詳しく学習できます。(頭から訳)[今週の課題文]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━以下の文章を翻訳してみましょう。A DVD-RW is a DVD onto which you can burn information if you have a DVD-RW drive. (RW stands for "read-write.")<ヒント>苦し紛れに2つに切り分けて訳すと、前半が DVD-RW = DVD となって意味を成しません。DVD は、Digital Versatile Disc(デジタル多用途ディスク)の略で、そのままで通用します。burn(焼き込む)は、データを書き込むこと。★★★講師の模範訳例はこちら★★★http://www.babel.co.jp/magmag/09.html━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━【2】 今週のコラム Get IT! Got IT? アイティなっとく ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「美しき乙女」 関係代名詞の訳し方のパターン化を考えていて思い当たったのは、日本語には関係代名詞がないという、ごく当たり前のことでした。そんな時、テレビの古典講座で東大の先生が「乙女の美しき出で来たる」と言ったのを聴き、「こいつは使える!」と、思わず膝を叩いたのでした。この後置型の修飾法を応用すれば、多少もって回ったような言い方にはなりますが、英語の制限的用法の関係代名詞構文を、「ロッテのチョコレートでアーモンドの入ったやつ」という具合に日本語で模擬できます。 関係代名詞については、翻訳哲学が問題になります。文法構造は度外視し、日本語らしい日本語に翻訳すのなら、訳し方はどうでもよくなります。一方、原文と訳文がそれぞれ読者に与える効果を等価にするのだという翻訳理論の言い付けに従えば、意味内容と、それを伝えるプロセスや手段、つまり、関係代名詞構文自体も訳文に反映させるべきだということになります。しかし 、日本語に該当構造がない以上、それは英語らしい日本語に翻訳するということで、いささかparadoxical です。