内部・八王子線の存続・廃止の意思決定のタイムリミットである8月末まで、一週間を切りました。


 前回のブログから、市と近鉄との交渉における新しい事象は公表されていません。


 これまで当ブログではあまり取り上げてきませんでしたが、「内部・八王子線存続問題」に対して三重県は一貫して冷ややかな対応を取ってきました。


 今回のブログでは、これまでの「内部・八王子線」に対する県の対応を県への批判も込めて書いていきます。


 交渉の終盤になって、市と近鉄との交渉に県の担当者も加わる形になりましたが、「内部・八王子線の廃線問題」が顕在化した当初から終盤までは市と近鉄の二者による交渉が続けられてきました。


 県は、四日市市内で完結している「内部・八王子線」についてはあくまでも市が責任を負うべきだというスタンスの下、交渉に加わる事に及び腰でした。


 また、県は当初から「内部・八王子線」への財政支援に難色を示しておりました。


 市や市議会の方から、県に「内部・八王子線」沿線には県立高校が3校あり、県立高校の学生の通学手段としても不可欠な事から財政支援等を要請しましたが、県はこれまで県立高校のスクールバス等に県からの補助は行っておらず、そういった理由からは支援する事は出来ないというスタンスを取ってきました。


 そして、上記の通り、「内部・八王子線」が四日市市内で完結している事も支援に及び腰の理由の一つであると考えます。


 ちなみに、これまでも三重県は、県下のローカル鉄道に対する支援は十分と言えるものではありませんでした。


 過去に運行主体が変わった「養老鉄道養老線」「伊賀鉄道伊賀線」「三岐鉄道北勢線」の3路線について整理していくと以下の通りです。


「養老鉄道養老線」:県からの補助は一切無し。


「伊賀鉄道伊賀線」:国の補助メニューの枠内での支援に留まる。


「三岐鉄道北勢線」:国の補助メニューに加え、用地取得費1.8億円(半額負担)。


 すなわち、県単独での支援は「三岐鉄道北勢線」の用地取得費1.8億円のみです。

 

 しかも唯一の県単独補助の「三岐鉄道北勢線」の事例が、複数の自治体をまたいで運行している路線という理由を持ち出されると、前例からみて「内部・八王子線」に投じられる補助は無いことになります。


 他県から見ても、三重県のローカル鉄道に対する補助体制は乏しいと言えます。


 典型的な例は、岐阜県と三重県をまたぐ路線である「養老鉄道養老線」です。


 岐阜県が「養老鉄道」に対して、2013年度より同鉄道が支払う施設維持や修繕経費に相当する額に対して補助を行う一方で、三重県は一切の補助を出していません。


 また、和歌山鐵道においては、和歌山県が用地取得費の全額2.3億円、及び変電所整備2.4億円の合計4.7億円を県単独補助で行っています。


 そして、福井鉄道においては、福井県が用地取得費の2/3にあたる8億円を県単独補助しています。


 三重県の財政がひっ迫しているという理由があるかと思いますが、三重県のローカル鉄道に対する支援スタンスは他県に比べてもあまりにも寂しいものになっていると言えます。


 「内部・八王子線」の交渉において、今後どこまで県の財政的な協力を取り付けられるかも大きなポイントだと思います。



 そういう意味では、鈴木知事にもこういった内容をご理解頂きたいし、県会議員の皆さんにもこういった三重県のローカル鉄道に対する寂しい支援状況を追求して頂きたいです。


 四日市市選出の県会議員は7名おり、各会派に所属しています。


 四日市市選出の議員が超党派で一丸となれば条例提案も可能ですし、各会派の理解も得られやすいと思います。


 また、三重県の他地区においてもローカル鉄道を抱えている所も多く、早かれ遅かれこれらの路線にも廃線の話が上がって来ると思います。


 その時の為にも、三重県のローカル鉄道を支援する体制作りが必要では無いでしょうか。


そういう点では他地区の議員とも協調していけると思います。


 三重県下の公共交通をどう考えていくかという重要な視点の議論でもあり、大切なテーマであると思います。


 議会は立法機関でもありますので、県会議員の皆様にもこういった主体的且つ積極的な動きを望みます。

 

 

◎以下は、過去の関連記事です。


■『近鉄内部・八王子線』今後の行方 ① 【現状整理、そしてタイムリミット】

http://ameblo.jp/mori-tomohiro/entry-11209058849.html


■『近鉄内部・八王子線』今後の行方② 【市、議会の取り組み】

http://ameblo.jp/mori-tomohiro/entry-11209176279.html


■『近鉄内部・八王子線』今後の行方 ③ 【総合交通政策調査特別委員会 設置へ】

http://ameblo.jp/mori-tomohiro/entry-11292928131.html


■『近鉄内部・八王子線』今後の行方 ④ 【様々な動きとその方向性】

http://ameblo.jp/mori-tomohiro/entry-11295351212.html


■ 『近鉄内部・八王子線』今後の行方⑤ 【自治会・高校が近鉄に対して要望書提出へ】

http://ameblo.jp/mori-tomohiro/entry-11334578122.html


■『近鉄内部・八王子線』今後の行方⑥ 【近鉄がBRT(バス高速輸送システム)を提示】

http://ameblo.jp/mori-tomohiro/entry-11339326584.html


■『近鉄内部・八王子線』今後の行方⑦ 【強気の近鉄/BRT(バス高速輸送システム)とは】

http://ameblo.jp/mori-tomohiro/entry-11364546388.html


■『近鉄内部・八王子線』今後の行方⑧ 【鉄道維持か/BRT導入か/廃線か 現状の選択肢整理】

http://ameblo.jp/mori-tomohiro/entry-11392503953.html


■『近鉄内部・八王子線』今後の行方⑨ 【鉄道維持:子会社化シミュレーションの結果】

http://ameblo.jp/mori-tomohiro/entry-11399583209.html


■『近鉄内部・八王子線』今後の行方⑩ 【ハードルの高いBRT転換/課題整理】

http://ameblo.jp/mori-tomohiro/entry-11421418171.html


■『近鉄内部・八王子線』今後の行方⑪ 【タイムリミット 2013年夏が迫る】

http://ameblo.jp/mori-tomohiro/entry-11449732272.html


■『近鉄内部・八王子線』今後の行方⑫ 【特別委員会が「両備ホールディングス㈱小嶋会長」を参考人招致】

http://ameblo.jp/mori-tomohiro/entry-11461432821.html


■『近鉄内部・八王子線』今後の行方⑬ 特別委員会:近畿日本鉄道株式会社関係者を参考人招致へ

http://ameblo.jp/mori-tomohiro/entry-11509399238.html


■『近鉄内部・八王子線』今後の行方⑭ 近鉄からの参考人招致 ~近鉄は何を語ったのか~

http://ameblo.jp/mori-tomohiro/entry-11516012320.html


■『近鉄内部・八王子線』今後の行方⑮ ~鈍い行政の動き~

http://ameblo.jp/mori-tomohiro/entry-11516027227.html


■『近鉄内部・八王子線』今後の行方⑯【残された選択肢は・・・(近鉄子会社化編)】

http://ameblo.jp/mori-tomohiro/entry-11523867697.html


■『近鉄内部・八王子線』今後の行方⑰【残された選択肢は・・・(第三者譲渡編)】

http://ameblo.jp/mori-tomohiro/entry-11529784421.html


■『近鉄内部・八王子線』今後の行方⑱【四日市市・近鉄協議が大詰め 交渉のポイント整理】

http://ameblo.jp/mori-tomohiro/theme-10062127730.html