役割分担とは、責任の所在の明確化と移動であり、それはすなわち「これまで誰かがやっていたことを、別の誰かが(まとめて)行う」ということだ。
例えば営業担当者がこれまで案件の全てのコーディネートを進めてきたが、役割分担をすることになり、今後は経費清算だけ自分が担当することになる、とか。
例えばこれまでマーケティング部門が販売促進策の立案から企画設計、進捗管理まで行っていたが、今後は進捗管理だけは営業部門がやることになる、とか。
こういった役割の分担であったり、責任の所在の移動こそが組織化そのものであり、組織の効率化を目指す上で避けられるものではない。
こういったときに、重要になるのは元々その業務を行っていた人間から、今後担当することになる人間へのスムーズな引継ぎだ。後任担当者の負担にならないように、どういう手順でやると効率的か、リスクは何か、といった手順を整理して伝えるのは勿論必要だ。何よりも「自分達がやっていたことの一部を代わりにやってもらえるおかげで、本来やるべき業務に一層力が割ける」ことについて感謝の気持ちが欠かせない。こういった感謝の気持ちは必ず相手に伝わるものだ。むしろこういった気持ちがないと、後任担当者は「面倒なことだけ押し付けられた」「雑用を引き受けただけ」という気持ちになる。こういったネガティブな気持ちは、ひいては行動の質をおとし、結果的に役割分担をしたのに結果としてお互いに楽にもならなければ、パフォーマンスも上がらない。
しかし、引継ぎ方が重要である一方で受け取り方というのも結構重要だ。つまるところスタンスの問題なんだけれやど、引き受け側が「誰かの代わりに(誰かのために)やってあげる」という意識やスタンスだと、どうしても上手くいかない。そういうスタンスだと引き継ぐ側は「出来れば自分がやりたい」という思いを抱き続けたり、コミュニケーションをとるのが億劫になったりする。少なくとも、これみよがしな態度をとる人間に積極的に関わろうとする人はあまりいない。
こういったお互いがお互いに対して感謝し合いながら、for you「お互いのために働く」ではなくwith you「ともに組織の目標を達成するために働く」というスタンスでいることが出来れば役割分担はその期待される効果を最大限発揮し、組織のパフォーマンスは最大化される。
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