マニュアルなどの翻訳では、must や shouldの扱いに特に注意
が必要です。これらの助動詞の翻訳時には、表現の自然さと意
味の明確さの両方が要求されます。これらは、なるべく定型的
な表現に統一して訳し、義務や、否定形での禁止の意味が明確
に読者に伝わるようにしなければなりません。基本的には、must
と should を「…しなければならない」と「…する必要がある」
に定形訳すれば、両者のニュアンスの違いも訳し分けることが
できます。
しかし、パソコンのマニュアルのような「商業的技術文書」で
は、must に「しなければなりません」を当てると、「物言いが
キツくてお客様に失礼だ」とされることがあります。その場合、
意味の明確さのためには、should の訳と同じ「必要がある」を
使う必要があります。一方、should には、「…すべき」という
万能な訳があります。これは、書き手にとっては便利な表現で
すが、読み手は文脈から意味を推し量る必要があり、「読む速
度で理解できる」という理想とはほど遠くなります。
次回は例文を使ったレクチャーを行います。
■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■
翻訳力診断はこちら http://www.babel.co.jp/shindan/03.html
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━