慶應義塾女子高等学校の入学者は、幼稚舎入試、中等部入試、女子高一般入試、女子高帰国生入試、女子高推薦入試のいずれかを経ています。たとえば、2024年入学者の内訳は次のとおりです。

  • 幼稚舎入試組:50名弱
  • 中等部入試組:約50名
  • 女子高一般入試組:73名
  • 女子高帰国生入試組:14名
  • 女子高推薦入試組:32名

家庭の経済格差が明らかに存在するため、Netflixで配信されている韓国ドラマ「ヒエラルキー」のような世界を想像するかもしれません。しかし、実際には次のような背景から、家庭の経済格差による問題は起こりにくいようです。

  1. いずれの入試も最難関レベルであるため、全般的に生徒の自己肯定感が高めで、内進生が傲慢になったり、高入生が卑屈になったりしにくい傾向がある。
  2. 幼稚舎入試組と中等部入試組は、中等部でそれぞれ内部生と外部生の立場を既に経験している。
  3. 帰国生入試組と推薦入試組が内進生と高入生の早期撹拌作用を担う傾向にある。

そのため、等身大の自分を肯定できる女子にとっては、多様なバックグラウンドを持つ才媛たちと楽しく切磋琢磨できる魅力的な環境が整っています。

↓の「辛酸なめ子の女子校探訪」は女子高の実態をよく捉えており、慶應中等部や女子高を志望校として検討する際にはとても参考になると思います。

 


慶應女子の入試

慶應女子の入学志願書には志願者本人と保護者が志望理由などを記入するページがあります。次の慶應義塾の目的を記した文章の趣旨をできるだけ正確に理解した上で記入することが望ましいと考えられます。

慶應義塾は単に一所の学塾として自から甘んずるを得ず。其目的は我日本国中に於ける気品の泉源、智徳の模範たらんことを期し、之を実際にしては居家、処世、立国の本旨を明にして、之を口に言ふのみにあらず、躬行実践、以て全社会の先導者たらんことを欲するものなり。

一般入試・帰国生入試出願書類(2024年)の主な記入事項等

  1. 中学時代を振り返って思い出すこと (志願者記入/5行)
  2. 高校時代に特に力を入れてみたいこととその理由 (志願者記入/5行)
  3. 本校を志望した理由 (保護者記入/4行)
  4. 家庭教育で力を注いできたこと (保護者記入/4行)
  5. 中学校在籍時に転校又は3年間で10日以上の欠席若しくは10回以上の遅刻をした場合はその理由 (保護者記入/4行)
  6. 特別活動 (学級活動、生徒会活動、クラブ・部活動、学校行事、その他)の記録 (担任記入/一般入試調査書項目)
  7. 学校生活全般についての総合所見 (担任記入/一般入試調査書項目)
  8. Academic work and intellectual characteristics and abilities (帰国生入試 - School Report項目)
  9. Personal qualities and extracurricular activities (帰国生入試 - School Report項目)
  10. Additional comments on the applicant (帰国生入試 - School Report項目)

推薦入試(2024年)の記入事項等

  1. 本校を志望した理由の詳細 (志願者記入/8行)
  2. 本校に入学したらどのようなことをしようと思っているか (志願者記入/8行)
  3. 志願者を今までどのように育ててきたか、また、これからどのような人間になって欲しいと考えているか (保護者記入/8行)
  4. 特別活動(1年、2年、3年)の記録 (担任記入/調査書項目)
  5. 学校生活全般についての総合所見 (担任記入/調査書項目)
  6. 活動報告書 (担任記入/15行)
  7. 「中学生として諸活動に積極的に取り組んだ」ことを証明する賞状・新聞記事・資格認定書などのコピー

一般入試・帰国生入試は出願書類における項目間の整合性が、推薦入試はそれに加えて面接との整合性が重要であると考えられます。

推薦入試の趣旨

推薦入試の情報は、比較的合格者が少ないこともあり、インターネット上ではあまり有益な情報が出回っていません。その中で↓のブログ記事はとても参考になります。

 


ただ、本気で推薦入試での合格を目指す場合、「慶應女子の推薦入試は基準がわからない」「どの子が受かるか本当にわからない」「慶女推薦は宝くじ」といった塾講師のコメントは真に受けるべきではありません。

慶應女子の推薦入試は、就職試験のようなものだと考えた方が良いため、女子高がどういった子を推薦入試でとりたいと考えているのかを、①前記の慶應義塾の目的、②女子高の教育理念、③推薦入試の要項の冒頭にある受験生へのメッセージ、④出願書類の構成などから読み取った上で、一貫性のある自己アピールを各書類に説得的な形で落とし込む必要があります。

中学生として諸活動に積極的に取り組んだ実績を示すことが求められていますが、出願書類、適性検査、面接を総合して、周りに良い刺激や影響を与えられそうな子だと思ってもらうことが重要なので、必ずしも高いレベルの実績は必要ありません。また、15分間の面接で、出願書類との整合性を見られるため、就職活動と同様、無理に自分を大きく見せようとすることは逆効果です。

女子高がどういった子を推薦入試でとりたいと考えているかについては、↓のインターエデュのスレッドの「ひろピー  (ID:4ASq.39WiMk)」さんの投稿が非常に参考になります。玉石混淆のインターエデュですが、この投稿は信憑性が高いと考えられます。

 


