【帚木445-3】「遣水の面目」とは? | 【受験古文速読法】源氏物語イラスト訳

【帚木445-3】「遣水の面目」とは?

源氏物語イラスト訳のあいですラブラブ 

 

古文単語でよく出題されるのは、


チェックボックス1.古典特有語

   …現代にない古語。


チェックボックス2.古今異義語

   …現代と意味の異なる古語。


チェックボックス3.死語的現代ワード

   …日本語にはあるが受験生世代はほとんど使わない語。


 

…ですが、今回の古語は、

古文特有の目線を伴う連語☆

 

ではいってみましょぉ~♪

٩(๑•̀∇•́๑)و

 

帚木445のイラスト訳はこちら

 

【今回の源氏物語】

紀伊守おどろき遣水の面目かしこまり喜ぶ小君は、より、「かくなむ思ひよれのたまひ契れ

 

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今回出てきた古文単語
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■【紀伊守】…空蝉の継子。空蝉を屋敷に住まわせている

■【おどろく】…驚く。びっくりする

■【て】…単純接続の接続助詞

■【遣水の面目】…遣水がお気に召したという名誉

※【遣水(やりみづ)】…庭につくった小さな流れ

※【の】…連体修飾格の格助詞

※【面目】…名誉。体裁

■【と】…引用の格助詞

■【かしこまる】…恐縮する

■【喜ぶ】…喜ぶ。うれしく思う
■【小君】…空蝉の弟。紀伊守邸に身を寄せている

■【に】…対象の格助詞

■【は】…区別の係助詞

■【より】…起点の格助詞

■【かく】…このように指示副詞

■【なむ】…強意の係助詞

■【思ひよる】…思い当たる.考えつく

■【る】…完了の助動詞「り」の連体形

■【と】…引用の格助詞

■【のたまふ】…「言ふ」の尊敬作者⇒光源氏

■【契(ちぎ)る】…約束する

■【り】…完了(存続)の助動詞「り」の終止形

   アップ

単語の意味文法的説明です。

「重要古語一覧」もご参照ください。
 

 

 

――――――――――――――
本日の古文単語 「遣水の面目」

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今回ご説明する「遣水の面目」は、

 

特に連語というわけではありませんが、

なんか…直訳してもはっきりしませんよね;

ヽ(;´ω`)ノ

 

 

【遣水(やりみづ)】
 (名詞)
…寝殿造りの邸宅などで、庭に水を導き入れるようにつくった小さい流れ

【面目(めんぼく・めいぼく・めんもく)】
 (名詞)
①名誉や体裁
②(めんもく」と読んで)顔。容貌


 *「学研全訳古語辞典」より



遣水については、

 

以前のブログ記事でご説明しましたように、

(※帚木333-2「寝殿造の庭のようす」 より)

 

遣り水
 

前栽(庭の植え込み)の涼をとるための、

寝殿造りの庭園で、情趣豊かなアイテムです。

ヽ(○・▽・○)ノ゙

 

紀伊守邸の庭は、

中流階級にしては、

けっこう素敵な庭園でしたね♪


 

以前、光源氏は、紀伊守邸への方違えの際、

この遣水の様子に、とても満足していました。

(*^_^*)

 


そして今回、

また光源氏方違えだといって、

突然紀伊守邸を訪れたのです。

(`・д´・ ;)


紀伊守おどろきて
 

上流階級の貴人が、

何度も自邸を訪問するというのは、

しごく光栄なことです☆


 

紀伊守は、突然の訪問に驚きはしたものの、

 


遣水の面目

 

 

光源氏ともあろうお方が、

自分んちの庭をお気に召したのだ

という名誉!!Σ('◇'*)
   アップ

これに恐縮して喜んだのですね。

(o^-')b


 

ちなみに…


 

きのうのイラスト訳を見られた方は

お気づきかと思いますが…

 


遣水の面目

 

`;:゛;`;・(゜ε゜ )ブッ!!

