【帚木440-3】形容動詞「ほのかなり」
源氏物語イラスト訳のあいです
古文単語でよく出題されるのは、
1.古典特有語
…現代にない古語。
2.古今異義語
…現代と意味の異なる古語。
3.死語的現代ワード
…日本語にはあるが受験生世代はほとんど使わない語。
―ですが、今回の古語は、
今よりちょっと幅広の古語☆
ではいってみましょぉ~♪
٩(๑•̀∇•́๑)و
【今回の源氏物語】
ほのかなりし御けはひありさまは、「げに、なべてにやは」と、思ひ出できこえぬにはあらねど、
――――――――――
今回出てきた古文単語
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■【ほのかなり】…かすかだ。ほのかだ
■【し】…過去の助動詞「き」の連体形
■【御―】…尊敬の接頭語(作者⇒光源氏)
■【けはひ】…面影。雰囲気
■【ありさま】…様子。状態
■【は】…提示の係助詞
■【げに】…本当に
■【なべて】…普通。並一通り
■【に】…断定の助動詞「なり」の連用形
■【やは】…反語の係助詞
※【や】…疑問・反語の係助詞
※【は】…強意の係助詞
※【なべてならず】…一通りではない。格別だ
■【と】…引用の格助詞
■【思ひ出づ】…思い出す
■【―きこゆ】…謙譲の補助動詞(作者⇒光源氏)
■【ぬ】…打消の助動詞「ず」の連体形
■【に】…断定の助動詞「なり」の連用形
■【は】…区別の係助詞
■【あら】…ラ変動詞「あり」の未然形
■【ね】…打消の助動詞「ず」の已然形
■【ど】…逆接確定条件の接続助詞
◇ 単語の意味と文法的説明です。
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本日の古文単語 「ほのかなり」
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(ナリ活用形容動詞)
①ほんのりしている。ぼんやりしている。かすかだ
②わずかだ。ほんの少しだ
*「学研全訳古語辞典」より
「ほのかに香る匂い」など、
現代でもよく使いますね♪
(*^▽^*)
なので、古文単語帳には載ってません。
(;゚;∀;゚;)
じゃー、載せなくていいじゃん
って思うかもしれませんが、
重要な基本の古語を知っておけば、
いろんな対処ができるんですよ♪
(o^-')b
たとえばこの問題☆
↓
問題)傍線部「なり」の文法的説明として最も適当なものを、次の中から選べ。
1.断定の助動詞「なり」の連用形
2.推定の助動詞「なり」の連用形
3.ラ行四段活用動詞「なる」の連用形の一部
4.形容動詞「ほのかなり」の連用形活用語尾
5.ラ行四段活用動詞「なる」の連用形
こういう超基本の問題は、
出るとしたら、私大の推薦入試くらいでしょうが…
「『なり』と同じ用法の例文を選べ」
…的な問題は、よく出題されています。
( ゚Д゚)クワッ
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「なり」の識別
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古文で、「―なり」と出てきたら要注意!
きのうの「『に』の識別」ほどではありませんが、
形容動詞かどうかの見分けがポイントとなります。
(o^-')b
■断定の助動詞「なり」
・なら/なり・に/なり/なる/なれ/なれ
・体言・連体形などに接続
■伝聞・推定の助動詞「なり」
・○/なり/なり/なる/なれ/○
・終止形に接続
■形容動詞の活用語尾
・なら/なり・に/なり/なる/なれ/なれ(ナリ活用)
・状態・様子を表すものが語幹にくる。
・「いと~」などの形で不自然でないか
■四段動詞「なる」
・なら/なり/なる/なる/なれ/なれ(四段活用)
・自立語として「為る」という意で使われる。
特に、形容動詞の場合は、
語幹の最後の音にも注意☆
【形容動詞の語幹を構成する接尾語】
■「~か」 ほのかなり
…目に見える状態を示す接尾語
■「~やか」 あざやかなり
…ある状態にあることを示す接尾語
■「~らか」 うららかなり
…見た目そうであることを示す接尾語
■「~げ」 をかしげなり
…そうらしく見えることを示す接尾語
今回の「ほのか」は、
明らかに状態を表していますが…
「―かなり」というつながりからも、
形容動詞と判別できるんですね~♪
(*^ー^)ノ
では、レベル2の問題をひとつ☆
↓
問題)傍線部「なり」と同じ用法のものを、次の中から1つ選べ。
1.帰らぬ人のあればなりけり。(土佐)
2.愁ふなりつる雪、かきたれいみじう降りけり。(源氏)
3.侍従の大納言の御女なくなり給ひぬなり。(更級)
4.あだなりし契りは夢のうちになしても(新葉)
5.虫にも鳥にもわれはなりなむ(万葉)
1は、断定のちょっと見分けにくいパターン☆
ほら。活用表の接続では、
【体言および活用語の連体形】
となっている場合が多いのですが…
あれ/ば/なり/けり。
動・已/接助/断定・用/過去・終
ある/から/であっ/た。
順接の接続助詞についていますね~;
(-_\)(/_-)三( ゚Д゚)
…でも、現在でも、
「あるからである」などと、
断定の助動詞「~である」の前には、
種々の語がつきますよね~。
(;゚;∀;゚;)
マニュアル通りにいかなくても、
よく出てくるので、慣れておきましょうね♪
(o^-')b
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2も見分けにくいと思いますが、
明らかに、形容動詞ではありません。
愁ふ/なり/つる/雪
動詞・終/推定・用/完了・体/名詞
心配する/ようであっ/た/雪
「愁(うれ)ふ」という動詞の終止形に接続しているので、
「なり」は、伝聞・推定の助動詞です。
文節の区切りに着目☆
3:御女/なくなり給ひぬなり。
5:我は/なりなむ。
3は、「亡くなる」という動詞。
5は、「成る」という動詞。
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4.あだなり/し/契り
「あだ」が、古文特有語なので、
状態を表しているのか⇒知らね~(;□;)!
「いと~」をつけても…分かんね~(;□;)!
このような古文特有語は、
あ―だ、浮気はムダよ、はかないわ!
(※『古文単語ゴロ565』より)
…などと、覚えてしまいましょ!
Σ(~∀~||;)
ただ、それと同時に、
形容動詞であることも、
こういった問題をやっていくうちに
身につけてほしいものです。
(*^m^*)
(ナリ活用形容動詞)
①はかない。もろい
②誠実でない。浮気だ
③粗略だ
④無駄だ
*「学研全訳古語辞典」より
なお、レベル2の問題の1~5は、
上の超基本の1~5の文法説明に
対応していますので♪
(ノ´▽`)ノ
正解は……どっちも 4
ほのかなりし御けはひありさまは、「げに、なべてにやは」と、思ひ出できこえぬにはあらねど、
● 過去記事リンク
■げに
■なべて
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今日もご訪問ありがとうございました☆
お役に立ちましたでしょうか?(o^-')b