女子高を盛り上げる原動力、より具体的には幼稚舎・中等部出身者とも仲良くして、彼女たちともほど良い距離感を保ちながらも一体化し、女子高を引っ張っていける潜在能力のありそうな子が求められているようです。

そういった潜在能力は就職活動でも最も評価される能力の1つであることを考えれば、残念ながら高校受験塾の講師のアドバイスはあまり参考にならない傾向があります。特に志願者記入欄や保護者記入欄のレビューは、たとえば就活で成功し、10~20年くらいのキャリアを持つ社会人にお願いした方が良い可能性があります。

前記の慶應義塾の目的を理解している卒業生であったり、人事部などで面接官の経験があったりするとなお良いです。親がそういった経歴を持っていて、かつ、わが子の実像を客観的に捉えることができるのであれば、必ずしも第三者のレビューは必要ありません。

推薦入試の準備

一般入試での合格が難しく、推薦入試に懸けている場合、戦略的に入試に臨む必要があります。就職活動において人気企業の入社試験がいくら高倍率でも「宝くじ」だと思っていたら内定が遠のくのと同じです。

  1. 出願資格の充足:①中学生として諸活動に積極的に取り組んだこと、②中学3年時の評定合計が42以上、理科・社会の評定が5、評定が2の科目がないこと、③中学3年間(但し、3年次は12月末日まで)の欠席・遅刻・早退の合計数が5以内であることなどが求められます。
  2. 本人と親の自己分析:①中学生として諸活動に積極的に取り組んだことを客観的に示す事実をできるだけ多く列挙し、②その中で特に周りに良い刺激や影響を与えたであろう事実がどれなのかを検討し、③それらの事実がどういった親の子育ての方針や本人のパーソナリティを反映した結果であるのかを分析する必要があります。
  3. 入学志願書と添付資料の作成:上記2の分析を踏まえて、中学時代に周りに良い刺激や影響を与えたであろう事実、女子高においても引き続き周りに良い刺激や影響を与える可能性が高いパーソナリティを有していること、親の子育ての方針もそれを後押しするであろうことなどが伝わるように入学志願書と添付資料に落とし込みます。
  4. 調査書と活動報告書の作成依頼:担任の先生に調査書と活動報告書の作成依頼をする際は、できるだけ入学志願書の記載との整合性を確保するため、調査書の総合所見や活動報告書に書いてほしい事項などをまとめたメモを添えるのがオーソドックスな方法です。
  5. 適性検査の準備:数学の問題が英語で出題されたり、長めの記述問題や英作文が出題されたりするなど、科目横断的な見識、柔軟な対応力・思考力、文章力などが求められる傾向にありますので、たとえば早稲田アカデミーの慶應女子対策講座などを受講して対策問題集を入手して解いておくと、落ち着いて試験に臨めます。
  6. 面接の準備:上記2~4との整合性に留意した上で、無理に自分を大きく見せようとせずに、面接官と楽しくおしゃべりをするくらいの心構えで臨むのが良いと思います。ただ、落ち着いて面接に臨むためには、早稲田アカデミーの慶應女子対策講座などを受講して過去の質疑応答例を入手してざっと目を通しておくことも有用です。

面接は複数の面接官で行われるものの、面接官と志願者との相性によって多少の評価のバラツキが生じてしまうことは不可避であることを考えれば、偶然性によって合否がある程度左右される試験であることは否めません。そのため、一般入試と併願していてもし推薦入試に落ちてしまっても気を落とす必要はありません。たとえば「他の面接官であれば合格していたはず!少し運が悪かっただけ」と前向きに気持ちを切り替えて一般入試に臨むと良いのではないかと思います。


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慶應義塾女子高等学校の推薦入試は、合否にかかわらず、戦略的に準備を行えば将来の就職活動の先取り学習にもなり、高校時代や大学時代を有意義に過ごす上でも有用です。たとえば慶應女子に興味がありながらも一般入試の難易度の高さなどに気後れしているかたは、ぜひ推薦入試に挑戦することを検討してみてください。

 

我が家の縁者には、慶應義塾、開成、灘などの出身者がいますが、これらの名門校の校風の共通点は自由や主体性を重んじるところにあります。

慶應と開成の共通点

特に慶應義塾と開成については、幕末に欧米を視察した進歩的な知識人が英国パブリックスクールなどを範として創立したという共通点があります。慶應義塾の創立者である福澤諭吉も、開成の創立者である佐野鼎も、共に万延元年遣米使節(1860年派遣)と文久遣欧使節(1862年派遣)に参加し、欧米に渡航しています。

 

なお、福澤諭吉は、万延元年遣米使節については使節団のメンバーではなく太平洋横断時に随行した護衛艦の咸臨丸に乗船しています。また、開成に関しては、その後、佐野鼎が早逝し、廃校寸前となっていたところを後に首相となる高橋是清が初代校長に就任して現在に至るまでの学園の基礎を築いたとされています。

慶應義塾と開成はいずれも校章が「ペンは剣よりも強し」をモチーフとした記章であるという点においても共通しています。さらに、慶應の三田会と同様、開成も開成会という同窓会組織が比較的強固です。三田会と開成会の類似性については↓のブログ記事が参考になります。

 