 

 

遣水の面目」って、

もちろん、そのままの意で、

庭園がお気に召したのが光栄」だと訳していいのですが…


 

遣水(紀伊守邸庭園の水の流れ)」に、

空蝉(紀伊守邸一点の光=女)を暗示して、

 

 

夜のお供に提供した空蝉

お気に召したことの光栄

   アップ

こうとらえると…



 

紀伊守…なんて腹黒いこと!

(;゚;Д;゚;)




こんなふうに解釈される先生もいらっしゃいます。

 

だって、紀伊守は、

光源氏が流行歌を引用して伝えた、

 

・「うー独り寝は寂しいぉ」⇒女人を提供せよ!

・「ラブ空蝉はどこに寝てるの?」⇒性的興味

   アップ

この表明にピンときて、

 

空蝉光源氏共寝の相手として提供すべく、

源氏の寝所の隣で寝かせたのですから。

!!щ(゜Д゜щ)


 





…まぁ、

 

作者の紫式部は、
どういう意図で紀伊守を設定したのか

分かりません。


 

光源氏の真意にも気づかず、

意図をくんで便宜をはかることもない、

単なる天然なのか…

!!!o(・´д・`o)))三


 

自分の出世のために、襖障子の鍵もかけずに

父の妻である空蝉を人身御供として提供した、

腹黒い男なのか…

三(((o´・д`・)o!!!



この後者深いところまでとらえた

読者、または作者が、

 

次のような表面的な問題を解くと、

間違っちゃったりするんですよねぇ!

(;゚;∀;゚;)

 

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大学入試古文 問題例☆

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紀伊守おどろきて、遣水の面目とかしこまり喜ぶ。小君には、昼より、「かくなむ思ひよれる」とのたまひ契れり。

問題)傍線部の心情として最も適当なものを、次の中から選べ。

1.自慢の庭園を、以前光源氏が気に入ったのを思い出し、なんと名誉なことかと嬉しく思いつつも、貴人に中流階級の屋敷を何度も訪問されることに恐縮している。

2.自邸の前栽を光源氏に気に入ってもらったという光栄をかみしめつつも、また今夜も空蝉を提供せねばならなくなるのではないかと、妬ましく恐ろしく思っている。

3.庭園の水の流れに仮託して、暗に空蝉との共寝を依頼してきた光源氏に対し、不愉快な父の鼻をへし折れることを喜ぶと同時に、良心の呵責にさいなまれている。

4.前栽の隅の水の流れにかこつけて、前栽の隅の部屋に住まう空蝉を、夜伽の相手に差し出すよう求めてきた光源氏に対し、おそろしくも、かつ光栄に思っている。

5.庭園が気に入り何日も停泊する光源氏に対し、手狭な自邸を恥ずかしく思うと同時に、貴人が自邸に住む栄誉を感じ入り、これで自分の出世は安泰だと喜んでいる。


    アップ


 

と…解けそうですか?

|д゚)チラッ


 

●「遣水」

●「面目」⇒3ナシ

●「かしこまる」⇒2・4・5ズレ 





 


正解は……
 

 


【源氏物語イラスト訳】冒頭から読む⇒

【帚木の巻】の始めから読む⇒

 

【今回の源氏物語】
紀伊守おどろき遣水の面目かしこまり喜ぶ小君は、より、「かくなむ思ひよれのたまひ契れ

 

 

過去記事リンク

紀伊守(きいのかみ)

おどろく

て(接続助詞)

遣水(やりみず)

の(格助詞)

と(格助詞)

かしこまる

小君

に(助詞)

は(係助詞)

より  より(識別)

かう・かく(指示語)

なむ①  なむ②

「思ひ~」の複合語一覧

る(「り」「る」の識別)

のたまふ

ちぎり(契り)

り(完了の助動詞)

 

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今日もご訪問ありがとうございました☆

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