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サッポロビールＣＭ
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氷菓 17話 クドリャフカの順番 セリフ
☆
吉野
千反田さん ずばり 怪盗十文字を撃退できますか？
える
もちろん そのつもりです みなさんの みなさんの お力添えがあれば
メモ
ラジオ放送 戦略会議 強気発言 皆さんを強調 かぼちゃ
える
必ず 十文字さんを捕らえられると思います
吉野
おお 強気ですね では次にお聞きしたいのは 十文字のねらうものです
える
それなら 用意してあります 古典部のアイテムは 校了原稿です
吉野
ほほ 校了原稿？
える
はい 古典部の文集 氷菓の 校了原稿です
摩耶花
あれ 減ってる？
える
この文集も十文字事件に負けず劣らず興味深い内容なのですが もしよろしければご一読ください みなさんにも楽しんでいただけると思います
吉野
ほー それは気になりますねえ
える
ええ みなさん 古典部の文集 氷菓を よろしくお願いします きっと気に入ってもらえると思います ところで 十文字さんをお迎えするにあたって 古典部から皆さんに お願いがあります
吉野
ほお お願いですか
える
はい なにしろ部員が４名だけですので 監視の目が足りません ですから是非 みなさんに 古典部に来て欲しいんです 皆さんが 頼りです
女子生徒
ありがとうございます
吉野
なるほど 人海戦術ですね
える
はい 皆さんのお力添えに期待してます
吉野
まー そう頼まれると弱いですねえ
える
は それと できたら文集のほうも 買ってください ね
吉野
さあ 最後の標的 古典部は迎撃準備万端です 千反田さん 御健闘を！
える
ありがとうございます みなさん おうえんしてください
吉野
千反田えるさんでしたー
放送部員
はいＯＫです
える
ふー
吉野
いやあ なかなかよかったよー
える
ありがとうございます
吉野
どうしたんだい？
える
いえ 本当に これでよかったのかなあと
☆
・
ください
奉太郎
２００円です
・
ください
奉太郎
２００円です
・
ください
奉太郎
《うお 売れる 売れるぞ もうすぐだ もうすぐ完売する 》
・
本当に来るのか？
・
こんな囲まれてちゃ 手出しなんか出来ないよね
・
ほんとほんと もう無理じゃない？
・
いつまでまたせんだよったく
・
十文字ってほんとに居るの？
・
実は自作自演とか？
・
それありえる
・
いいかげんでてこいよな
里志
ああごめん それ僕の携帯
摩耶花
もお
える
でなくても？
里志
ああ 警備がおわった
・
おお 燃えてる 燃えてるぞ 消せ
える
水？
里志
やられた
摩耶花
ちょっとこれ
メモ
古典部から校了原稿は既に失われた 十文字は達成された 十文字
里志
十文字の犯行声明だ
・
十文字ってさわたしがおもうに女の子じゃないかって え どうして ・・・
☆
える
はあ
☆
入須
完売だ
える
えっ？
入須
定価で売ってやりたかったがな
える
いえ そんな 十分です 本当に 本当にありがとうございました
入須
やめろ それからだなあ
える
はい？
入須
うん やはり言っておくべきか
える
なんでしょうか
入須
校内放送聴いたぞ
える
ええ 入須さんのアドバイスのおかげです
入須
それなんだが 私も考えが浅かった はっきり言っておこう お前には ああいうのは向かない お前がああやって期待を操ろうとすると どうにも甘えているように聞こえる
える
甘えている そんな風に聞こえましたか
入須
小指の先ほど だがな しかし振りで続けていたことがいつしか本心に摩り替わるなんてよくあることだ
える
はい
入須
私の話を真に受けて 下手に画策するのだけはやめたほうがいい 単刀直入な言い方しか出来ないのはお前の弱点だが 他では得がたい武器でもある そう わかるか
える
ええ 私も思っていました こういうことは まるで私向きじゃありません えと つまりですね もう こりごりです
☆
谷
いやあ おまえでも十文字は捕まえられなかったか 期待してたんだがなあ
里志
まあね どうもご期待に添えなかったようで
谷
いやまあ なかなか楽しい文化祭だったよ 料理の借りはまたいつか返すぞ それじゃ
