繁盛店をつくる人が、集客以前にやっていること
先日、あるお店が閉店しました。
会員になっていたので定期的にLINEが来ていましたが、二度と行くことはありませんでした。その理由は、スタッフの人数が少なく、オペレーションレベルが低く、メニューは立派なのですが、出てくる料理は貧相そのものでした。秋のフェアとか連絡が来ますが、行く訳がありません。連絡が来るたびに、あの日受けたサービスの酷さが甦るので、二度と行かないという思いを強くするばかりでした。閉店の連絡が来たときも、もっと早くやめるべきだと思ったぐらいです。
お客様が減り始めると、集客を急ぐ方がいらっしゃいます。
しかし減り始めた原因を特定せずに、対策を取ることは、風邪をひいたから総合感冒薬を飲むということに近いものです。
発熱をしているから解熱剤、鼻水が止まらないから鼻炎薬、喉が痛いから鎮痛剤、頭が痛いから 抗炎症薬、お腹の調子が悪いなら整腸剤や下痢止め薬、というように問題ある箇所を明確にして対処しなければ効果を得られる難くなるのは当然です。(対症療法)
【症状ではなく原因の特定】
たしかに対症療法は効きますが、問題の根本が解決された訳ではないので、また同じ問題を繰り返します。
つまり、根本療法が重要なのです。
もう少し掘り下げると、何が原因でそのような症状が出ているのかを特定しなければなりません。
インフルエンザなのか、新型コロナなのか、ただの風なのか、それによって治療方法が変わるからです。
お客様の減り始めと、減り方が増加している状況と、すでにお客様が居なくなってしまった状況では、根本的な対応が違います。
・減り始めであれば、どの商品やサービス、どの営業時間帯、どの客層、離反の起きている集合 体の傾向分析から、盛り返しが可能です。
・減り方が増加している状況であれば、盛り返し対策と同時に、新規対策が必要になります。
・お客様が居なくなった状況であれば、漢方薬や新薬ではなく、外科的手術が必要になります。
提供している商品やサービスに問題が無いにも関わらず、お客様が減る場合があります。
・それは同じ商品やサービスを提供している競合と比較されて、自店が劣っていると判断された場合です。
特に質と量において、比較対象される場合が多く、それに比例して価格の問題が発生します。
お客様は、自分の支払う金額に対して、よりメリットの大きいものを選択しようとするのです。
そのため、自店の競合となり得る商圏分析が重要になります。
自店の価値を自分で決め、満足してしまう場合、そこに足りないものが顧客視点ということになります。
『こんなに十分な商品とサービスを提供しているのに、お客様が減るなど理解できない』
明らかにこの場合、顧客視点の不足です。
また、そんなに差がないという認識でも、感覚が鈍くなっているという自覚が大切です。
競合との比較において、足りてない部分を多く感じていることが正常であり、優れた部分しか感じないようでは終わりです。
【重要なこと】
お客様が減ったことへの対策は、緊急であり重要なことです。
しかし、お客様を減らさない対策は、緊急度は低くても、最も重要なことです。
なぜなら、一度でもお客様を減らしてしまうと、その後お客様を戻すためには大変な支出が必要になるからです。
【1:5の法則】
新規のお客様を獲得するには、既存のお客様を維持するより5倍のコストがかかるという法則です。
現実的には、利益率で考えた場合、もっとその差は大きいかもしれません。
多くの場合、お客様が減り始めてから動くために莫大なロスを生んでいます。
しかしお客様が減らないと動けないという体質に、真の問題があることは明らかです。
お客様が減る、投資をして集客をする。
これを繰り返すたびに店はお客様の信頼を失い、財務的に苦しくなり、最後はまともな対策さえ打てなくなり終わって行きます。
新商品の在庫ロスを考えて、適正な発注を試みるが、早くに売り切れてしまい機会ロスを生んでしまうため、お客様の信頼を失ってしまいます。
かといって大量の発注をすれば、売れ残りが出てしまいます。
つまりこれが、この問題の本質なのです。
【お客様を集める前にすべきこと】
言葉巧みにお客様を集めることは可能です。
しかしその集まったお客様がお店に対して失望したらどうなるでしょうか。
集客の前に必要なことは、自店が競合と何が違うかより、自店がお客様にどんな価値を提供したいか、ということです。
お客様はその価値に共感し、集まって来ます。
仮に見た目は同じ価値だとしても、細部に至るまでの世界観が、お客様を魅了するのです。
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