開成とは②自立②

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開成が優れている点は、有名度、自立度、卒業後のOBとのつながり（開成会）でしたが、その中での自立話の続きです。

開成の旅行話でも、運動会、文化祭、勉強面、部活動、何もかもが立候補制で、何かをやる場合、必ず自分の意思が尊重されます。

やりたい人が沢山いて、なれる数に限りがあったら、どの人が相応しいか、周りからの投票で決められます。

つまり、周りから見て人望があるかを見られます。日頃、責任感を持って仕事をしてるか、この人に任せたら楽しい企画になるか、親切か、時間を守るか、責任感があるか、真面目か、成績が良いかなど、トータルの人物評価で任せても大丈夫かを決めます。

自分から立候補しているので、責任感を持って仕事を積極的にこなすのは当たり前ですが、やりたかった人が沢山いた中から選ばれたのなら、さらに責任重大ですので、効率よく、抜けなく、皆が満足する行事になるよう仕事を立派にこなすでしょう。

なお、仕事以外、例えば運動会のリレーの選手のような身体能力が関係するものを選ぶ時などは、普通は全員の中から足が速い順に選ばれると思いますが、開成の場合は、立候補した中でのタイム順となります。

つまり、いくら足が速くても、みずから立候補しない者は絶対に選ばれません。

立候補しないという事は、そこには何かしら、参加したくない意思が含まれているわけですから、それを無理強いすることは決してありません。

逆にそんなに速くなくても、最低条件のタイムさえクリアして立候補すれば、選ばれるチャンスがあります。

どの仕事も、やりたい意思さえ見せれば、基本、募集人数も多いので間口は広いです。文化祭の委員も、運動会の委員も、選挙も、旅行委員も、係の仕事も、部活動も、学校行事のスキー合宿ですら、同じです。

中2最後に行くスキー合宿は9割近い人が参加する行事ですが、実際は行きたい人だけが行ってます。全く興味ない人や運動が苦手、寒いのはイヤって人は別に参加しなくていいんです。誰も強制しません。

強制されて行うことに学びなし。

みずからの意思があるからこそ、本気で取り組み、最大限に頭を働かせ、自分なりに創意工夫し、チームワークで協力体制を作り、役割分担をして効率化を図れるのです。

つまり、親が「スキーに行ったほうが絶対いいよ。いい思い出になるよ」と何度言おうとも、学校側は『行きたい人は申し込み用紙をもらって親にサインをもらってください』と言うだけなので、親はいつからスキーの申し込みが始まるのか、その紙はどこにもらいに行けばいいのか、生徒しか知らないので全く関与できないし、親から先生に聞いても、先生は『親御さんではなく、申し込み用紙は生徒にとりにこさせてください。生徒にはどこにとりにくれば良いのか教えてあります』としか答えませんので、参加は生徒の意思に100%任せられます。

行きたくない人は申し込み用紙を持って帰らなければいいだけです。

ただ最初は行こうか迷っていても、大体みんな参加するので、友達から一緒に行こうぜ！と誘われたり、やった事なくてもやってみたいという少しの好奇心さえあれば、大体の人が参加します。

何事も、親がやれと言った物より、子供が自らやりたいと思った事の方が、前向きな気持ちで努力をするので吸収率も良いでしょう。

自ら選んで参加した初心者の息子は、たった一回のスキー合宿で上級者コースでパラレルが滑れるようになりました。息子だけではなく、周りもそんな感じが多かったとの事。私もスキー経験者なので分かりますが、これは結構凄い吸収率です。

