(1)商品の巻
「需要」が「供給」に勝るとき、その「価格」は上昇します。それによって需要が減り、供給に並んだところで、価格は安定する。それがその商品本来の「市場価格」です。
「メーカー希望小売価格で買いたい」「お金が惜しい」、そんな立場の人にとって面白くないのはわかりますが、これは経済法則です。
転売ヤーを駆逐するのは簡単で、初めから「市場価格」で販売すればいいのです。
ちいかわ湯呑み・○,000円、とか。湯呑みにその値段は高すぎる? 製造コストだけで云えば確かにそうです。でもそれが「ちいかわ」という付加価値込みで、購買層が認めた「価値」なのです。
質的に他と変わらないブランドもの、あるいは高名な職人の手による工芸品のようなものです。
モノの値段も、ホテルの宿泊費並みに、あるいは季節の果物並みに、需要と供給量との兼ね合いによってバリアブルに変動させていけばいいのです。工業品発想で価格を一定にしているから、爆発的な需要があったとき、転売ヤーの暗躍を招いてしまう。当然の帰結です。
心ある「ファン」もきっと、見合った金銭を正当な権利者に支払うのはやぶさかではない。無関係な転売ヤーを儲けさせるが我慢ならないだけだ。――そう云ってくださると思います。
とは云え、メーカーにはメーカーの都合があるでしょう。
ワタシが冒頭で述べた「市場価格」で販売せよという考えは、おそらく口で云うほど簡単ではない。
季節の果物のように、初期ロットとその後の製造分とで販売価格を変えるなんてできない――。そうした道義・慣習・制度上のハードルは、きっと想像以上に高いのだろうなと思います。
よしんばそれが叶ったところで、なるほど転売ヤーは駆逐できるとしても、われわれ購買層に何の得がある?――とも云える(笑)。
転売ヤーが値をつり上げるか、メーカーが初めから高値を設定するかの違いでしかない。転売ヤーが憎まれるのは、彼らが値をつり上げるからであって、メーカーに高値を設定されれば同じこと。むしろ、製造コストべースの「定価」で買えるチャンスが少しは残される現状のほうが、まだマシとも云える。
転売ヤーの行為は、よく川をせき止めて水を高値で売るそれに喩えられます。
でも、この比喩はちょっとズレている、そうワタシは考えます。
この行為は、「独占」しない限り有効たり得ないからです。
人は水なしでは生きられない、いくら高くても買わざるを得ない。その弱みにつけ込んで、つけ放題の高値をつけ、暴利を貪る。――水資源を「独占」できれば、それは可能です。
しかし、転売ヤーは無数にいます。彼らの間で価格競争は起こり、一人好き放題の高値をつけたところで誰ひとり買い手はつきません。
川の水が十分に豊富にあるならば、転売ヤーの捌く水の売価は限りなくゼロに近づいていくでしょう。それが「相場」です。「需要」に見合った価格に、自ずとなっていくのです。
「怒り」とは、己れの「無力」から発する感情であると聞いて、なるほどなと思いました。
無能な政治家や馬鹿な大衆に「怒り」を覚えるのは、それを自分ではどうすることもできないからです。
迷惑なストーカーにつきまとわれて困っています。
――よっしゃ、シバいたるわ。
それができる人は、その迷惑ストーカーに「怒」ったりはしません。締めるだけです。
ワタシは転売ヤーに「怒り」は覚えません。必要とあらば利用してやろうぐらいに思っています。代わりに並んでくれてありがとう、寿司食ってくれてありがとう、報酬は払うよ。
もしワタシにどうしても欲しいものがあり、それが転売品の購入以外に入手の手立てがないのだとしたら、ワタシはそれをするのをためらいません。ワタシはちょっぴり倫理観に欠けているのだと思います。
自分の金が正当な権利者に渡るか、転売ヤーに流れるかは気にしません。自分の欲しいものを代わりに入手してくれたその労働の対価として、納得できる範囲内の報酬なら払っていいと考えます。
悪いやつが悪いことをするのが悪いんだ。こういう悪いやつらがいなくなればいいんだ。
こうしたご意見に対しては、云っちゃあ悪いですが、云ってることは正しいんだけど、正しさに胡坐をかいて駄々をこねているだけのように思います。