摩耶花
誰？
里志
谷君 ・・ 国語の苦手な人 かな
摩耶花
なにそれ
里志
どうも彼はね 期待って言う言葉を軽々しく使いすぎる
摩耶花
べつにいいじゃない 期待なんて
里志
自分に自信があるときは 期待なんて言葉を出しちゃいけない 期待っていうのは 諦めから出る言葉なんだよ そうせざるを得ない どうしようもなさがないと 空々しいよ
摩耶花
ふくちゃん
里志
期待って言うのは 例えば
☆
里志
奉太郎 確かこっちのほうに・・ いた
奉太郎
単刀直入にいきましょう あなたが十文字ですね 田名辺先輩
田名辺
ふ ふーん あてずっぽうかな？
里志
《田名辺先輩が？》
奉太郎
いいえ 根拠ならあります まずこのカード なぜ 盗まれたではなく 失われたなのか
田名辺
さあ
奉太郎
次の問題は く です くは飛ばされた これだけで十文字の法則は崩壊です だが俺らの知らないところで くにまつわる何かがあったとしたら？
田名辺
というと？
奉太郎
十文字事件とは それ自体が暗号だったんじゃないですか くで始まる相手に くで始まるものが既に失われているというメッセージを伝えるための
田名辺
ずいぶん難しい暗号だね
奉太郎
普通は解けません ところがもしその相手が解読法を知っていたとしたら 言ってしまいますとね 俺はそれこそがクドリャフカの順番の筋立てだったと思もっているんですよ なぜその題名を知っていると おもっているんでしょ クドリャフカの順番はクリスティーの長有名作 ＡＢＣ殺人事件を捻ったものです そして十文字事件も 犯人のネタ本は クドリャフカの順番です そして暗号を受け取る側 くのつく相手とは 陸山宗芳 生徒会会長 夕べには骸にの作画担当 違いますか
田名辺
ふうん 他はみんな部活なのに くだけ人名というのはいただけないな
奉太郎
十文字はなにも部活だけを襲うとは書いていない
田名辺
くるしいね
奉太郎
くるしくはないですよ あなたはちゃんとターゲットはこの中から選ぶというリストを提示していました ＡＢＣ時刻表のまねをしたなんて事じゃない これこそが被害者リストだったんです 被害者はすべてこのページから選ばれている アカペラ部 囲碁部 占い研 園芸部 お料理研 壁新聞部 奇術部 そして 陸山宗芳 これがわかれば あなたにたどりつくのは そう難しくない このページにたまたま被害者がかたまったというのは出来すぎでしょう そしてページを操作できるのは 総務委員会の誰かだ
田名辺
だが 総務委員は２０人いる
奉太郎
ええ そこでこの漫画 夕べには骸にです これの原作者 安城はるなとくんでいた 陸山会長は クドリャフカの順番のことも知っていたはず つまり十文字事件の暗号を陸山会長は解くことが出来るわけです これは一つの仮定だが 陸山会長は クドリャフカの順番の原作を紛失してしまったのでは？ その批判として 十文字はこの事件を起こしたのではないか つまり犯人からのメッセージはこうです 陸山からクドリャフカの順番はすでに失われた そしてこのあとがき 背景を手伝った人間がかいたものだ 安城はるな 陸山会長 それ以外でクドリャフカの順番の原作を知っている唯一の人間 この人だけが 十文字足りえる そしてこれです 安心院鐸玻（あじむたくは） 妙なペンネームです これはこの作品を書いた３人の名前の頭文字を 並べ替えたものですね
田名辺
というと
奉太郎
アンジョウハルナ アとハ クガヤマムネヨシ クとム これをアジムタクハから引いてみると のこる二文字はジとタになります 去年も文化祭に参加できた２年生以上で総務委員 苗字と名前にタとジがつく人物 くわえて陸山会長と親しく かれが漫画を描けると知っているもの そんな人間は一人しか居ない あなたですよ 田名辺治朗先輩
田名辺
見事だ まさか むねと安城さん以外に読み解けるやつが居るなんておもいもしなかった
里志
まったく 期待以上だよ 奉太郎
☆
秋分 陰陽の中分となれば也
☆
奉太郎
どうしてこんな 回りくどい暗号をつかったんです？
田名辺
うすうすわかってはいるんだろ？
奉太郎
転校していった 安城はるなへの思いってところですか
田名辺
あははは それもあった それと せっかくの文化祭だからいたずらを仕掛けたかったって言う気持ちもね けど 口でいえなかったから が 一番大きいかな
奉太郎