開成の特徴

上記ブログの開成に関する記事は、開成愛が強く表れているため、少し大げさに感じる部分もあるかもしれませんが、概ね実態をよく捉えているように思われます。開成会に関する記事のほか、↓の記事も開成を志望校として検討する際にはとても参考になると思います。

 

 

 

 

 

 

 

開成のネガティブな面にはあまり触れられていませんが、強いて挙げれば、次のような点があります。

  1. 学業面については鉄緑会をはじめとする塾頼みの部分が大きく、鉄緑会などに通わせない場合は極端に中だるみしてしまう可能性もあること。
  2. 自由で寛容すぎるが故にそのまま社会に出ると生きづらさを感じる個性なども矯正されずにそのままになりがちなこと。
  3. 女性との自然な関わり方を学ぶ機会が乏しいこと(中高一貫の男子校に共通するデメリット)。

なお、↓の記事において、開成の現校長の野水勉先生について「経歴だけ見ても、とんでもなく優秀な、スーパーエリート先生なのですが、このハーバード大の経験のおかげか、開成の英語教育が前校長時代とはだいぶ変わったようです」と評している部分に関しては、いくつかの点で誤解を招く可能性があります。

 

 

野水先生はハーバード大学に客員研究員として1年半留学していたのみですが、前校長の柳沢幸雄先生は18年間にわたってハーバード大学に研究員、助教授、准教授、併任教授として勤務していました。また、教育体制を変えて整えるためには一定の期間が必要です。これらの点を考慮すると、むしろ前校長の柳沢先生のおかげだと捉えた方が良いように思われます。野水先生はハーバード大学時代に柳沢先生と家族ぐるみの交流があったことなどを考えれば、そもそも野水先生が後任となったのも柳沢先生の強い影響があるのではないかと考えています。

 

慶應義塾の特徴

また、↓の記事で、慶應義塾の中学入試について、「慶應の入試問題は偏差値の割に非常に簡単です。筑駒や開成、渋幕、聖光、渋渋のように難解な思考力問題は出さないし、慶應と同じような偏差値帯の早稲田、海城、駒東などのような難しい問題も出しません。慶應の問題はミスをどれだけしないかの勝負です。つまり、学力があるけど、うっかりミスをするような人は求めていません。学校の指示にきちんと従い、ミスをしない子を求めています。」と言及している部分も、難問を出さないと言い切ってしまっている点などにおいてミスリーディングです。

 

 

たとえば2024年の慶應中等部入試の算数では、問題の難易度を易しい方からA、B、Cで評価しているコベツバの分析によれば、たしかに難易度Aの問題が多数を占めているものの、難易度Bも複数出題されているほか、開成や筑駒でも出題されていない難易度Cの問題も出題されています。

 

 

 


さらに、慶應の中学入試では、中等部の基本理念などからも明らかなとおり、「学校の指示にきちんと従い、ミスをしない子」よりも「自ら考え、自ら判断し、自ら行動できる子」を求めています。入試においてうっかりミスをすれば合格が遠のくのは開成の入試でも同じで、慶應義塾の入試が殊更ミスに厳しいわけではないと考えられます。


ただ、慶應義塾の中学入試が開成よりも学力以外のファクターを重視していることは間違いありません。慶應義塾は、次の言葉で示されているとおり、「気品の泉源、智徳の規範」「全社会の先導者」を輩出することを目的としています。

慶應義塾は単に一所の学塾として自から甘んずるを得ず。其目的は我日本国中に於ける気品の泉源、智徳の模範たらんことを期し、之を実際にしては居家、処世、立国の本旨を明にして、之を口に言ふのみにあらず、躬行実践、以て全社会の先導者たらんことを欲するものなり。

そのため、慶應義塾の中学入試において面接や体育の実技試験があるのも、親が「全社会の先導者」となるためには学力だけではなく「気品」と「強健な肉体」が必要であることを理解した上で、子育てにおいてもそれらを重視し、実践に努めているかどうかを試すものだと考えられます。

 

幼稚舎入試ほどではないにせよ、中学入試においても、慶應では、親の子育ての方針が慶應義塾の目的と概ね合致しているかどうかをチェックしていると考えられるため、親自身が「気品の泉源、智徳の模範」「全社会の先導者」となるように努めていると有利なように思われます。

 

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慶應義塾も開成も、自由な校風と主体性を重んじる教育方針により、多くの優れた人材を輩出してきました。これらの学校に通うことは、生徒たちにとって貴重な経験と学びの場となりますが、それぞれの学校の特徴や課題を理解し、親の子育ての方針やわが子の性格に合った選択をすることが重要です。

高1長女は国立大附属中(共学校)から私立大附属高校(女子校)へ進学しました。小6次女は、↓の冒頭でも書いたとおり、長女と同じ国立大附属中(共学校)に進学し、高校受験では公立高(共学校)を目指すことを考えています。

 

男女別学か共学か

中学受験や高校受験の志望校選択において、男子校/女子校(男女別学)を目指すか、共学校を目指すかは、最も慎重に考慮しなければならない要素の1つです。

 

高校受験では本人の意向を尊重すればミスマッチが生じにくいのに対し、中学受験の場合は、一般的に本人の意向が親の積極的ないし消極的な誘導で左右される度合いが大きいため、親が本人の性格を見極める必要があります。

ただ、親自身も男女別学又は共学のいずれかしか経験したことがないことが多く、双方を経験したことがあっても親と子では性格が違う場合も少なくありません。そのため、わが子にとっての男女別学と共学のそれぞれのメリットとデメリットを真に理解するのは容易ではありません。


