内臓下垂・臓器脱を東洋医学でみると | 春月の『ちょこっと健康術』

春月の『ちょこっと健康術』

おてがるに、かんたんに、てまひまかけずにできる。そんな春月流の「ちょこっと健康術」。
体験して「いい!」というものを中心にご紹介します。
「いいかも?」というものをお持ち帰りくださいませ。

おはようございます ニコニコ


昨日お届けした骨盤臓器脱 、東洋医学でみるとどうなるか?というと、これは内臓下垂が悪化した状態と考えられています。骨盤臓器脱と内臓下垂、西洋医学では別の病気として扱われますけど…。


内臓下垂の養生として、西洋医学でも腹筋や背筋を鍛えるように言われますから、「内臓を支える筋力が弱い」という点でくくれば、骨盤臓器脱も同じですよね?


東洋医学では、内臓があるべき位置にあるようにしているのは、脾気の作用とされています。


とともに、消化吸収の中心として働いているもので、そうした働きを推進するのは、それぞれの臓腑の気 の働きによるもの。そのあたりのことは、「益軒先生のいう「胃気」とは?」 をご参考に。


脾気には昇清(しょうせい)という作用があります。これは、消化吸収した栄養物質である水穀の精微気血にするために、脾胃のある中焦から、 のある上焦に昇らせる働きなんですが、同時に内臓が落ちないようにもしています。内臓を支える作用についてだけ言う場合は、昇挙作用と呼ぶこともあります。


ちなみに、内臓のある体幹を上中下に分けたとき、胸郭部(横隔膜から上)を上焦(じょうしょう)、臍と横隔膜の間を中焦(ちゅうしょう)、臍より下を下焦(げしょう)と呼びます。


で、その脾気昇挙作用が弱ってしまうと、内臓の位置を支えられなくなって、内臓下垂や臓器脱が起こる…と考えるワケです。脾気の虚弱ですから、臓腑弁証でいえば脾気虚 になります。


脾気虚といっても、症状の出方には様々あって、特に昇挙作用の低下が主症状となった場合は、これを脾気下陥または中気下陥と言います(脾は中焦にあるので、脾気を中気と呼ぶことがあるので)。


脾気下陥の症状としては、内臓下垂や臓器脱のほかに、↓次のようなものが生じます。

① が上がりにくい → めまい、目や耳がはっきりしない

② 気虚運化にも影響する → 消化不良、食欲不振

③ 気虚が全身に影響する → 疲労倦怠、息切れ、無力感

④ 水穀の精微とともに下陥する → 下痢、頻尿、失禁


治療としてはを補うこと。そこで、ツボとしては、足三里脾兪関元気海 などを手当てします。また、骨盤臓器に対して次りょう・中りょう腎兪 を加えます。食養生は「脾の働きと脾を養う食べ物」 をご参考に。


を補うにも、の流れをよくするにも、腹式呼吸 はおススメです。横隔膜をしっかり動かすことで、内臓を支えている筋肉や靭帯を鍛えましょう。そして、西洋医学でいわれるのと同じように、骨盤底筋だけでなく、腹筋や背筋のトレーニングもね。


一天一笑、今日もいい1日にしましょう。


春月の『ちょこっと健康術』


東洋医学講座の目次→満月
ツボの目次→やや欠け月
リフレクソロジーの目次→半月
妊娠・産後・授乳・子どものケアの目次→三日月
アロマセラピーの目次→新月
『養生訓』の目次→星空
体操とストレッチの目次→夜の街
からだのしくみ・食・栄養の目次→打ち上げ花火
からだの不調と対処法の目次→お月見
養生法・漢方薬・薬草・ハーブの目次→桜
ブログの目的・利用法・楽しみ方の目次→観覧車