転売ヤー――投機目的で購買をする人々の存在は、もはや否も応もない現代社会の前提になりました。分野によってはその対策が講じられ、功を奏してもいますが、残念ながら大部分はなす術もなく手をこまねいている状況です。
そうである以上、われわれ一般消費者としては、(1)彼ら転売ヤーをあくまでも許さず、転売品には手を出さず、彼らとの正規販売品獲得競争を戦い抜くか、(2)あるいは融通無碍に、必要とあらば彼らを利用するか、そのいずれかを選択するほかはないでしょう。
世の中どうにもならことはどうにもならぬのであって、正しさに殉じて己れを殺すか、求めるもののためにあえて悪をなすか、大げさかつ大雑把に云えばこの二者択一です。
ワタシにも人並みに正義を尊ぶ精神はありますが、それより優先されるのは己れの都合です。
といって、転売ヤーの肩を持つ気もまたありません。
彼らが嫌われ、蔑まれるのは当然です。子供の遊び場荒らして、金を稼いでいる「ブローカー」なんだから。怨まれるのがイヤなら、子供のオモチャからは手を引いて、仮想通貨にでもしとけという話です。
ネット民の流すガセネタに一杯食わされることもあれば、「限定品」を買い占めた挙句、「受注生産」をやるとメーカーが云い出して、大損を被ることもある。そういうこともあるよ。あんたらがやってるのは、博打なんだから。
そうなって、まるでカタギのように泣き言を云うのは、ダサいと思います。
実際、ワタシが冒頭で述べた、製造・流通量に応じた「市場価格」での販売が現実的に難しい以上、これが現在最も実行可能かつ効果的な、転売ヤー撲滅の一手かもしれません。「限定品」の訴求力は損なわれますが、これが常態化すれば、転売ヤーは撤退を余儀なくされ、以前の平穏が戻ることは期待できます。
ワンチャン炎上狙いで転売ヤーは騒ぐでしょうが、気にすることはないと思います。
(2)オマケの巻
最近の飲食チェーンの混乱について云えば、「オマケ」が値打ちもの過ぎた。それに尽きます。
寿司ネタと同じぐらい、ビッくらポンのネタももう少し考えないといけません。
マンガ雑誌に、えなこのグラビア。このあたりが、本体:オマケ比の限度でしょう。
転売ヤーの大量参入を招く程の、バランスを欠いた高価値の「オマケ」による客引きは商売の「邪道」であって、あなたたちも飲食業なら、料理の質で客を呼びなさいよと思います。
大島優子や柏木由紀がファンと握手をしてシングル1位を獲ったのは、あくまでアイドル活動としての彼女たちの頑張りの成果です。これは「営業」です。より売り上げを増やすための努力――それが営業です。
演歌歌手が居酒屋で歌い、CDを手売りする。テレビ曲とタイアップして、ドラマ主題歌にする。――その延長線上にある、プロモーション活動です。
でも、アイドルのシングルに、ちいかわフィギュアを付けてオリコン1位って許せますか? 「ちいかわ」で釣る寿司屋の邪道ぶりって、そのぐらいのものですよ。
具体的な企業名は伏せますが、ポケモンのハッピーセットなんて、無料券ないし割引券をオマケにした「お食事券付きポケモンカード」を受注販売するべきなのです。実勢価格の比率で云えば、ハンバーカー+ポテト+ドリンクのほうがよっぽどオマケじゃないですか。
この事態がこの期に及んで「想定外」であるはずがありません。転売ヤーの参入も、現場の混乱も、商品本体が捨てられるフードロスの不道徳も、「本部」は全て承知の上で利益のためにやっています。この事態の「悪者」を単に転売ヤーだけに押し付け、企業ぐるみの真の背徳を見過ごしにしてはなりません。
「お食事券付きポケモンカード」の付属特典である某ハンバーガーチェーンの無料券ないし割引券が、「あんなバンズパッサパサのハンバーガー、タダでも要らんわ! バーガーキングかモスバーガーに行くわ!」とゴミ箱に直行したとしても、その分にはフードロスも発生せず、某ハンバーガーチェーンにとっては労せずして丸儲けにもなり、よっぽど顧客も店員もハッピーになれるのではないでしょうか。
ワタシ、悪口云ってますか?
むっちゃ身体に悪い「フライドポテト」は大好きですけどね。
タラッタッタッタ♪



















































