部活動もそうです。やりたければやれば良いし、辞めたければ辞めて良いので、離部活率？が異様に高いです。笑

友達と一緒に入ったものの、自分には合わなかった。楽しくゆるく部活をやりたかったけど、思ったより本気度が高くてイメージと違った。

初めてやるスポーツだったけど、やってみたら合わなかった。

先輩とソリが合わなかった。

昔は興味があったけど、今は興味が別のものに移った

ので、時間をそちらに使いたい。

など、誰にでもそんな事ってあるじゃないですか。

世間の部活動は、大体3年間同じものをやるのが常識で、辞めたらもうチャンスはなく、ずっと帰宅部になりますが、開成は自主性を重んじるから、そういうのはないんです。

6個くらい色んな部活に入っては辞めるを繰り返す強者も中にはいます。もちろん、気に入って3年間同じ部活を続ける人もいます。

けど、合わないなと思ったら、サクッと辞める人が多いし、色んな部活を兼部してる人も多いので、一個辞めても影響は割と少ないです。

また、2年や3年から新入部員として新しい部活に入る人も沢山いるし、興味がある分野の新しい同好会を気楽に友達同士で作っても良いので、毎年色んな部活が生まれたり、なくなったりしています。

だから、3年間同じ部活をやらねばならない常識みたいなものは全くないです。

「あー、部活行きたくないな！練習だるい。先輩になんて言い訳して、さぼろうかな」とかそんな事を言ってる人はいないんです。

そんな時間は勿体無いので、さっさと辞めて、自分が楽しいと思える活動に全力で時間をかけた方が有意義だからです。

そういう点では、例えば先輩が高圧的な態度で偉そうにしたり、イヤな事を後輩に強要したりすると、みんなすぐ辞めるので、部の存続にかかわるため、イヤな態度の先輩は居ないし、例え注意するにしても、相手のためになるような話を聞きたくなる注意の仕方を心がけるし、後輩の意見もきちんと聞いて改善策を話し合う為、かなり平和です。

（そうしないと辞めるから）

何年生でも、色んな部活にチャレンジできる部活動のあり方は個人的にはとてもいいなと思いました。

でも、人前に出るのがすきな子はいいけど、立候補制だと、永遠に立候補しない消極的な人は、結局、何もしないで学生生活が終わるんじゃないの？

うちはおとなしい子だから、何も立候補しなそう、と思ってる人がいるかもしれませんが、案外、実際はそんな事もないんです。それぞれに輝ける場所を用意しているというか。

ちなみにうちも人前で目立つ事が好きではない、性格的におとなしめの子でした。

でも、そんな子でも、開成にいると変わっていきます。

なぜなら、小学校時代は周りより学力が高いだけで、先生から勝手に何かを任せられたり、周りからこの人に聞いたら何でも正解だろうと思われ、本人の性格を無視して、ほぼ強制的にまとめ役をやらされたり、できない子の面倒を見る役を先生から押し付けられたりし、本当にそういうのが嫌だったようなんです。

そもそも性格的に前に出るのが好きではない、目立ちたくない地味なタイプでした。

でも、開成では、明るい陽キャも、おとなしい地味な子も、誰からも何も強制される事がないので、ほとんどの人は何かしらの仕事を楽しくやっているので、何もやってないと凄く暇になります。

部活に忙しい子は運動会や文化祭、旅行や選挙などの仕事をしないで部活に熱中する人もいるし、ゆる部活の人は興味に合わせて兼部したり、短期間でやれる部活以外の係の仕事をやったりもします。みんなクラス以外に色んな所に居場所があります。

仕事は誰かから強要されることもないし、立候補しない限り、なにか頼られることもないです。

すると、段々何かやってないと損では？みたいな感覚になってきます。周りが楽しそうにその充実ぶりを話すからです。

不思議なもので、誰かから強制的にやらせられる係の仕事は単なる仕事ですが、自らやってみたくて立候補した仕事は、楽しみとなります。

入学すると、目立つ人たちがまず初めにそういう仕事をどんどんやり始めます。おとなしい息子は最初の半年くらいは、特になんの仕事もせず、周りの友達の様子を見ていました。なんなら、「よくボランティアや、リーダーとかやるよな」くらいに思ってました。

