【空蝉92-3】IQを上げる古文勉強法☆
源氏物語イラスト訳のあいです
古文単語でよく出題されるのは、
1.古典特有語
…現代にない古語。
2.古今異義語
…現代と意味の異なる古語。
3.死語的現代ワード
…日本語にはあるが受験生世代はほとんど使わない語。
…ですが、今回の古語は、
重要古語の枠を超えた古語☆
はい、ではいってみましょぉ~♪
٩(๑•̀∇•́๑)و
【今回の源氏物語】
空蝉の身をかへてける木のもとに
なほ人がらのなつかしきかな
と書きたまへるを、懐に引き入れて持たり。
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今回出てきた古文単語
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■【空蝉(うつせみ)】…セミの抜け殻
■【の】…連用修飾格の格助詞
■【身(み)】…身。体
■【を】…対象の格助詞
■【かへ】…ハ行下二段活用動詞「替ふ」の連用形
■【てけり】…~てしまった
※【て】…完了の助動詞「つ」の連用形
※【ける】…過去の助動詞「けり」の連体形
■【木(こ)のもと】…木の下
■【に】…場所の格助詞
■【なほ】…そうはいっても、やはり
■【人がら】…人柄。(「がら」にセミの抜け殻を掛けている)
■【の】…主格の格助詞
■【なつかしき】…シク活用形容詞「なつかし」の連体形
※【なつかし】…心惹かれる
■【かな】…詠嘆の終助詞
■【と】…引用の格助詞
■【書き】…カ行四段動詞「書く」の連用形
■【たまへ】…ハ行四段動詞「たまふ」の已然形
※【たまふ】…尊敬の補助動詞(作者⇒光源氏)
■【る】…完了の助動詞「り」の連体形
■【を】…対象の格助詞
■【懐(ふところ)】…懐中
■【に】…場所の格助詞
■【引き入れ】…ラ行下二段動詞「引き入る」の連用形
■【て】…単純接続の接続助詞
■【持(も)たり】…持っている(ラ変動詞)
◇ 単語の意味と文法的説明です。
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☆ 受験に出ない? 古語かな ☆
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超英才教育でおなじみの聖徳学園では、
階段に、「一」「十」「百」「千」「万」…
と、桁数が順番に貼ってあるらしいです。
「京(けい)」ぐらいまでは知ってましたが
「垓(がい)」「杼(じょ)」「穣(じょう)」「溝(こう)」…
で、最後は「不可思議」「無量大数」って…
ここまでで、10の65条だそうです。
IQを上げるには、「こんなの受験には出ないから」
なんて、自分の枠をくくる発想は
大きな障害になるんですね;;
このブログでも、大学入試で出る重要古語だけでなく、
『源氏物語』で出て来た古語を、受験範囲に限らず
体得していけるような記事を心がけております。
(▰˘◡˘▰)
空蝉の身をかへてける木のもとに
なほ人がらのなつかしきかな
と書きたまへるを、懐に引き入れて持たり。
問)傍線部を現代語訳せよ。
こういう問題が、高1、2模試などで出てきたら、
一語一語、きちんと逐語訳(ちくごやく)すればいいわけですが…
国公立の2次試験などでは、
しっかり主語&目的語を補って、
分かりにくい部分は意訳して分かりやすく訳す必要があります。
ポイントは次の2つ☆
● 直前の「~を」で、主語が変わってます!
● 「持たり」の動詞を間違えないで!!
傍線部直前は、
「書きたまへるを」と、尊敬「たまふ」が入ってるので、
光源氏の行為です。
しかし、傍線部は、
「引き入れて持たり。」と、尊敬語が入ってないので、
小君の行為となります。
ふところ(懐)とは、
着物の、胸の合わせ部分のこと。
今でいう、スーツの内ポケットのような感じで
和服では、よく手紙などを入れて持ち歩いたようです。
【名詞】
…懐中。着物におおわれた胸のあたり
もたり 【持たり】
【自動詞:ラ行変格活用】
…持っている。所有している
*「学研全訳古語辞典(Weblio辞書)」より
最後に注意すべきは、
「持たり」という複合動詞です。
このように、ラ変動詞は
「あり」「をり」「はべり」「いまそかり」を、
お経のように丸暗記してると思いますが、
サ変の「す」のように
複合動詞化する場合があるんすよ~!
(;゚;∀;゚;)
「―り」で終わっているからと、
完了の助動詞だと思ってしまいがちですが、
接続が違ってますよねー!
ヽ(*'0'*)ツ
まあ、「―た」をつけた口語訳ぐらいは大目に見てもらえると思いますが、
文法的にきちんと知っているんだよという訳出をしてもらいたいです。
【解答例】
小君は、光源氏の和歌を自分の懐の中にしまって所持している。
空蝉の身をかへてける木のもとに
なほ人がらのなつかしきかな
と書きたまへるを、懐に引き入れて持たり。
● 過去記事リンク
■み(身)
■なほ
■なつかし
■たまへり
■持たり
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