男子校/女子校(男女別学)の主なメリット

  1. 集中力の向上: 共学では、異性の存在が気になったり、恋愛関係がこじれたりして学業に集中しにくい傾向がありますが、男女別学では学業に専念しやすいとされています。
  2. 自分らしさの追求:共学では、異性の視線やプレッシャーなどから自然体でいられない傾向がありますが、男女別学では、異性からの視線を気にせずに自分らしく振る舞ったり、のびのびとした環境で自分の興味や才能を探求しやすい傾向があります。
  3. 絆の深めやすさ:共学では、異性をめぐる競争意識や恋愛トラブルによって同性同士の絆を深めにくい傾向がありますが、男女別学では、同性同士の絆を深めたり、男性特有ないし女性特有のリーダーシップやチームワークを自然に学んだりしやすいとされています。

男子校/女子校(男女別学)の主なデメリット

  1. 異性との自然な関わり方を学ぶ機会の乏しさ: 男女別学では、異性との日常的な接触が少なく、異性との自然な関わり方を学ぶ機会が少なくなります。他方、共学では、異性の視点を理解し、公私において異性と円滑に協働する能力を醸成しやすい傾向があると言われています。
  2. 視野の狭窄や固定観念の強化:男女別学では、多様な人間関係や意見の対立を経験しにくく、幅広い視野や柔軟な思考を養いにくいとされています。また、異性に対する固定観念や偏った異性観が強化される可能性があります。他方、共学では、より現実的な人間関係を学ぶことで視野を広げたり、柔軟に捉えたりする能力を育みやすい傾向があると言われています。
  3. 閉塞感や意欲の低下:男女別学では、同性のみの環境が続くことで、日常が単調に感じられ、閉塞感を抱き、場合によっては外部に危険な刺激を求めてしまう可能性があります。また、異性がいることで競争心や意欲が高まるタイプにとっては、同性のみの環境はモチベーションが下がる可能性があります。

親としての役割

男女別学も共学もそれぞれメリットとデメリットがあることを考えると、親として大切なのは、できるだけわが子に合った選択がどちらなのかを真剣に検討することです。その際、中学受験の場合、偏差値帯によっては共学校の候補が限られることなどから、共学が向いている子でも男女別学を選択せざるを得ない場合もあります。

 

ただ、毎日男女が同じ教室、同じメンバーで顔を合わせて長い時間を共有できる共学の中高は、異性との自然な関わり方を学ぶ場として唯一無二と言ってもよいことを考えれば、男女別学に進学させる場合にはデメリットによる弊害を最小限に抑えるように努力する必要があります。

 

異性に認められたいタイプは要注意!?

わが子が男女別学に向いているか、共学に向いているかを検討する上で、異性がいることで競争心や意欲が高まるタイプかどうかが重要なポイントの一つです。

 

周囲に認められたいけれども同性か異性かどうかにこだわらないタイプや、もともと周囲に認められたいという欲求が低いタイプの場合、男女別学でもモチベーションが低下する可能性は低く、むしろ楽しめる可能性が高くなります。他方、異性に認められることを原動力としているタイプの場合、男女別学では強い閉塞感を抱き、言わばモノクロームの世界でモチベーションを失う可能性があります。

中学受験において親が進捗管理しなくても自ら勉強の計画を立てて好成績を収められるタイプの場合、実は異性がいる環境だからこそ競争心や意欲が高まることによって、親に言われなくとも自ら進んで勉強している可能性があります。

 

反対に中学受験において親が進捗管理することで好成績を収められるタイプの場合、親に日々褒められ、認められることが大きなモチベーションになっている可能性が高く、その後の「親離れ」の過程において、異性がいることで意欲が高まるタイプに転じるのか否かが問題となり得ます。

 

次女のモチベーションの源泉

小6次女は、塾の授業に頼らない(ほぼ)自習スタイルですが、週1日の授業で皆の前で先生に褒められることが大きなモチベーションになっています。次女の場合、男子に成績を褒められると嬉しそうに話してくる傾向があるため、異性がいることで競争心や意欲が高まるタイプなのではないかと考えています。

実際、夫は異性がいることで競争心や意欲が高まるタイプだったためか、中高一貫の男子校に入学した途端、勉強に対する意欲を失い、いわゆる「深海魚」となったにもかかわらず、大学や大学院では「水を得た魚」のように好成績を収めました。

 

夫は中学受験時代、塾にはフルで通っていたものの、次女と同様、親に言われなくても自分で学習計画を立てて好成績を収めることを喜びとしていたことを考えると、次女の場合、親としては、夫と同じタイプである可能性を踏まえて、共学を選択した方が無難なのではないかと考えています。


長女の選択

国立大附属中(共学校)から私立大附属高(女子校)に進学した高1長女の場合、共学の中学時代も楽しかったようですが、高校受験では「別に学校に男子がいなくてもいいし」と言って女子校を選択しました。実際、学校では男子がいることで生じる煩わしさから解放されて女子校ライフを目いっぱい楽しんでいます。休日や放課後には同じ大学の附属高(男子校)の男子とデートするなどしていることもあり、男女別学のデメリットは感じていないようです。

 