んん さて そこでものは相談です 田名辺先輩にして欲しいことがあるんですよ
田名辺
というと
奉太郎
これを買っていただきたい 文集氷菓 しめて ３０部
田名辺
お 正体をばらさない代わりにそれを買えと？
奉太郎
ええ ただし買うのは 総務委員会です
田名辺
ばかな
奉太郎
バカなことじゃありません 神山高校のサイト 文化祭で出品されたものを通販してるじゃないですか 総務委員会がいったん買い上げ それをサイトで売る形にしてもらえればいいんです
田名辺
理由も無く買い上げることは出来ない せめて何かの話題になってなければ
奉太郎
ごもっとも しかし話題になるんですよ この氷菓は
田名辺
どういうことかな
奉太郎
もちろん十文字事件ですよ 古典部を最後の標的にするんです
田名辺
・・
奉太郎
俺と それと福部里志にでもたのんで 犯行をサポートします
里志
え
奉太郎
ターゲットに内通者ができるんです こんな簡単な話はありません 十文字の最後のターゲット 古典部には野次馬が押しかける 文集も数が出るでしょう となれば通販で引き受ける理由にもなる そして先輩は事件をきっちり終わらせるって寸法です どうですか
田名辺
確かに 悪い話じゃないな 十文字事件の完結 通販商品の充実 利害は一致しているな
奉太郎
あ よかったです
田名辺
で どう十文字をサポートしてくれるのかな
奉太郎
標的として 校了原稿を用意します そこに誰も近づけないように見張りを立てます
田名辺
ほう それで
奉太郎
このしおりによれば 科学部がナトリウムに水をかけたときの反応を実演しているそうです 前に何かの動画でみたんですが 結構派手に燃えてくれます
田名辺
あ まさかそのナトリウムを
奉太郎
ええ なんとかして入手してください それから製菓研で拳銃がたの水鉄砲を持ってる連中がいます これも交渉して手に入れてください
田名辺
フ 危ないことを考えるな
奉太郎
お祭りです 最後は派手に行きましょう
田名辺
ふ やれやれ
奉太郎
俺が何とかして 校了原稿のページの間に ナトリウムをはさんでおきます 本が十分売れたら こんな感じの合図をするんで 水鉄砲で原稿を撃ってください
田名辺
だが みんなの目が原稿に集まってるはずだろ
奉太郎
そうですね では 部屋の入り口近くに 里志のスマホをおいておきます 水をかける前に電話をしてください 観客の注意はそちらに向くでしょう
田名辺
わかった 犯行声明はどうする？
奉太郎
現場は混乱するでしょうから 氷菓にはさんで 床にでも落としてください
田名辺
いいだろう
奉太郎
じゃ それようの氷菓を買ってもらいます 一冊２００円
田名辺
ちゃっかりしてるな
奉太郎
心底こまってるんですよ 俺達
田名辺
ふん 君 名前はなんだったかな
奉太郎
一年Ｂ組 折木奉太郎です
里志
ふ
☆
摩耶花
期待って言うのは 福ちゃんが折木に思ってるいようなこと？
里志
おみごと どうしてわかった？
摩耶花
みてればわかるわよ 福ちゃんの事ぐらい
里志
・・
摩耶花
福ちゃんは折木に勝ちたかったの？
里志
スーハ 勝ちたいわけじゃなかったけど 見上げてばかりじゃね ま こればっかりは 摩耶花にもわからないだろうね
摩耶花
そんなことない
里志
あー 僕もうっかりしてたよ こいつを忘れちゃいけなかった データベースは結論をだせないんだ
☆
陸山
えー 今年のカンヤ祭もつつがなく終える事が出来ました や 何か 変な事件もあったみたいだけど
陸山
おつかれ
陸山
えー とにかくおつかれ ここに第５４回 神山高校文化祭の閉幕を宣言します
☆
摩耶花
遅くなりましたけど 持ってきました 私がいつか 名作を描けると信じている人の漫画を
河内
はー 本当に持っていたんだね
摩耶花
はい これは借り物ですけど 先輩はこの漫画の事知っていたんですね
河内
湯浅か あいつ
摩耶花
河内先輩とこの漫画の原作の人は友達だったって
河内
友達 そうね はるな元気でやってるかな 長い事声も聞いてないけど
摩耶花
この漫画 読んだんですか？ 私 河内先輩の言う事も少しわかります 面白いかどうかは 結局主観の問題だっていうこと でもやっぱりそれが正しいとは思えません だってそれってあまりにも虚しいじゃないですか
河内
だから 夕べには骸に なんだね でもそれ シリアスでしょ もし私がギャグ専門だったら 読みもしない そういうことじゃない？
