1月31日の総合交通政策調査特別委員会において、「両備ホールディングス株式会社 小嶋会長」を参考人として招致させて頂きました。


 小嶋会長は、南海鉄道が不採算で手放した「貴志川線」を、和歌山電鐵という新たな会社を立ち上げて引き受け、「貴志川線」の再生を果たした中心人物となります。


 たま駅長等のアイデアや徹底的なローコスト経営により廃線の危機にあった「貴志川線」を再生に導いたという実績から、ローカル線再生という話においては切っても切れない方になります。


 特別委員会としてはこれまでの半年以上、近鉄から提供されたデータや他のローカル鉄道の事例等の調査を中心に行ってきました。


 有識者の意見を特別委員会の場で直接お聞きする事は初めてでしたので、「内部・八王子線」をどの様に捉えているのかという本音をお聞き出来ることから今回の参考人招致が大変貴重な機会になると感じておりました。


 市の執行部の方々も、今回の小嶋会長の発言には注目されており、今回の参考人招致が今後の「内部・八王子線」存続の議論に大きな影響を与える事は間違いありませんでした。


 小嶋会長には、14時からの特別委員会の前に実際に内部線に乗って頂き、その実情を体感して頂きました。


 聞く所によると、事前に小嶋会長の関係者に内部・八王子線に乗って頂き、その様子を撮影された映像を何度も会長自らチェックして頂いていた様です。


 こういった事前の対応からしても小嶋会長が真剣に内部・八王子線の問題に向き合って頂けている様子が伺え、本当にありがたく感じました。


森智広のブログ

〔小嶋会長の内部線視察〕


 そして、特別委員会が始まりました。


3時間の枠の中で、2時間超のお話、1時間弱の質疑応答が行われました。


 2時間を超えるお話でしたが、本当に勉強になる内容ばかりで時間を全く感じさせませんでした。


 現在の公共交通事業者が抱える苦悩や厳しい現実、そして年間5億円の赤字を出していた「貴志川線」を2010年に年間4千万円の赤字まで削減出来たスキーム等もお伺いする事が出来ました。


 私たちが考えを改めねばならないと感じた点は、


 小嶋社長が「地域鉄道は全国で91社あり、その75%が赤字である。近鉄さんも本当に厳しい事は確か。近鉄さんもこれまで地域の公共交通を担うという責務を感じてやってこられた。だから、近鉄さんともっともっと腹を割って建設的な話をすべきである。」とおっしゃられたことです。


 市民感情としては、鉄道の廃止を打ち出した近鉄に対して批判的な見方をしてしまいがちになります。


しかし、まずは鉄道事業者が直面している厳しい現実を受け入れる必要があるということです。


 また、「貴志川線」の再生のスキームとして、当時以下の3つの項目を再生の条件として行政にアドバイスしたとの事です。


①公設民営(上下分離)

②運営会社は3セクとせず、100%単独出資

③利便向上は和歌山電鐵内の運営委員会で計る事


 そして、実際に自らが再生を引き受けた理由は以下の3つとおっしゃっていました。


①市民運動が上滑りでなく本物であった

②行政の協力体制がしっかりしていた
③地域が人口増加地帯であった


 この部分の詳しい話は、別の機会にさせて頂きます。


 そして、最後に小嶋会長は「内部・八王子線」について、現在の近鉄さんの現在のスキームでは存続は難しいが、新しいスキームでは存続の可能性はあるといった発言をなされました。


 ローカル鉄道の存続の為には様々な要素が必要になります。


内部・八王子線においては、まだまだ足りない要素が沢山あります。


それは、今後、利用者、市民、行政、議会、事業者等の協力で、充足していかなければなりません。


 しかし、ローカル鉄道再生の経験がある小嶋会長から、「存続の可能性はある」という意見をお伺い出来た事は、内部・八王子線の存続に向けて大きな希望を得る事が出来たと感じています。


 ローカル線の再生には考えられない様な労力が必要です。


小嶋会長がおっしゃられていた言葉で心に残ったものの一つに以下の言葉がありました。


 「再生はお涙頂戴ではダメ。一生懸命さと楽しさが必要。」


 今回の小嶋会長の参考人招致を契機に内部・八王子線存続に向けた流れが加速する事を期待しています。


 もちろん、総合交通政策調査特別委員会においても継続して、当問題について議論していきます。



◎以下は、過去の関連記事です。


■『近鉄内部・八王子線』今後の行方 ① 【現状整理、そしてタイムリミット】

http://ameblo.jp/mori-tomohiro/entry-11209058849.html


■『近鉄内部・八王子線』今後の行方② 【市、議会の取り組み】

http://ameblo.jp/mori-tomohiro/entry-11209176279.html


■『近鉄内部・八王子線』今後の行方 ③ 【総合交通政策調査特別委員会 設置へ】

http://ameblo.jp/mori-tomohiro/entry-11292928131.html


■『近鉄内部・八王子線』今後の行方 ④ 【様々な動きとその方向性】

http://ameblo.jp/mori-tomohiro/entry-11295351212.html


■ 『近鉄内部・八王子線』今後の行方⑤ 【自治会・高校が近鉄に対して要望書提出へ】

http://ameblo.jp/mori-tomohiro/entry-11334578122.html


■『近鉄内部・八王子線』今後の行方⑥ 【近鉄がBRT(バス高速輸送システム)を提示】

http://ameblo.jp/mori-tomohiro/entry-11339326584.html


■『近鉄内部・八王子線』今後の行方⑦ 【強気の近鉄/BRT(バス高速輸送システム)とは】

http://ameblo.jp/mori-tomohiro/entry-11364546388.html


■『近鉄内部・八王子線』今後の行方⑧ 【鉄道維持か/BRT導入か/廃線か 現状の選択肢整理】

http://ameblo.jp/mori-tomohiro/entry-11392503953.html


■『近鉄内部・八王子線』今後の行方⑨ 【鉄道維持:子会社化シミュレーションの結果】

http://ameblo.jp/mori-tomohiro/entry-11399583209.html


■『近鉄内部・八王子線』今後の行方⑩ 【ハードルの高いBRT転換/課題整理】

http://ameblo.jp/mori-tomohiro/entry-11421418171.html


■『近鉄内部・八王子線』今後の行方⑪【タイムリミット 2013年夏が迫る】

http://ameblo.jp/mori-tomohiro/entry-11449732272.html