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親にとってわが子を客観視することは難しく、また、子も反抗期までは意識せずとも親に認められたい一心で親の期待や意向に沿った振る舞いをしようとすることもあるため、わが子の本来の性分を見極めることはなかなか容易ではありません。ただ、中学受験における男女別学か共学かの選択は、子どもの将来に大きな影響を与えうる重要な決断であることを考えれば、親としては、できるだけ子どもの性格を把握した上で慎重に選ぶ必要があります。

↓で書いたとおり、高1長女の中学受験では、親として最難関にこだわりすぎて娘に無理をさせてしまったという反省がありました。

 

 

この経験も踏まえて、小6次女に関しては、当初から長女と同じ国立大附属中へ進学、高校受験で公立高というルートを考えていました。


次女の勉強スタイル

 

次女は読書が大好きだったこともあり、親としては、中学受験の勉強だけではなく、次女が興味のある本を読む時間を大切にしたい、また、家族団欒の時間も十分に確保したいという想いなどから、塾にフルで通わせるという選択肢はありませんでした。

現在も四谷大塚YTnet提携塾で融通を利かせてもらって週1日だけ授業を受け、組分けテストや週テストなどを受験するという(ほぼ)自習スタイルを続けています。夏期講習などもテキスト代だけお支払して自習です。

国語力が高いためかテキストや解説を読めば概ね理解できるようで、「親塾」も拒否しています。週テストや組分けテストのための日々の勉強のスケジュールも自分で立てて管理しています。以前はたまに分からないことがあると親に聞いてくることもありましたが、親が即答できないことが多くなるにつれて、次第に聞いてくることもなくなりました。

今でも娘の方から答え合わせなどを頼んできたり、社会の用語などを声に出して覚えるために絡んできたりすることはありますが、親の方から勉強のやりかたなどに口を挟むと不機嫌になるので、親が出る幕は、図書館で娘が読みたい本や興味を持ちそうな本を借りてきたり、他塾の無料テストなどに申し込んだりする程度です。申し込んでも気が乗らなかったり、余裕がなかったりすると却下されます。

次女の選択

国語や社会はともかく算数や理科に関しては自習では限界が出てくるだろうと考えていました。そこで、第1回合不合で算数の偏差値が51だったことなどを持ち出して、次女に対して次の選択肢を提示しました。

  1. 算数や理科の成績を上げるため、通塾日数を増やす。
  2. 中学受験の勉強はほどほどにして、英語学習などに切り替える。
  3. 現状の自習スタイルを続ける。

親としては、国立大附属中への進学を考えれば、現時点の学力でも全く問題ないはずだし、中学受験の算数を極めたとしても必ずしも中高の数学に直結するわけではないことなどを考え、2が良いのではないかと誘導しようとしました。

しかし、次女の選択は3でした。さらに、国立大附属中への進学を前提としながらも「私が努力してきたことや努力しようとしていることを無駄であるかのように言わないでほしい」と言ってきました。また、第1回合不合の算数の成績が悪かった理由についても、娘は、前日まで1週間の家族旅行で算数の勉強をする時間がとれずに勘が鈍っていたからだと説明してきました。

親のさらなる反省

次女の発言を受けて、自分でスケジュール管理を行い、塾の授業に頼らずに自習スタイルで好成績を収めることにやりがいや喜びを見出しているにもかかわらず、それを取り上げようとするのは良くないことだと反省しました。

親としては、記念受験(進学意思のない受験)についても否定的でしたが、娘がやりがいや喜びを見出すのであれば、国立大附属中への進学を前提としながら最難関を受験して合格を目指すことにも意味があるのではないかと考え直すようになりました。

また、次女が信念を持って中学受験に挑んでいるのであれば、親としても関心は持ち続けるべきだと思い、組分けテストの成績推移を分析してみると、↓のとおり、自習スタイルでは限界が来るだろうと思い込んでいた算数の偏差値が上昇基調であったことに初めて気づきました。

 


親の思い込み

次女のケースは塾の授業に頼らない(ほぼ)自習スタイルという点においては特殊ですが、自らスケジュール管理を行って好成績を収めることにやりがいや喜びを見出すのは、中学受験の伴走にやりがいや喜びを見出す親とあまり変わらないことを考えれば、次女はプレイングマネージャーをしているにすぎないのかもしれません。

そう考えると、↓のブログ記事で言われているような「親からの勉強の進捗管理なしでの難関中学への合格などあり得ない」「最上位クラスだからといって、喜んで勉強してる奴なんて居ないから」という考え方は極端なのではないかと思います。

 

 


親がわが子の勉強の進捗管理を行って目標を達成することにやりがいや喜びを見出すのと同じように、自分自身で進捗管理して目標を達成することにやりがいや喜びを見出す小学生も一定数います。

さらに言えば、特に最難関に合格するレベルであれば、ある時期までは親による進捗管理(補助輪)が必要だったとしても、最終的には実は補助輪なしでも自走できている小学生も少なくないはずです。

 

次女の発言から学んだことは、親の思い込みは子どものやりがいや自主性を奪いかねないということでした。次女の自律的な学習スタイルを尊重し、見守りながらサポートする姿勢を持ち続けることが大切だと改めて感じました。

 

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今後も娘たちの考えや努力を尊重し、彼女たちが最終的には自分の力で道を切り開いていけるように、親ができることは、子どもの意欲や努力を信じ、必要な環境を整え、健全な成長を温かく見守ることだと肝に銘じて向き合っていきたいと考えています。