摩耶花
読めばわかる 絶対に！ そういう力を持った作品だってあるんです
河内
違いのわかる人には でしょ
摩耶花
河内先輩！
河内
冗談よ 冗談 そんな事 本気で言ってるわけないじゃない 冗談が通じないね 伊原ってさ
湯浅
《あやこはね 本気じゃないのよ》
河内
逃げ切れないもんだね あたし それ読んでないんだ 途中でやめた 何でかわかる？
摩耶花
いえ
河内
あんた読めばわかる そう言ったよね そう わかるよ わかっちゃうんだ でもほら そういうのって認めたくないでしょ あんたならどうよ あんまり漫画読まないねって思ってた友達がさ 初めての原作でさ それを書いたとしたらさ ね しゃれになら無いと思うでしょ だからそれは 押入れの奥 一番奥の箱の中 見ない事にして ついでに名作なんてどこにも無い事にしてたのにね つくづくめぐり合わせだね せっかく手に入れたのに悪いけど あたしそれ読まないから
摩耶花
あの
河内
だってさ ほら 読んじゃったら電話しちゃうじゃない でも電話してさ 読んだよあんたすごいじゃない 次のも期待しているね とかいえないじゃない ね
摩耶花
《これ ボディトークの》 はっ あ
摩耶花
《名作は 最初から名作として生まれてくるんです ボディトーク やっぱりこれもいい わたしのは百枚おちる》
☆
える
残りは これだけですか？
奉太郎
ああ
里志
おお おお ここまで ここまでくるとは
える
すごいです あの文集の山が 期待以上の大戦果です
奉太郎
期待・・ 期待ねぇ
える
？
奉太郎
ああ いや 《恐喝して押し売りしたなんて 千反田には言えんな》
☆
田名辺
折木君 君は 陸山がクドリャフカの順番の原作を紛失したから 僕がこういう事件を起こしたといったね
奉太郎
あくまで仮定です 先輩の動機までは知りようがありませんから
田名辺
まあ無理も無い 僕の気持ちがわかるのは たぶん安城さんだけだ
奉太郎
・・ 陸山会長にはわからないと？
田名辺
ああ
奉太郎
陸山会長にあてた暗号なんですよね
田名辺
そうだよ
奉太郎
だったらなぜ
田名辺
むねは 陸山は夕べは骸にを仕上げて以来 一度もペンを握ってないんだ 安城さんも天才的だけど むねがあれほどかけるとは知らなかった へたくそな僕と 比べ物にならない 原作はちゃんとあるんだ 失くしてなんか無い あいつがその気になれば 夕べには骸にを超える話にだってなるはずなんだ けどむねにとって漫画かきは あの時限りの遊びだったんだ
奉太郎
《あれが 遊び》
田名辺
もったいないだろ？ 惜しいと思うだろ なのにむねは描こうとしない あいつが一言やるぞといえば 僕は何でもするつもりでいた むねに聞くのが怖かった メッセージに気づかないなんて信じたくなかった 絶望的な差からは期待がうまれる 僕はずっと期待していた
奉太郎
なら あなたが本当に伝えたかった事はこうですか 陸山 お前は クドリャフカの順番を読んだのか
田名辺
本当に見事だ
奉太郎
そして答えは
田名辺
ああ そうだ むねは 安城さん渾身の原作を開いても無かった 暗号は解かれなかった メッセージはつたわらなかったよ
☆
摩耶花
折木 これありがとう お姉さんにもお礼いっといて
奉太郎
ああ
摩耶花
なによ
奉太郎
いや 伝えておくよ
える
じゃあこの残った４部はどうしましょうか
里志
残っても仕方が無いし 全員でもう一部ずつ買うってことで
える
♪ これで 完売です
里志
いやったー
える
あとは 十文字事件の真相ですね これで 心置きなく 気にする事が出来ます
奉太郎
あ いや
里志
あー それなら奉太郎が ちょっとわかった事があるみたいだよ
える
わ 本当ですか？ 折木さん
奉太郎
いや それは
里志
その辺の話も含めて どうかな 完売祝いに打ち上げといかないかい？
える 摩耶花
おー
奉太郎
里志！
里志
これくらいは許してもらわないとね
奉太郎
はー？
摩耶花
打ち上げ賛成！ 古典部にはほとんど出られなかったし いろいろ話を聞かせてよ
える
では わたしのいえにいらっしゃいませんか？
里志
よし 決まり！
奉太郎
決まったのか？
摩耶花
よし 憂さ晴らしだ 今日はのむわよ
奉太郎
のむのか
摩耶花
おもにウーロン茶
奉太郎
何だそのフォロー
☆
Welcome to KANYA FESTA !
