Sugar『Coffee Break』(ジャケット裏)

久しぶりの「LPレコード」。「平成」はすでに「CD」の時代だったから「昭和」以来ってことか。こうしてまともに手に触れるのは。
懐かしい。やっぱりいいわ。この手触り、この重み、このサイズ感。
そりゃあ、CDは手軽です。
その名の通り「コンパクト」だし、なんといっても「カセットテープに録音する」手間が要らない。
物理的にほんの僅かずつ針が盤を削っていくレコードは、そうそう針を落として演奏・鑑賞できません。だからカセットテープに録音する。――のですが、これがまた面倒臭くってね。
再生するのが、またひと手間。最初から全部聴くならともかく、聴きたい曲にジャンプしようと思ったら、テープを「早送り」をしないといけない。もう一度聴こうと思ったら、今度は「巻き戻し」。
「いま思えば」ですけどね。当時は何の疑問もなく、不満も覚えず、当たり前のようにそうしていました。
昭和のおっさんの昔話です。

利便性で云えば、CDの登場は音楽ライフの革命そのものでした。「あの頃は良かった」などと云うつもりはありません。
それでも、なけなしの小遣い銭をはたいて買った、アルバムの「LPレコード」を手にする充実感、高揚感は、CDの比ではありませんでした。「レコード」という物体そのものに、何かしらこころを掻き立てるフェチシズム的な魅力・蠱惑があったことは確かです。
CDには、あまりそれを感じません。配信データに至っては、なおさらです。テクノロジーが発達するほどにこうなってしまうのは、なんとも皮肉です。
ポケットPCに感じた愛着感を、スペックで遥かにまさる現在のスマホには感じない。それに実によく似ています。

 

「愛機」HP200LXのこと
文字通りの「手のひらPC」。いまやご覧のとおり、液晶がすっかりワヤに。20世紀末はお出かけの友として、よく働いてくれました。
これ単体ではネットにも繋がらず、スロット式の「モデム」で「グレ電」(ISDN公衆電話)に繋ぎ、「パソコン通信」(NIFTY-Serve)にアクセスしてました。なにをやってたんだか……。いま思えば、半ばそれをすること自体が趣味で、目的でしたね。
※グレ電 Google検索


HP200LX


昔懐かしいSugarの2ndアルバム『Coffee Break』(1982年)をこうして手に取ったのは、なぜかCD化されないこの名盤を、再び演奏し鑑賞できる機会にして機械が、我が家にやってきたからです。

いまアナログ盤のプレーヤーって、普通に売ってるんですね。アナログ盤の新譜も出てますし、需要はあるんでしょう。クラブDJさんのキュキュッキュキュッ、だけではなく。

現在販売されているアナログ盤プレーヤーにはUSBポートもあって、デジタル化した録音も実に容易です。
過去に所持していたプレーヤーを含むコンポは、とうに処分しています。よしんば持っていたとして、そこからデジタル化し、iTunesに取り込むスキルはワタシにはありません。

 

アナログプレイヤー

ただ、昭和生まれもワタシも、あまりにもCD文化に慣れ過ぎて、肝心なことを見落としていました。
アナログ盤を単にデジタル化しても、歌と歌を区切る信号などはなく、A面・B面がそれぞれ1本ずつの長尺の音声ファイルになるだけなのです。

無音部分を検知して音声ファイルを分割してくれるソフトもあるので、CD的に愉しもうと思ったら、それを使って編集する必要があります。

 

Sugarのこと
かのデビューシングル『ウエディング・ベル』を覚えている世代は、立派なオジサンオバサンでしょう。名前の由来は「しおらしくない三人娘」。
ギャルそのもののミキ、アンニュイで不良っぽいクミ、比較的おとなし気なお嬢様タイプのモーリ。三人三様のキャラと音楽性の融合ぶりは、まるで女版ジ・アルフィー。アルバムを聴かないと、この魅力がわからない。
シングルでメインボーカルを張ったのはミキで、どうしても彼女中心のグループに見られてしまいますが、モーリやクミがボーカルの歌が、シングルとはまた違ったテイストで、これがイイんだ。特にクミの都会的な歌が好きでしたね。モーリこと毛利公子さんの早過ぎる他界が悔やまれます。

多摩市・カナメさんからのリクエストは、アルバム『Coffee Break』より、Sugar『熱い夢』、そして『Bobbysoxer 物語-夏の少女Anna』。2曲続けてお送りします。暑いシーズンの歌なのに、クミさんの歌はクールです。
特に2曲目の『――Anna』、これがいいんですよ。おてんば娘のバイク少女――Annaが、やがて本当の恋を知り、大人の女へと成長していく――。そんなプロセスを約10分の長尺で、モーリ→ミキ→クミが歌い継いでゆく。これだけで「日記」が書けそうです。いつか書けたらいいな。百読は一聴にしかず。聴いてください。


Sugar『Coffee Break』
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ですが、Sugarの名盤を聴くことが、プレーヤー購入の主目的ではありません。これは云わばオマケ、副産物です。
アナログ盤プレーヤーの話だけで、そこそこの尺になりましたので、今回はここまで。プレーヤーまで購入した主たる目的については、また次回に。

2024.11.26 一部変更・加筆