我が家の高1長女は、中学受験と高校受験の両方を経験しています。

中学受験では、当初は桜蔭を目指していました。しかし、成績が安定せず、途中で公立中への進学も視野に入れることになりました。最終的には無理せずに合格できそうな国立大附属中に照準を絞り、無事に合格し進学しました。

高校受験では、当初は公立高を目指していました。しかし、文化祭に行って気に入った私立大附属高を受験し、無事に合格して進学しました。

中学受験の是非

中学受験には肯定論と否定論があります。肯定派の主な論拠としては、学力向上、早期の自己啓発、豊かな教育環境、幅広い選択肢、高校受験の回避などが挙げられます。一方、否定派の主な論拠としては、子どもへの負担、経済的な負担、詰め込み教育の弊害、自信の喪失、教育虐待の可能性などがあります。

中学受験肯定派の論拠

  1. 学力向上:中学受験を経験させることで高い学力をつけさせることができます。
  2. 早期の自己啓発:受験勉強を通して、目標達成のために努力すること、計画的に学習することなどを学ぶことができます。また、プレッシャーに打ち克つ力や最後までやり遂げる力などを身につけることができます。
  3. 豊かな教育環境:一般的に中高一貫校では、充実した教育環境に学力や意欲の高い生徒たちが集まっています。こうした環境の中で学ばせることは、知的好奇心を刺激し、学習意欲を高める効果があります。
  4. 幅広い選択肢:公立中への進学の場合、居住地域などから進学先の選択肢は限定されますが、中学受験の場合、幅広い選択肢の中から子どもの個性や価値観に合った校風を選択することができます。
  5. 高校受験の回避:中高一貫校の場合、高校受験の準備や内申点を気にすることなく、のびのびとした中学生活を送ることができます。

中学受験否定派の論拠

  1. 子どもへの負担:受験勉強は、子どもにとって大きな負担となります。長時間勉強することで、睡眠不足、運動不足、ストレスなどの心身への悪影響が懸念されます。
  2. 経済的な負担:塾や家庭教師などの費用がかさみ、経済的な負担が大きくなります。
  3. 詰め込み教育の弊害:受験勉強は、詰め込み教育になりがちです。本来の学びの楽しさを失い、創造性や主体性を育む妨げになる可能性があります。
  4. 自信の喪失:受験に失敗した場合、子どもの自信を喪失させてしまう可能性があります。
  5. 教育虐待:子どもの意思や適性を無視して、親が過度に期待をかけたり、結果を強く求めたりすることで、子どもを精神的に追い込み、心身ともに傷ついてしまう可能性があります。

中学受験を選択する場合、親としては、肯定派が挙げるメリットを子どもが最大限享受できるようにして、否定派が挙げるデメリットを最小限にする責任があります。特に、受験結果にかかわらず子どもが進学先で楽しく学校生活を送るためには、進学先について幅広い選択肢を模索し、検討しておくことが重要です。


親としての学び

しかし、「言うは易く行うは難し」で、親自身のこだわり、思い込み、囚われなどから免れることは難しく、子どもに幅広い選択肢や可能性を提示することは困難になりがちです。

実際、我が家も長女の中学受験においては、本人よりも親が最難関にこだわってしまい、思うように勉強してくれない娘に苛立ちを覚えたこともありました。高校受験においても、親自身のこだわりは薄れたものの、英語の成績が志望校の合格ラインに到底及ばないにもかかわらず、真剣に勉強しようとしない娘にもどかしさを感じることもありました。

娘たちと向き合っていく中で、子どもに苛立ちを覚えた場合、その原因は親自身のこだわりや思い込みにあることが多いことに気づきました。また、子どもにもどかしさを感じた場合、それは親自身の短所や育て方の問題であることが多いことにも気づかされました。

娘たちの子育てを通じて親自身が学び、自己理解を深めることが多々あります。まさに「子は親の鏡」です。長女が高校に楽しく通っている姿を見て、そのことを再認識しています。

中学受験や高校受験を経験する中で、親として多くのことを学びました。子どもが楽しく学校生活を送るためには、親自身がこだわりを手放し、子どもの個性を尊重し、健全な成長を後押しすることが大切であるということを実感しています。

 

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これから受験を迎えるご家庭の皆様にとって、我が家の経験が少しでも参考になれば幸いです。親としての成長もまた、子育ての一部であることを忘れずに、日々の生活を大切に過ごしていきましょう。

小6次女の第2回合不合判定テストは、第1回と比べて算数の偏差値が51.0→71.1へ大幅に上がったことが 、彼女をして「『この世をば』と詠みたい気分」 と言わしめた理由の1つです。 しかし、受験戦略上は偏差値が20以上も変動する事態をどのように捉えるべきか、慎重に考える必要があります。

 

第1回合不合判定テスト(2024年4月)

  得点 女子内偏差値 女子内順位 標準偏差
算数 85 51.0 3,079/6,678 23.4
国語 131 85.5 1/6,678 18.0
理科 72 59.9 976/6,475 17.3
社会 88 69.5 59/6,300 18.1
2教科 216 68.2 141/6,678 36.5
3教科 288 66.4 251/6,475 50.6
4教科 376 67.8 151/6,300 65.9

 

第2回合不合判定テスト(2024年6月)

