課題解決を行う上でのヒアリングで抑えておくべきこと。 | Work , Journey & Beautiful

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企画営業やコンサルティングを行う上でヒアリングをすることが重要なことは誰もが知っていることだけれど、単に言われたことだけを聞くだけであったり、闇雲に質問をすればヒアリングをしたことにはならない。ヒアリングの目的は「仮説と検証」を繰り返し、真に顧客が求めていることを引き出すことだ。

上記のような場面で僕が常に心がけているのは、まず①クライアント組織の流れと全体を理解すること②解決すべき真の課題を特定することの2点だ。

まず、クライアント組織の流れと全体を理解するについて。組織課題をヒアリングを行う上で①は極めて重要だ。より正確には、「その組織として何を解決すべきなのか?」を把握するために流れと全体の把握を行う必要がある。ここでいう流れと全体というのは、僕の中では下記のように定義される。

■クライアント組織の「流れ」
クライアント組織がこれまでどのような成長・変化を遂げて来たのか?今後、どのような成長・変化を遂げて行きたいと考えているのか?

■クライアント組織の「全体」
業界の中での立ち位置はどうか?組織体系としてどのような全体像なのか?問題となっている部門や階層、職種はどのような立ち位置なのか?


この2点を的確に捉えていないと、その組織として本当に解決すべき課題も、今回の課題がどのような意味を持っているのか?も理解できない。僕がクライアントに提供するソリューションとは主に人材開発・組織開発に関する課題解決策だが、今回直面している課題がクライアント組織にとってどのような意味を持っているのかが分からない(そもそもそれを解決すべきなのかどうかも分からない)状態でどんな教育や採用などの人材開発手法の提案をしても、その会社の全体最適を考えない部分最適でしかなくなる。そういった部分最適な提案をソリューションとは呼べない。

一方で、課題を特定できたとして、具体的に真の要因となっていることを特定し、解決することも勿論のことながら重要だ。組織の流れと全体を理解することが「組織として何を解決すべきか?」を明らかにするものであれば、解決すべき真の課題を特定することは「具体的にどうやって解決するか?」を明らかにするものである。

課題を深堀して真因を特定するためのヒアリングを行う際に僕が心がけているのは、事実(fact)、解釈的仮説(interpretive hypothesis)、検証的仮説(verified hypothesis)のステップでヒアリングを深めていくということだ。

まずは、事実をできる限りもれなく訊く。クライアントというのは自分なりの解釈を加えたニーズを口にしがちだ。例えば「うちの社員は考えが浅い」とか「組織的なコミュニケーションがうまくいっていない」など。それらの言葉を聞いて、「論理力のトレーニング」とか「コミュニケーション円滑化のプログラム」などを提案していたのでは問題は解決するわけがない。具体的に「スケジュールの妥当性を質問しても感覚的な答えしか返ってこない」「上司は『部下が報告・相談をしてこない』、部下は『上司が忙しく話を聞いてもらえない』と言っている」などの事実を把握する。

具体的な事実を把握するために、「現象としてどのようなことが起きているのか?」「現場では具体的にどのような問題が発生しているのか?」という質問を投げかけることになるが、それだけで事実を全て把握したことにはならない。事実を把握するときに重要なことは限りなく漏れなく問題となる事実を把握することだ。そのために6W3H(5W1H)で質問することが重要なのは言うまでもないが、それ以上に僕が事実を把握するために留意している視点(キーワード)は下記の6つの視点だ。

人:個人の能力・意識、マネジメント層、顧客は誰か?ニーズは?
業務:業務内容、業務の流れ、業務の相手は誰か
財務:財務状況、売上推移と収益性
システム:情報連携、マネジメントの仕組み
組織:組織目標・戦略、インセンティブ、評価
他との比較:他社と、他階層、他部門との比較


この全ての項目に基づいてヒアリングを行う必要はない(そんなことをしたらうざがられるだけ)。より正確な解釈を行うために多面的な視点で現場でどのような問題が起きているのか?を把握することが必要だ。そうしてより多くの事実を把握した上で自分なりの解釈を加える。この時点では自分一人が解釈をした仮説でしかないため、その仮説をクライアントに提示し仮説がどの程度真因に近しいものかを検証する。

こういったやりとりを複数回繰り返すことで解釈的仮説から検証的仮説へと深めるプロセスをクライアントとともに行うことが非常に重要だ。結局のところ僕等のようなソリューションを外部から提供する立場の人間に出来ないことは、課題解決の意思決定をすることである。つまるところ僕のような外部の人間がクライアント組織の課題をいくら理解していたとしても、クライアントの担当者が同一の見解をもち、社内で課題解決に向けた行動をとってもらう(具体的には社内稟議をあげるなど)ことなしには何も解決することができない。その意味でヒアリングとは営業・コンサルタントとして自分が何を提案すべきか?を把握するために行うという側面の他に、クライアントが的確な意思決定を行うことを支援するという重要な側面をもっている。




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