☆
＜キャスト＞
折木奉太郎 中村悠一
千反田える 佐藤聡美
福部里志 阪口大助
伊原摩耶花 茅野愛衣
入須冬実 ゆかな
陸山宗芳 森川智之
田名辺治朗 福山潤
湯浅尚子 進藤尚美
河内亜也子 浅野真澄
谷惟之 川原慶久
吉野康邦 吉野裕行
女子生徒 悠木碧
女子生徒 三上枝織
女子生徒 近野明日香
男子生徒 宮下栄治
男子生徒 会一太郎
☆
吉野
千反田さん ずばり 怪盗十文字を撃退できますか？
える
もちろん そのつもりです みなさんの みなさんの お力添えがあれば
メモ
ラジオ放送 戦略会議 強気発言 皆さんを強調 かぼちゃ
える
必ず 十文字さんを捕らえられると思います
吉野
おお 強気ですね では次にお聞きしたいのは 十文字のねらうものです
える
それなら 用意してあります 古典部のアイテムは 校了原稿です
吉野
ほほ 校了原稿？
える
はい 古典部の文集 氷菓の 校了原稿です
摩耶花
あれ 減ってる？
える
この文集も十文字事件に負けず劣らず興味深い内容なのですが もしよろしければご一読ください みなさんにも楽しんでいただけると思います
吉野
ほー それは気になりますねえ
える
ええ みなさん 古典部の文集 氷菓を よろしくお願いします きっと気に入ってもらえると思います ところで 十文字さんをお迎えするにあたって 古典部から皆さんに お願いがあります
吉野
ほお お願いですか
える
はい なにしろ部員が４名だけですので 監視の目が足りません ですから是非 みなさんに 古典部に来て欲しいんです 皆さんが 頼りです
女子生徒
ありがとうございます
吉野
なるほど 人海戦術ですね
える
はい 皆さんのお力添えに期待してます
吉野
まー そう頼まれると弱いですねえ
える
は それと できたら文集のほうも 買ってください ね
吉野
さあ 最後の標的 古典部は迎撃準備万端です 千反田さん 御健闘を！
える
ありがとうございます みなさん おうえんしてください
吉野
千反田えるさんでしたー
放送部員
はいＯＫです
える
ふー
吉野
いやあ なかなかよかったよー
える
ありがとうございます
吉野
どうしたんだい？
える
いえ 本当に これでよかったのかなあと
☆
・
ください
奉太郎
２００円です
・
ください
奉太郎
２００円です
・
ください
奉太郎
《うお 売れる 売れるぞ もうすぐだ もうすぐ完売する 》
・
本当に来るのか？
・
こんな囲まれてちゃ 手出しなんか出来ないよね
・
ほんとほんと もう無理じゃない？
・
いつまでまたせんだよったく
・
十文字ってほんとに居るの？
・
実は自作自演とか？
・
それありえる
・
いいかげんでてこいよな
里志
ああごめん それ僕の携帯
摩耶花
もお
える
でなくても？
里志
ああ 警備がおわった
・
おお 燃えてる 燃えてるぞ 消せ
える
水？
里志
やられた
摩耶花
ちょっとこれ
メモ
古典部から校了原稿は既に失われた 十文字は達成された 十文字
里志
十文字の犯行声明だ
・
十文字ってさわたしがおもうに女の子じゃないかって え どうして ・・・
☆
える
はあ
☆
入須
完売だ
える
えっ？
入須
定価で売ってやりたかったがな
える
いえ そんな 十分です 本当に 本当にありがとうございました
入須
やめろ それからだなあ
える
はい？
入須
うん やはり言っておくべきか
える
なんでしょうか
入須
校内放送聴いたぞ
える
ええ 入須さんのアドバイスのおかげです
入須
それなんだが 私も考えが浅かった はっきり言っておこう お前には ああいうのは向かない お前がああやって期待を操ろうとすると どうにも甘えているように聞こえる
える
甘えている そんな風に聞こえましたか
入須
小指の先ほど だがな しかし振りで続けていたことがいつしか本心に摩り替わるなんてよくあることだ
える
はい
入須
私の話を真に受けて 下手に画策するのだけはやめたほうがいい 単刀直入な言い方しか出来ないのはお前の弱点だが 他では得がたい武器でもある そう わかるか
える
ええ 私も思っていました こういうことは まるで私向きじゃありません えと つまりですね もう こりごりです
☆
谷
いやあ おまえでも十文字は捕まえられなかったか 期待してたんだがなあ
里志
まあね どうもご期待に添えなかったようで
谷
いやまあ なかなか楽しい文化祭だったよ 料理の借りはまたいつか返すぞ それじゃ
摩耶花
誰？
里志