  得点 女子内偏差値 女子内順位 標準偏差
算数 120 71.1 41/7,111 21.8
国語 142 80.2 3/7,111 19.7
理科 68 62.9 607/6,858 14.3
社会 96 72.1 12/6,706 19.7
2教科 262 78.9 3/7,111 36.5
3教科 330 75.8 14/6,858 47.7
4教科 426 75.8 11/6,706 64.4

 

エクセルで標準偏差を計算する方法

 

↑の最右欄の標準偏差については、エクセルに得点(セルB2)、平均点(セルC2)、偏差値(セルD2)を入力し、「=(B2-C2)/(D2-50)*10」といった計算式を使えば概算できます。四谷大塚の場合、成績帳票ではなく「これまでに受けたテスト」という画面で小数点2桁まで表示されている偏差値を用いた方がより正確です。

 

各教科の標準偏差の影響

 

一般的には標準偏差(受験者間の得点のバラツキ)が大きい教科ほど差がつきやすく、総合成績に与える影響が大きくなります。

 

たとえば、算数と国語の形式的配点が150点で平均点がどちらも100点であったとしても、算数と国語の標準偏差がそれぞれ30と10であれば、持ち偏差値が算数60、国語40のAさんの期待得点は算数130点、国語90点で合計220点、持ち偏差値が算数40、国語60のBさんの期待得点は算数70点、国語110点で合計180点となります。形式的配点が同じであるにもかかわらず、算数が得意なAさんの方が圧倒的に有利な試験となります。そのため、この場合の実質的配点は標準偏差の比と同じく、算数225点、国語75点と考えた方がよいです。

 

実質的配点の考え方

 

テストの結果を分析する際、各教科の標準偏差の比を踏まえた実質的配点を考えると、総合成績の変化の一定部分を合理的に説明できる可能性があります。↑の第1回合不合判定テストと第2回合不合判定テストの各教科の標準偏差(女子)を比較すると、次のような考察が可能です。

  1. 第2回は第1回と比べて、算数の標準偏差が23.4→21.8、理科の標準偏差が17.3→14.3にそれぞれ下がったため、算数や理科が得意な女子と苦手な女子の差がつきにくくなり、算数や理科の持ち偏差値が総合成績に与える影響が減少した。
  2. その反面、国語の標準偏差が18.0→19.7、社会の標準偏差が18.1→19.7にそれぞれ上がったため、国語や社会が得意な女子と苦手の女子の差はつきやすくなり、国語や社会の持ち偏差値が総合成績に与える影響が増大した。
  3. 第1回も第2回も、国語と社会の標準偏差は同程度であるため、形式的配点の違い(国語150点、社会100点)にかかわらず、実質的配点はほぼ同じだと捉えた方がよい。
なお、一般的には標準偏差が大きい教科ほど差がつきやすくなりますが、今回の理科のように特に平均点と標準偏差が共に低下した場合、たとえば持ち偏差値が70を優に超えていて通常のテストでは余裕で満点をとってしまう子などにとっては全体の標準偏差は小さくとも差をつけやすい試験になります。このことは、第2回合不合判定テストの理科は満点だと偏差値85まで達するのに対し、社会は満点でも偏差値74に留まることからも明らかです。
 

次女の場合

 

国語や社会の持ち偏差値の方が算数や理科の持ち偏差値よりも高い次女の場合、総合成績の向上を↑の標準偏差の変化(=実質的配点の変化)によって説明できる部分があります。ただ、一番大きいのは算数の偏差値が51.0→71.1に上昇したことです。
 
偏差値が20も変動すると、持ち偏差値を推定することが難しくなり、現状把握が困難になります。2回の合不合判定テストの結果だけを前提とすると、算数の持ち偏差値は、悲観的に考えれば50-55のレンジ、楽観的に考えれば65-70のレンジ、間をとって60程度と推測するしかありません。
 
ただ、現状把握を誤ると無駄な努力を重ねてしまうことにもなりかねません。そこで、これまでの公開組分けテストの成績推移などもあわせて考える必要があります。

 

 
公開組分けテスト成績推移
 
 
↑は組分けテストの偏差値推移グラフです。ただ、そのままではトレンドが分かりづらいため、各回の直近5回分の平均をプロットする移動平均グラフを作成すると、↓のようになります。
 
 
国語は横ばいか、やや下降、他の科目は算数を含めて概ね上昇基調にあることが分かります。さらに、各回の直近5回分ではなく7回分の平均をプロットした移動平均グラフは↓のようになります。
 
 
以上の公開組分けテストの成績推移からは算数の持ち偏差値は60-65の範囲にあると推定できそうです。↓の早稲田アカデミーのNN志望校別オープン模試の成績からも、第2回合不合の算数の好成績はまぐれに近いと考えられます。
 

第2回NN桜蔭中オープン模試(2024年5月/自宅受験)

  得点 偏差値 順位 標準偏差
算数 30 43.2 176/251 14.0
国語 58 63.0 24/252 10.2
理科 37 61.6 29/250 7.4
社会 48 62.6 14/250 8.6
4教科 173 57.8 47/250 29.6
判定:合格 合格可能性:70% 予想合格点:151

 

第2回NN女子学院オープン模試(2024年5月/自宅受験)

 

