盲目的に理念を徹底するのはやめよう。 | Work , Journey & Beautiful

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オルタナティブな学びを探求する

理念や価値基準といった、「当社であればどういう基準で判断するか?」といった判断の軸(行動の根拠)を定義し、現場に定着するべく様々な教育を施している組織は少なくない。

基本的に僕自身は価値基準や理念といった判断の軸を組織として共有し、徹底することは素晴らしいと思う。理念と呼ぶのか価値基準と呼ぶのか行動規範と呼ぶのか、呼び名は様々ではあるけれど組織として成長を続ける上で、欠かせない成功要因だと思う。特にこれだけ環境変化が激しく、今や多様な価値観をもった人材が集まっている組織において、意思決定のスピードを早め、共通言語による対話を促進し、一人一人が自律的に判断し、行動できることは、他の組織との差別化になるだろう。つまるところ理念の徹底は組織の成長戦略の有効な一手法だ。

ではあるものの、例えば、「人事担当者はやっきになって理念を徹底しようとしているが、単なる押し付けの説教を聞かせているだけで、現場は辟易としている」とか「そもそも今、なぜこの理念を徹底しようとしているのか?が人事自身分からない(経営者のエゴだったりする)」なんてことがままあるし、とりあえず盲目的に理念を徹底すればいいというものでもない。


重要なのは下記の点だ。


1.その理念で組織が「勝てる」こと

そもそも理念を人材に徹底することの目的は何かというと、上記に書いたように組織として勝つためである。であるにも関わらず「差別化にならない理念」を拙速に定着させようとしても意味がないし、そもそも現場が反発するだけだ。「人事がなんか言ってるけど、そんなことよりも目先の仕事の方が重要だよ」などと現場に言われている限りは理念も価値基準も根付かない。その理念を徹底することで組織が他社に勝てると現場が理解できないものであれば浸透は進まない。


2.現場主導で理念を徹底すること

もちろんのことながら、理念を徹底しようというテーマは本社の人事部門や経営企画などから生まれる。少なくとも僕は現場から「うちの会社は現場まで理念が徹底していない」なんて問題提議がされるのを聞いたことがない。ではあるけれど、理念の徹底は現場主導で行われなくては進まない。例えば人事部門が用意した集合研修や映像教材やeラーニングを通して徹底しようとしても、ほぼすべてが一過性のもので定着するには遠く及ばない。むしろ人事や本社は現場で理念が翻訳され、日常的に上位者から語られるような仕組み(評価制度やワークショップ)をプロデュースすることが求められる。


3.適切な抽象度であること

あまり具体的すぎる理念は多様な場面に対応できないし、あまり抽象的すぎる理念は解釈があまりにばらついてしまう。理念(同じ言葉)から各階層・各部門など様々な立場で翻訳し、自分はどうあるべきなのか?がイメージできる抽象度であることが重要だ。また、理念、価値基準、行動規範とそれぞれにブレークダウンしすぎて10も20も言葉が一人歩きしてしまうこともあるが、覚えるだけで精いっぱいな理念に意味はない。






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