【夕顔48-3】古文単語「往き来」
源氏物語イラスト訳の重要古語です
古文単語でよく出題されるのは、
1.古典特有語
…現代にない古語。
2.古今異義語
…現代と意味の異なる古語。
3.死語的現代ワード
…受験生世代はほぼほぼ使わない語。
…ですが、今回の古語は、
現代でもよく使う古文単語☆
はい、ではいってみましょぉ~♪
٩(๑•̀∇•́๑)و
【今回の源氏物語】
「いかなる人の住み処ならむ」とは、往き来に御目とまりたまひけり。
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今回出てきた古文単語
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■【いかなる】…どのような
■【人】…人。ここでは女主人のこと
■【の】…連体修飾格の格助詞
■【住み処(すみか)】…住まい
■【なら】…断定の助動詞「なり」の未然形
■【む】…推量の助動詞「む」の連体形
■【とは】…~と思っては
※【と】…引用の格助詞
※【は】…提示の係助詞
■【往(ゆ)き来】…行き帰り。往来
■【に】…時を表す格助詞
■【御(おん)―】…尊敬の接頭語(作者⇒光源氏)
■【目とまる】…目につく
■【たまふ】…尊敬の補助動詞(作者⇒光源氏)
■【けり】…過去の助動詞「けり」の終止形
◇ 単語の意味と文法的説明です。
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今回の古文単語 「往き来」 ☆
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【ゆきく(行き来)】
【自動詞:ガ行変格活用】
…往来する。行ったり来たりする
(『全訳古語例解辞典』(小学館)より)
この、「行き来」というカ変動詞が名詞化したのが、
今回の古文で出て来た、「往き来(ゆきき)」です。
特に重要古語ではありませんが、
どういう場面での行き来なのか、
きちんと状況把握して読んでいくべきでしょう。
ではここで、大学入試レベルの問題☆
今日もこの蔀の前渡りしたまふ。来し方も過ぎたまひけむわたりなれど、ただはかなき一ふしに御心とまりて、「いかなる人の住み処ならむ」とは、往き来に御目とまりたまひけり。
問)傍線部の意味として最も適当なものを選べ。
1.光源氏は他の女のもとへ通っていくその行き帰りにも、夕顔の宿が目につき、そこの女主人のことを意識なさるのであった。
2.光源氏は朝廷へ出仕する道すがら、いつもこの五条通りの乳母邸に立ち寄り、隣家の夕顔をながめていなさるのだった。
3.夕顔の宿に住む女は、光源氏が牛車で通り過ぎる姿を、邸内から女房たちとともにじっと見入ってしまうのだった。
4.夕顔の宿に住む女は、光源氏が通り過ぎたあとも、その往来の通りを眺めては、光源氏に想いを寄せ続けているのだった。
5.光源氏は事あるごとに五条の乳母邸の隣家を往来するよう従者に申しつけ、夕顔の宿の女の目にとまるようにするのだった。
「往き来に」というのは、
五条の夕顔邸の前を行き来する時に
ということ。
ちなみに、
光源氏のこの時期の住まいは、
二条院です。
正妻の葵の住まう左大臣邸に通うなら、
決して五条通りの夕顔の宿は通りませんし、
内裏(朝廷)に出向くにも、
わざわざ五条を通ることなどありません。
ならば、五条への「往き来」は、
この当時の愛人であった、六条御息所のもとへ
通う道すがら、ということになるでしょう。
(●‘∀‘●)ノ"
2.光源氏は朝廷へ出仕する道すがら(×)、いつもこの五条通りの乳母邸に立ち寄り、隣家の夕顔をながめていなさるのだった。
5.光源氏は事あるごとに五条の乳母邸の隣家を往来するよう従者に申しつけ(×)、夕顔の宿の女の目にとまるようにするのだった。
また、
傍線部は、尊敬語「たまふ」が用いられているので、
この部分の主語は、光源氏であって、
夕顔ではありません。
1.光源氏は他の女のもとへ通っていくその行き帰りにも、夕顔の宿が目につき、そこの女主人のことを意識なさるのであった。
3.夕顔の宿に住む女は(×)、光源氏が牛車で通り過ぎる姿を、邸内から女房たちとともにじっと見入ってしまうのだった。
4.夕顔の宿に住む女は(×)、光源氏が通り過ぎたあとも、その往来の通りを眺めては、光源氏に想いを寄せ続けているのだった。
解答……1
「いかなる人の住み処ならむ」とは、往き来に御目とまりたまひけり。
● 過去記事リンク
■いかなる
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