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★『はるさめヌードル』


二重否定表現はわかり難いから避けるのが常識です。ところが、
そもそも二重否定か否かが疑問な場合があります。その一つが、
英語の must に当たる「なければならない」です。かつて、某
工業大学の先生は、これは二重否定だから、「する必要がある」
とすべきだと言いました。

以前、ヌードルのTVコマーシャルでの「よくなくない?」が議論
になりました。出演の俳優も、「いいの、わるいの、どっち?」
と、この言葉を発した二人連れの女性に尋ねていますが、「いい
んですよ」というのがその答えです。


字面だけ見れば、この表現も二重否定に見えますが、文脈からす
れば、明らかに「(これ、)いいじゃない?」と婉曲に同意を求
める表現です。それは、2 つの付加疑問文の短縮形だと考えれば
納得がいきます。つまり、「これ、よくない?」+「ね、そうじ
ゃない?」を省資源的に圧縮して言うと、「よくなくない?」に
なるのです。

「なければならない」は立派な慣用表現で、少なくとも、「わか
り難い二重否定」ではないと思います。