『店長になるのが罰ゲームになった時代』

タケノコがどんどん竹になって行きます。一人前の竹になる成長のスピードには驚かされてしまいます。残念ながら人の成長は、そんなに早くいきません。若い竹の子は美味しいですが、若い人は未熟です。

『君は店長を目指さないの？』

『まったくその気はありません』

『どうして』

『だって店長になるなんて罰ゲームじゃないですか』

これは作り話ではなく、今の若いスタッフが普通に思っていることです。

残業や休日返上などせずにしっかり休みを取り、決まった給料で楽しく暮らす。

いわゆるワークライフバランスです。

店長の様に無理して働いて、家庭をかえりみず崩壊させ、離婚、身体を壊し、精神的に病む、などの働き方は、今の若い人達には理解されません。

『あの給料で休みなく長時間労働なんて、罰ゲームですよ』

『あんなに従業員に気を使って、上司にも気を使って、あげくに家族にも気を使ってるんですから、話になりません』

『あんなボロボロな姿見て、誰が店長になりたいなんて思うんですか？』

『まあそれでも高い給料もらってるなら多少は理解できますが、たいしてかわらない給料だったら罰ゲームですよ』

昔、店長職が憧れであった時代があります。

現場のスタッフから憧れの目を持って見られ、早く店長になりたいと思われていました。

いつか自分も店長になって、高い給料をもらって、良い生活をしたい。

しかし、もうそれは過去の遠いお話です。

団塊の世代のように、働いてたくさん稼ぎ、そのお金を使って人生を楽しむような価値観は、現在では影を潜めています。

現在は2人で働き、家も車も持たず、お酒もタバコもたしなまず、休日にはおにぎりを持って、自転車で公園に行き楽しむ。

結婚や子供さえ重荷と考える時代に、役職に就くために他を犠牲にする生活など選択はされないでしょう。

時代はハラスメントに厳しく、高いマネジメント技能を持たなければ容易に組織を動かすことはできません。

管理職にとって難しい時代です。

こんなデータがあるそうです。

現場は恒常的にスタッフが足りない状況であり、自分の仕事をする時間さえ作れない現状にあります。

しかし一般社員に無理な就業を頼むことはできないため、管理職は無条件に残業をしなければならない環境にあると、言わざるおえません。

・一般職より管理職の死亡率が高い
・管理職の99.5%がプレイングマネジャー
・管理職ならではの手当のつかない残業
・店長は専門職ではなく市場評価が低い

あまり良い内容でないのは明らかです。

睡眠が十分に取れないことは、適切な判断力を失わせるには十分だといえます。

そして精神的な摩耗は、ストレスに対する耐性を下げていくのです。

そして最も大切なことは、管理職になる人に対する適切なトレーニングが足りていないという事実があります。

これでは管理職に上げては優秀な人材を壊すということを繰り返しているようなものです。

専門能力は大切ですが、一般管理職としての基本能力はもっと大切です。

このような基礎能力を育成されずに、管理職につけられても、と思うのですが。

なるならないは、その人の判断ですからなんともいえません。

しかし手ぶらで戦いに出るのは、かなり危険なことだと思います。

こればぬ先の杖として、ぜひ基本だけは学んで欲しいものです。

GWも頑張っていきましょう！