5月25日、18名の候補者の中から、今年度の「キューバ映画賞」に女優の
エスリンダ・ヌニェスが選ばれました。
エスリンダと聞いてまず私の脳裏に浮かぶのが、映画『低開発の記憶』
の主人公セルヒオの“ノエミ評”(エスリンダがノエミ役)。ヨーロッパ人気取りの彼をして「磨けば『ヴォーグ』のモデルになれそうだ」と言わしめたように、キューバ女性らしからぬ(?)華奢で儚げな容姿が印象的。
皆様には「ルシア第二話」
の女優さん、と言った方が分かりやすいでしょうか?
どちらの映画も1960年代末の作品ですが、半世紀を経た今も現役の女優として活躍中。
お年を召しても可憐な美しさは変わりませんが、実はチャレンジ精神に富み、常にイメージを裏切ってきたとの評判です。
ちなみに、夫は映画監督のマヌエル・エレーラ。息子インティは若手の映画プロデューサー。
尚、今回の審査員長はネルソン・ロドリゲス(2007年度キューバ映画賞受賞)。
わが師、マリオ・ピエドラ教授・映画研究家も審査員のお一人でした。
エスリンダ・ヌニェス経歴
12月27日生まれ。サンタ・クララ出身。
ハバナの演劇アカデミーで演技を学んだ後、1962年、ハバナ・ミュージカル劇場の歌手、女優、ダンサーとしてデビュー。1963年、フランス人監督に見出され、キューバ=フランス合作映画『El Otro Cristobal』(Armand Gatti監督)で映画デビューを果たす。以後、映画・演劇・テレビと多方面で活躍。1983年、故ウンベルト・ソラス監督の『Amada』で、スペインのウェルバ国際映画祭にて演技賞を受賞。
今や女優としてだけでなく、各国の国際映画祭で審査員を務めたり、国際的文化イベントに出席するなど、キューバ映画の顔として存在感を示している。
フィルモグラフィ
1963年 El otro Cristóbal / Armand Gatti監督
Para quién baila La Habana/ Vladimir Cech監督(旧チェコスロバキア)
1968 Lucía (邦題:ルシア)/ ウンベルト・ソラス監督
Memorias del subdesarrollo(邦題:低開発の記憶)/トマス・グティエレス・アレア監督
1969 La primera carga al machete
/ Manuel Octavio Gómez監督
1972 Un día de Noviembre/ウンベルト・ソラス監督
El jinete sin cabez/ Vladimir Vainstock監督 (旧ソ連)
1974 Próximamente en esta sala/ Sergio García監督(メキシコ)
1976 Mina, viento de libertad/ Antonio Eceiza監督
1977 Son o no son... /フリオ・ガルシア・エスピノサ監督
1979 No hay sábado sin sol/ マヌエル・エレラ監督
1981 Cecília/ウンベルト・ソラス監督
1983 Amada/ ウンベルト・ソラス監督
1986 Capablanca/マヌエル・エレラ監督
El socio de Dios/ Federico García監督 (ペルー)
1990 Mujer transparente (Cuento Laura)/ Ana Rodríguez
1997 Mambí / Teodoro y Santiago Ríos (スペイン)
2001 Parte de mi alma/ Guillermo Centeno
2005 Bailando Cha cha chá/マヌエル・エレラ監督
Viva Cuba
(邦題:ビバ・キューバ)/ファン・カルロス・クレマタ監督
Mi caballero de París/ Consuelo Ramírez監督
2006 La pared/ Alejandro Gil監督
El viajero inmóvil/ Tomás Piard監督
参考:これまでの「キューバ映画賞」受賞者一覧(拙ブログ参考記事)
2003 アルフレド・ゲバラ (初代ICAIC総裁)
http://ameblo.jp/rincon-del-cine-cubano/entry-10231478759.html
http://ameblo.jp/rincon-del-cine-cubano/entry-10070212244.html
2004 フリオ・ガルシア・エスピノサ (監督)
http://ameblo.jp/rincon-del-cine-cubano/entry-10016620197.html
http://ameblo.jp/rincon-del-cine-cubano/entry-10016803398.html
2005 ウンベルト・ソラス (監督・故人)
*存在が大きすぎて、まだ紹介できていない。
訃報:http://ameblo.jp/rincon-del-cine-cubano/entry-10140705768.html
2006 エンリケ・ピネーダ・バルネ (監督)
2007 フェルナンド・ペレス (監督)
現在のキューバ映画界であらゆる年代層から絶大の支持を得ている監督。
「キューバの良心」的存在。
http://ameblo.jp/rincon-del-cine-cubano/entry-10001098426.html
その他、拙ブログテーマ欄「フェルナンド・ペレス監督」に関連記事多数
デイシー・グラナドス (女優)
『低開発の記憶』のエレナ役を始め出演作品多数。
キューバ映画のエリザベス・テイラー?
ネルソン・ロドリゲス (編集)
http://ameblo.jp/rincon-del-cine-cubano/entry-10269827300.html
2008 ファン・パドロン (アニメ映画作家)
キューバの子供のアイドル「エルピディオ・バルデス」の生みの親
http://ameblo.jp/rincon-del-cine-cubano/entry-10002625630.html
2009 レオ・ブローウェル (ギタリスト、作曲家)
http://ameblo.jp/rincon-del-cine-cubano/entry-10235454449.html
2010 ラウル・ペレス・ウレタ (撮影)
http://ameblo.jp/rincon-del-cine-cubano/entry-10486947417.html