  得点 偏差値 順位 標準偏差
算数 50 44.7 283/421 15.8
国語 66 65.9 22/421 10.0
理科 40 42.4 312/420 10.9
社会 60 70.9 9/420 9.5
4教科 216 55.4 47/420 55.4
判定:合格 合格可能性:55% 予想合格点:206
 

・ ・ ・ ・ ・

 
算数の成績が大幅に向上したことは大変喜ばしいことですが、その一方で、受験戦略上は、今回の結果が一時的なものかどうかを見極める必要があります。標準偏差の変化や過去の成績推移を分析することで、より正確な現状把握が可能となります。今後も引き続き、娘の努力をサポートしながら、バランスのとれた成長を見守っていきたいと思います。

小6次女は良い成績をとると、彼女は「褒めて」「もっと褒めて」と甘えてきます。親としては、そんな娘の姿がとても愛おしいです。

しかし、ここで1つの懸念があります。成績が良いこと自体を褒めてしまうと、彼女が「地頭が良いこと」をアイデンティティとしてしまい、努力を怠ってしまうようになるのではないかという心配です。

 

実際、夫も中学受験が努力のピークで、中高時代は授業もロクに聞かずに過ごし、「一夜漬けでもそこそこの成績を取れるオレ」→「朝漬けでもなんとかなるオレ」→「電車漬けさえせずにノー勉でも留年はしないオレ」となってしまいました。

そのため、私たちは娘たちを褒めるときには成績そのものよりも、努力を褒めることを意識しています。しかし、努力を褒めること自体にもまた1つの懸念があります。努力して良い成績をとる娘だから愛しているかのようなシグナルを送ってしまうのではないかということです。

さらに、中学受験で成績が突出している場合、知的能力にアンバランスさが生じている可能性が高いことも悩みの種です。言語的・語学的知能や論理的・数学的知能が高いにもかかわらず、それを十分に活かすために必要な対人的・社会的知能が不足していると、生きづらさを感じることがあります。

 

我が家でも、中学受験で比較すると次女の成績は長女よりも突出していますが、言語的・語学的知能や論理的・数学的知能と対人的・社会的知能のバランスに関しては、次女よりも長女の方がとれているように感じます。

 

次女には、将来このアンバランスさによる生きづらさに直面することがあったとしても、力強くしなやかに乗り越えられるような人間になってほしいと常々思っています。

 

そのため、次女が良い成績をとると、もちろん誇らしく嬉しい気持ちもありますが、手放しで喜ぶことができず、なかなか褒め言葉がうまく思い浮かばない時もあります。また、良い成績が続くと、初めて良い成績をとった時と同じ熱量で表現するのが難しくなることもあります。


そこで、昨晩も次女から「褒めて」と言われたので、次女の成績をChat GPTに入力し、適切な褒め言葉を考えてもらい、ほぼそのまま読み上げました。

 

〇〇ちゃん、本当に素晴らしい成績をとったね!特に国語の成績は驚異的で、全体で3位に入るなんて本当にすごいよ。算数や社会もとても高い点数で、日頃の努力が実ったね。理科も一生懸命頑張って、全体的にとてもバランスのとれた素晴らしい結果だと思います。これからもその頑張りを続けて、もっともっと輝いてください。お父さんとお母さんはいつも応援しています!
 

・ ・ ・ ・ ・

 

親としての葛藤は続きますが、娘たちの成長をこれからも見守っていきたいと思います。

先日、小6次女が四谷大塚の合不合判定テストを受け、素晴らしい成績を収めました。以下がその結果です。

 

        得点   女子内偏差値     女子内順位
算数 120 71.1 41/7,111
国語 142 80.2 3/7,111
理科 68 62.9 607/6,858
社会 96 72.1 12/6,706
2教科 262 78.9 3/7,111
3教科 330 75.8 14/6,858
4教科 426 75.8 11/6,706

 

このテストの結果が出た後、家族で夕食をとりながらNHKの『英雄たちの選択』の藤原道長回を観ている時に、次女が「私も『この世をば』と詠みたい気分」と口にしました。

 

この世をば 我が世とぞ思ふ 望月の
欠けたることも 無しと思へば


藤原道長が詠んだこの和歌は、彼の栄華を象徴するものとして有名であり、時には彼の驕りを示すものともされています。しかし、三后すべてを道長の娘が占めることとなった際の祝宴の席で詠まれたことなどから、酔中の戯れにすぎないという説もあります。次女もこの説を支持しているようです。

「この世」が「この夜」の掛詞でもあることなども踏まえると、番組中のいとうせいこうさんの次のコメントが当たっているのかなと思います。

 

文字だけ残るとやっぱりすごくつけあがっているようにしか思えない内容なんですよ。ただ、歌っていうのは本当に詠まれる時は音で詠まれますので、ひょっとしてもし詠んだとしても、すごくしみじみと子どもたちのことを思って、娘たちのことを思って「いやぁ本当にここまできたな。よかったなぁ。」ぐらいでぽそっと言ったら、誰かが大きく書いちゃったかもしれないわけで・・・

 

同じくNHKの大河ドラマ『光る君へ』も家族で観ていますが、そこでこの歌がどのように描かれるのか楽しみです。

 

・ ・ ・ ・ ・

 

家族でドラマを一緒に見て感想を言い合うことで、娘たちの国語力が自然と高まっているように思います。また、こうして家族で過ごす時間が、娘たちの成長を支え、家族の絆を強くしていることを実感します。