確かに上場企業におけるマネジメント層は自身もプレーヤーとしてパフォーマンスを上げなければならない上に、内部統制等の関係で圧倒的に事務作業量が多い。そして上場してまだ間もない成長途上の会社では、管理部門がその負担を軽減するほどまでには仕組みが発達していないため、どうしても現場のマネジメント層の負担は大きくなる。その上に部下の面倒を見ながら、業務のプロセスを管理し、リスクを管理しながら、組織全体の目標を達成していくのは相当タフな仕事だ。
ただだからといってマネジメント層がパフォーマンスを上げられない理由にはならない。なぜならば、そのような環境においても「できるマネジメント層」は忙しい中でもきちんと結果を残してくる。では、その差は一体何か?
1.マネジメントとは何か?を体系的に理解していない。
まず、一番多いパターンは人によって「そもそもマネジメントとは何を為すことか?」が体系的に理解できていない、またはその方法論をそもそも知らないという課題がある。もちろん知っているだけでマネジメントができるわけではない。とはいうものの、成果を高めるためには「正しい」「努力の積み重ね」が必要だが、何が正しいのかを知らなければ極めて効率が悪い。そしてこれはマネジメントであっても例外ではない。
2.マネジメントすることに対するインセンティブが働いていない
また、次によくあるパターンとしては、マネジメント層がマネジメントすることを促す仕組みがないこと。つまり、マネジメント層を評価する際の基準が、「結果」や「成果」のみでそのプロセスである「ちゃんとマネジメントしているのかどうか?」を評価する仕組みがない場合、マネジメントすることに対してインセンティブが働かない。何もここでいう評価というのは、給与を算定するもののみをさすのではなく、蓄積して昇格判断の材料にするものも含む。
しかしそのクライアントでは評価制度でもマネジメントすることを評価項目として設定している(それがインセンティブとして働いているかどうかは別だが)し、これまでも何度も研修や勉強会を行ってきた。それでもマネジメント層の能力にバラつきがあるという。
では何が問題なのか?
それは、マネジメント層の「考えるスパンが短い」ことであり、「振返る時間の不足」である。上述の通り、マネジメント層のやるべき仕事は非常に膨大でともするとPDCAどころかPDPDPD....の繰り返しになってしまったり、ひどい場合はPDDDD....の繰り返しになってしまう。特にベンチャー企業というのは、PDCAを回すよりはとにかく走り続けることで成長する(できる)ため、振り返る時間を設ける習慣が根付いていないことが非常に多い。
確かに短いスパンで考えると過去を振り返っても何が生まれるわけではないし、成果が上がるわけではない。ただ、長いスパンで見れば、振り返り省察することで自分の経験から学べるものがある。また、自分のやるべきこと、やめるべきことを整理することができる。よく「忙しいから振り返りの時間なんて設けられない」なんて声を聞く。そして僕自身も全く同じように感じていた。しかしそれは全くもって勘違い。寧ろ「振り返らないからいつまでたっても忙しい」んだ。そしてその傾向はプレイングマネージャーと言われる現場のマネジメント層に多い。かといって個々人に「ちゃんと振り返れ」と言っても中々その時間は設けられない。また、振り返る、省察するための方法論もあまり知られていない。だからこそ会社は組織全体の問題として、日常の経験を振り返る時間とフレームワークを提供することが重要なんだろう。
(風力発電機とキャベツ畑)
■振り返りの質を高めることで、成長の質を高めるスクール 「CAW」