谷君 ・・ 国語の苦手な人 かな
摩耶花
なにそれ
里志
どうも彼はね 期待って言う言葉を軽々しく使いすぎる
摩耶花
べつにいいじゃない 期待なんて
里志
自分に自信があるときは 期待なんて言葉を出しちゃいけない 期待っていうのは 諦めから出る言葉なんだよ そうせざるを得ない どうしようもなさがないと 空々しいよ
摩耶花
ふくちゃん
里志
期待って言うのは 例えば
☆
里志
奉太郎 確かこっちのほうに・・ いた
奉太郎
単刀直入にいきましょう あなたが十文字ですね 田名辺先輩
田名辺
ふ ふーん あてずっぽうかな？
里志
《田名辺先輩が？》
奉太郎
いいえ 根拠ならあります まずこのカード なぜ 盗まれたではなく 失われたなのか
田名辺
さあ
奉太郎
次の問題は く です くは飛ばされた これだけで十文字の法則は崩壊です だが俺らの知らないところで くにまつわる何かがあったとしたら？
田名辺
というと？
奉太郎
十文字事件とは それ自体が暗号だったんじゃないですか くで始まる相手に くで始まるものが既に失われているというメッセージを伝えるための
田名辺
ずいぶん難しい暗号だね
奉太郎
普通は解けません ところがもしその相手が解読法を知っていたとしたら 言ってしまいますとね 俺はそれこそがクドリャフカの順番の筋立てだったと思もっているんですよ なぜその題名を知っていると おもっているんでしょ クドリャフカの順番はクリスティーの長有名作 ＡＢＣ殺人事件を捻ったものです そして十文字事件も 犯人のネタ本は クドリャフカの順番です そして暗号を受け取る側 くのつく相手とは 陸山宗芳 生徒会会長 夕べには骸にの作画担当 違いますか
田名辺
ふうん 他はみんな部活なのに くだけ人名というのはいただけないな
奉太郎
十文字はなにも部活だけを襲うとは書いていない
田名辺
くるしいね
奉太郎
くるしくはないですよ あなたはちゃんとターゲットはこの中から選ぶというリストを提示していました ＡＢＣ時刻表のまねをしたなんて事じゃない これこそが被害者リストだったんです 被害者はすべてこのページから選ばれている アカペラ部 囲碁部 占い研 園芸部 お料理研 壁新聞部 奇術部 そして 陸山宗芳 これがわかれば あなたにたどりつくのは そう難しくない このページにたまたま被害者がかたまったというのは出来すぎでしょう そしてページを操作できるのは 総務委員会の誰かだ
田名辺
だが 総務委員は２０人いる
奉太郎
ええ そこでこの漫画 夕べには骸にです これの原作者 安城はるなとくんでいた 陸山会長は クドリャフカの順番のことも知っていたはず つまり十文字事件の暗号を陸山会長は解くことが出来るわけです これは一つの仮定だが 陸山会長は クドリャフカの順番の原作を紛失してしまったのでは？ その批判として 十文字はこの事件を起こしたのではないか つまり犯人からのメッセージはこうです 陸山からクドリャフカの順番はすでに失われた そしてこのあとがき 背景を手伝った人間がかいたものだ 安城はるな 陸山会長 それ以外でクドリャフカの順番の原作を知っている唯一の人間 この人だけが 十文字足りえる そしてこれです 安心院鐸玻（あじむたくは） 妙なペンネームです これはこの作品を書いた３人の名前の頭文字を 並べ替えたものですね
田名辺
というと
奉太郎
アンジョウハルナ アとハ クガヤマムネヨシ クとム これをアジムタクハから引いてみると のこる二文字はジとタになります 去年も文化祭に参加できた２年生以上で総務委員 苗字と名前にタとジがつく人物 くわえて陸山会長と親しく かれが漫画を描けると知っているもの そんな人間は一人しか居ない あなたですよ 田名辺治朗先輩
田名辺
見事だ まさか むねと安城さん以外に読み解けるやつが居るなんておもいもしなかった
里志
まったく 期待以上だよ 奉太郎
☆
秋分 陰陽の中分となれば也
☆
奉太郎
どうしてこんな 回りくどい暗号をつかったんです？
田名辺
うすうすわかってはいるんだろ？
奉太郎
転校していった 安城はるなへの思いってところですか
田名辺
あははは それもあった それと せっかくの文化祭だからいたずらを仕掛けたかったって言う気持ちもね けど 口でいえなかったから が 一番大きいかな
奉太郎
んん さて そこでものは相談です 田名辺先輩にして欲しいことがあるんですよ
田名辺
というと
奉太郎
これを買っていただきたい 文集氷菓 しめて ３０部