しかし、徐々に周りの友達が毎日忙しそうに楽しく仕事をしている様子や、先輩との交流を楽しんだり、同級生の友達とみんなで夜遅くまで残って一つの仕事をやり遂げて達成感を味わっている姿を見たり、話をきいたり、仕事をしてたらOBからご馳走してもらったなどの楽しい話を聞いていると、自分にも何かしら向いている仕事があるのではないか？と探し始めるようになります。

時には友達に一緒にやろう！と誘われて何かの仕事にチャレンジしたり。やってみると新しい世界が広がり、案外楽しくて、段々と興味のある仕事には1人でも申し込むようになり、「この仕事、どうなってるんだろ？」という好奇心の元、積極的に動く事も増えていきました。まるでバイトで新しい仕事体験をしているような気持ちになるようです。

仕事には、派手な仕事も、地味な仕事もあり、例えば裏方の電気関係の仕事や、人と話す会場係、クリエイティブな映像関係の仕事、開成焼きなどのお料理や、運動会の審判、選挙、旅行委員、入試のお手伝いなど、学校行事や催し物は何もかもが生徒主催によるものなので、本当に学校全体が生徒たちの仕事により回っているような感じなので、仕事は無数にあります。

先生は授業をするだけみたいな。

仕事は多岐にわたり、仕事を通じて初めて知る事も多く、コミニケーションについても、先輩に教わったり、褒められたり、相談に乗ってもらいながら、その小さな組織がどのように回っているのかを知り、後輩を助けたり、叱る時も下の人がどうしたら責任感を持って楽しく仕事を頑張ろうと思えるか注意の仕方を考えたり、あとは単純にこれまで自分の経験したことのない事を経験できる面白い体験である事も多いらしいのです。

つまりやってる事は社会人と同じです。学校は小さな社会です。先輩の後輩への接し方は、ふざけている時は叱りますが、もはや理想の上司のように基本は相手の良い点を見つけて、褒めて伸ばす指導です。

高圧的な態度で後輩を叱りつけるのは簡単ですが、互いに選ぶ権利がある自主性を重んじる運営なので、イヤなら部活と同じく、後輩は即辞めますから。

なので、先輩はきちんと後輩の話を聞くし、同志として一緒に頑張ろう！と常に励まします。人を動かす大変さも学びます。

運動会の先輩との毎日交換日記のようなプリントを見ると、基本褒める指導で、全員に前向きな言葉や励ましが沢山並んでおり、高校生なのにこんな指導ができるのか？と本当に感動します。人間力が育ってるなと感じます。

みずから立候補した仕事で、自分たちで1から組織を組み立て、どのようにしたら効率よくうまく行くか、役割分担をして、子供だけで全てやる校風なので非常に自立心が鍛えられるのです。

ちなみに学校行事は大体生徒が全て運営しているので、予算も生徒がコントロールしています。

文化祭や運動会のつまらない後片付け１つ取っても、みんなが休んでいる運動会の振替休日に、わざわざ学校に来て、後片付けを頑張る人たちには、運営からアイスクリームが振る舞われたり、何かご褒美があったりするんです。

予算を使って生徒が考えて買って、片付けてくれてる子達は労われたりする。その辺の予算の使い方も先生は介入せず、生徒の自由だから、生徒運営による組織にて承認されてOKが出れば、なんでも買えるのです。

実によくできたシステムだなと思うわけです。

あと普通は、文化祭や運動会のイベントは、前例として去年の資料を残したり、去年、良かったものを今年もまた再現しがちですが、開成ではそういうのがあまりないです。

運動会でいえば、組別の作詞作曲や、巨大絵、それぞれの組の作戦の書いてある印刷物、運動会前後のパンフレット、宣伝CM、投票アンケート、なんかも毎回全部自分たちで好きなように1から作り直して、内容も全く違う物を毎年作ります。

大変だけど、自分たちだけのオリジナリティあふれるものを1から作るのがやはり楽しいからだと思います。