田名辺
お 正体をばらさない代わりにそれを買えと？
奉太郎
ええ ただし買うのは 総務委員会です
田名辺
ばかな
奉太郎
バカなことじゃありません 神山高校のサイト 文化祭で出品されたものを通販してるじゃないですか 総務委員会がいったん買い上げ それをサイトで売る形にしてもらえればいいんです
田名辺
理由も無く買い上げることは出来ない せめて何かの話題になってなければ
奉太郎
ごもっとも しかし話題になるんですよ この氷菓は
田名辺
どういうことかな
奉太郎
もちろん十文字事件ですよ 古典部を最後の標的にするんです
田名辺
・・
奉太郎
俺と それと福部里志にでもたのんで 犯行をサポートします
里志
え
奉太郎
ターゲットに内通者ができるんです こんな簡単な話はありません 十文字の最後のターゲット 古典部には野次馬が押しかける 文集も数が出るでしょう となれば通販で引き受ける理由にもなる そして先輩は事件をきっちり終わらせるって寸法です どうですか
田名辺
確かに 悪い話じゃないな 十文字事件の完結 通販商品の充実 利害は一致しているな
奉太郎
あ よかったです
田名辺
で どう十文字をサポートしてくれるのかな
奉太郎
標的として 校了原稿を用意します そこに誰も近づけないように見張りを立てます
田名辺
ほう それで
奉太郎
このしおりによれば 科学部がナトリウムに水をかけたときの反応を実演しているそうです 前に何かの動画でみたんですが 結構派手に燃えてくれます
田名辺
あ まさかそのナトリウムを
奉太郎
ええ なんとかして入手してください それから製菓研で拳銃がたの水鉄砲を持ってる連中がいます これも交渉して手に入れてください
田名辺
フ 危ないことを考えるな
奉太郎
お祭りです 最後は派手に行きましょう
田名辺
ふ やれやれ
奉太郎
俺が何とかして 校了原稿のページの間に ナトリウムをはさんでおきます 本が十分売れたら こんな感じの合図をするんで 水鉄砲で原稿を撃ってください
田名辺
だが みんなの目が原稿に集まってるはずだろ
奉太郎
そうですね では 部屋の入り口近くに 里志のスマホをおいておきます 水をかける前に電話をしてください 観客の注意はそちらに向くでしょう
田名辺
わかった 犯行声明はどうする？
奉太郎
現場は混乱するでしょうから 氷菓にはさんで 床にでも落としてください
田名辺
いいだろう
奉太郎
じゃ それようの氷菓を買ってもらいます 一冊２００円
田名辺
ちゃっかりしてるな
奉太郎
心底こまってるんですよ 俺達
田名辺
ふん 君 名前はなんだったかな
奉太郎
一年Ｂ組 折木奉太郎です
里志
ふ
☆
摩耶花
期待って言うのは 福ちゃんが折木に思ってるいようなこと？
里志
おみごと どうしてわかった？
摩耶花
みてればわかるわよ 福ちゃんの事ぐらい
里志
・・
摩耶花
福ちゃんは折木に勝ちたかったの？
里志
スーハ 勝ちたいわけじゃなかったけど 見上げてばかりじゃね ま こればっかりは 摩耶花にもわからないだろうね
摩耶花
そんなことない
里志
あー 僕もうっかりしてたよ こいつを忘れちゃいけなかった データベースは結論をだせないんだ
☆
陸山
えー 今年のカンヤ祭もつつがなく終える事が出来ました や 何か 変な事件もあったみたいだけど
陸山
おつかれ
陸山
えー とにかくおつかれ ここに第５４回 神山高校文化祭の閉幕を宣言します
☆
摩耶花
遅くなりましたけど 持ってきました 私がいつか 名作を描けると信じている人の漫画を
河内
はー 本当に持っていたんだね
摩耶花
はい これは借り物ですけど 先輩はこの漫画の事知っていたんですね
河内
湯浅か あいつ
摩耶花
河内先輩とこの漫画の原作の人は友達だったって
河内
友達 そうね はるな元気でやってるかな 長い事声も聞いてないけど
摩耶花
この漫画 読んだんですか？ 私 河内先輩の言う事も少しわかります 面白いかどうかは 結局主観の問題だっていうこと でもやっぱりそれが正しいとは思えません だってそれってあまりにも虚しいじゃないですか
河内
だから 夕べには骸に なんだね でもそれ シリアスでしょ もし私がギャグ専門だったら 読みもしない そういうことじゃない？
摩耶花
読めばわかる 絶対に！ そういう力を持った作品だってあるんです
河内
違いのわかる人には でしょ
摩耶花
河内先輩！
河内
冗談よ 冗談 そんな事 本気で言ってるわけないじゃない 冗談が通じないね 伊原ってさ
湯浅
《あやこはね 本気じゃないのよ》
河内
逃げ切れないもんだね あたし それ読んでないんだ 途中でやめた 何でかわかる？
摩耶花
いえ
河内
あんた読めばわかる そう言ったよね そう わかるよ わかっちゃうんだ でもほら そういうのって認めたくないでしょ あんたならどうよ あんまり漫画読まないねって思ってた友達がさ 初めての原作でさ それを書いたとしたらさ ね しゃれになら無いと思うでしょ だからそれは 押入れの奥 一番奥の箱の中 見ない事にして ついでに名作なんてどこにも無い事にしてたのにね つくづくめぐり合わせだね せっかく手に入れたのに悪いけど あたしそれ読まないから
摩耶花
あの
河内
だってさ ほら 読んじゃったら電話しちゃうじゃない でも電話してさ 読んだよあんたすごいじゃない 次のも期待しているね とかいえないじゃない ね
摩耶花
《これ ボディトークの》 はっ あ
摩耶花
《名作は 最初から名作として生まれてくるんです ボディトーク やっぱりこれもいい わたしのは百枚おちる》
☆
える
残りは これだけですか？
奉太郎
ああ
里志
おお おお ここまで ここまでくるとは
える
すごいです あの文集の山が 期待以上の大戦果です
奉太郎
期待・・ 期待ねぇ
える
？
奉太郎
ああ いや 《恐喝して押し売りしたなんて 千反田には言えんな》
☆
田名辺
折木君 君は 陸山がクドリャフカの順番の原作を紛失したから 僕がこういう事件を起こしたといったね
奉太郎
あくまで仮定です 先輩の動機までは知りようがありませんから
田名辺
まあ無理も無い 僕の気持ちがわかるのは たぶん安城さんだけだ
奉太郎
・・ 陸山会長にはわからないと？
田名辺
ああ
奉太郎
陸山会長にあてた暗号なんですよね
田名辺
そうだよ
奉太郎
だったらなぜ
田名辺
むねは 陸山は夕べは骸にを仕上げて以来 一度もペンを握ってないんだ 安城さんも天才的だけど むねがあれほどかけるとは知らなかった へたくそな僕と 比べ物にならない 原作はちゃんとあるんだ 失くしてなんか無い あいつがその気になれば 夕べには骸にを超える話にだってなるはずなんだ けどむねにとって漫画かきは あの時限りの遊びだったんだ
奉太郎
《あれが 遊び》
田名辺
もったいないだろ？ 惜しいと思うだろ なのにむねは描こうとしない あいつが一言やるぞといえば 僕は何でもするつもりでいた むねに聞くのが怖かった メッセージに気づかないなんて信じたくなかった 絶望的な差からは期待がうまれる 僕はずっと期待していた
奉太郎
なら あなたが本当に伝えたかった事はこうですか 陸山 お前は クドリャフカの順番を読んだのか
田名辺
本当に見事だ
奉太郎
そして答えは
田名辺
ああ そうだ むねは 安城さん渾身の原作を開いても無かった 暗号は解かれなかった メッセージはつたわらなかったよ
☆
摩耶花
折木 これありがとう お姉さんにもお礼いっといて
奉太郎
ああ
摩耶花
なによ
奉太郎
いや 伝えておくよ
える
じゃあこの残った４部はどうしましょうか
里志
残っても仕方が無いし 全員でもう一部ずつ買うってことで
える
♪ これで 完売です
里志
いやったー
える
あとは 十文字事件の真相ですね これで 心置きなく 気にする事が出来ます
奉太郎
あ いや
里志
あー それなら奉太郎が ちょっとわかった事があるみたいだよ
える
わ 本当ですか？ 折木さん
奉太郎
いや それは
里志
その辺の話も含めて どうかな 完売祝いに打ち上げといかないかい？
える 摩耶花
おー
奉太郎
里志！
里志
これくらいは許してもらわないとね
奉太郎
はー？
摩耶花
打ち上げ賛成！ 古典部にはほとんど出られなかったし いろいろ話を聞かせてよ
える
では わたしのいえにいらっしゃいませんか？
里志
よし 決まり！
奉太郎
決まったのか？
摩耶花
よし 憂さ晴らしだ 今日はのむわよ
奉太郎
のむのか
摩耶花
おもにウーロン茶
奉太郎
何だそのフォロー
☆
Welcome to KANYA FESTA !
☆
＜キャスト＞
折木奉太郎 中村悠一
千反田える 佐藤聡美
福部里志 阪口大助
伊原摩耶花 茅野愛衣
入須冬実 ゆかな
陸山宗芳 森川智之
田名辺治朗 福山潤
湯浅尚子 進藤尚美
河内亜也子 浅野真澄
谷惟之 川原慶久
吉野康邦 吉野裕行
女子生徒 悠木碧
女子生徒 三上枝織
女子生徒 近野明日香
男子生徒 宮下栄治
男子生徒 会一太郎