氷菓 7話 正体見たり セリフ | タイトルは “くぉてーしょん城” 

タイトルは “くぉてーしょん城” 

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氷菓 7話

正体見たり

<バス>

里志
ねえねえ 昨日のテレビ見た?

奉太郎
何をだ?

里志
決まってるじゃないか 取材班は見た 浜名湖巨大うなぎ ハッシー驚愕の正体だよ

摩耶花
ああそれ私も見た

奉太郎
いるわけないだろう そんなもの

里志
幽霊の正体見たり枯れ尾花ってやつかい奉太郎

摩耶花
つまんない奴ね あんたにはロマンと言うものがないの ねえちいちゃん?

える
私はいるかいないか その真実が気になります

里志
まあ いてもいなくてもいいけど今日はいて欲しい気分だね そのほうが面白くないかい?

奉太郎
幽霊はどれも枯れ尾花さ

里志
奉太郎らしいや



奉太郎 
神山高校古典部は総勢4名 なぜ俺たちがこの路線バスに揺られているのか それは当然このバスの行き先と関係があるからだ 終点のざいぜん村 登山と温泉で有名だ 俺たちは登山ではなく温泉に向かっていた 夏休みならば 休むのが生活心情に見合った行動だ それなのに



える
叔父の件ではほんとうにありがとうございました 折木さん せっかくですのでみなさんで温泉に行きましょう 行きましょう 温泉!

奉太郎
そう だな



摩耶花
もうじき迎えのバンがくるはずなんだけど

里志
やあ いい景色だね

える
あの 折木さん 大丈夫ですか

奉太郎
酔った

里志
これくらいで音を上げるとは さすが奉太郎だ

摩耶花
たった一時間半よ だらしないわね

里志
ところで摩耶花 よく宿が取れたね

摩耶花
民宿を営んでる親戚が今建物が改装中でお客を
取れないからって無料で貸してくれたの



える
つきましたよ 折木さん

里志
やあ 着いた着いた

摩耶花
折木 早くしないと置いてくわよ

里志
やってきました僕らのお宿

善名梨絵・善名嘉代
いらっしゃいませ 青山荘へようこそ

摩耶花
こっちが姉の善名梨絵でこっちが妹の善名嘉代

里志・える
こんにちは

摩耶花
小6と小4になったんだよね また背のびた



梨絵
お部屋は二階のおくだよ

里志
わー 奉太郎 はやくはやく なかなか見晴らしのいい部屋だね

奉太郎
たまにはこういうのも悪くない ま 贅沢をいえば一人で来るほうが趣は深いだろうな

里志
奉太郎が一人旅? は 冗談 千反田さんが企画して 摩耶花がコネを使ったからここにいるってことをお忘れなーく

摩耶花
ごはんよ 

える
夕飯ですよ 

里志
だってさ 行こうか

奉太郎
チーズか シチュー グラタン チーズホンデュ

奉太郎
冷しゃぶ?

みな
せーの いただきまーす

梨絵
あとでデザートもあるよ

奉太郎
チーズケーキか?

梨絵
何で分かったの?

奉太郎
においがした

梨絵
すごいな

奉太郎
すごいか

梨絵
摩耶姉ちゃんのいってたとうりだな

奉太郎
《何を言った伊原》

梨絵
明日みんなで花火しようよ

摩耶花
いいわね

梨絵
でしょ 昨日お父さんが買って あんたなにやってんのよ

嘉代
ごめんおねえちゃん

える
はい

嘉代
ありがとうございます

摩耶花
火傷してない?

嘉代
大丈夫

梨絵
もう気をつけてよね 



奉太郎
食った食った ん 里志のやつもう風呂にいったのか



奉太郎
せっかく温泉宿に来たからな



える
ところで 折木さんはどちらまで?

奉太郎
お前と同じだ 伊原は?

える
子供たちに連れて行かれちゃいました 



える
突然なんですが 折木さんのお姉さんはどんな方ですか?

奉太郎
本当に突然だな そういえば千反田は一人っ子だったか 姉貴か いろんな意味で変わり者だし いろんな意味で優秀だな どうもあいつにはどの分野でも勝てる気がせん

える
ほう

奉太郎
もっとも勝ちたいと思ったこともないけどな  

奉太郎
で 何でいきなり姉貴のことを? 善名姉妹を見たからか?

える
ウフフ 実はですね 兄弟が欲しかったんです 姉か弟 気の置けない相手がいつもそばにいるなんて素敵だと思いませんか?

奉太郎
《思いません どうもお嬢様は人がよすぎるきらいがある 夢見すぎじゃないか 兄弟なんて実際はまったく素敵ではないのだが》



える
ここ 混浴じゃないようですね 

奉太郎
えっ 当たり前だ



奉太郎
ん 里志か

子供
お父さん おじいちゃん 早く もう

奉太郎
おお 案外広いな 



里志
やあ奉太郎 来たね いやあ この湯はいいよ 体に染みとおる

奉太郎
血液に水分が交じり合ったら危険だろうっ 

里志
くだらない事言うねえ ま リラックスしてる証拠なら結構なことだけど 



奉太郎
千反田か?



摩耶花
折木? どうしたの 大丈夫?

里志
湯あたりだよ

摩耶花
へっ?

里志
情けないったらありゃしないよ 僕の半分も入ってなかったくせに 気がついたら目を回してた 

摩耶花
あ あんたって奴は 



奉太郎
はー 悪いなあ 二人とも

里志
どういたしましてだ

摩耶花
折木 あんたは結局イベントを楽しめない宿命なのね 

奉太郎
まったくだ バス酔いが残ってたのかもな 気持ち悪い

奉太郎
《千反田か?》

える
折木さん 大丈夫ですか 

奉太郎
あんまり

える
まだ熱いですね タオルでも絞ってきましょうか

奉太郎
いや いらない あ 俺は寝る せっかくの合宿に水を注してわるいな

える
そんな事 これからみんなで怪談をしようっていってるんですけど もし体調が戻られたら折木さんも来てくださいね ではお大事に

奉太郎
ああ 



奉太郎
《まだ8時前か 太鼓?》

梨絵
本当はわざわざ別館を建てなくてもやっていけたのよ

奉太郎
《隣の部屋も開いてるのか》

梨絵
秘密があるの

摩耶花
秘密って?

梨絵
昔 臨時(いんき?)のお客さんが泊まりに来てね 本館の7号室にお通ししたんだけど 食事はいらない 布団も敷かなくていい とにかく近づくなって でも前金払ってくれたし 忙しい時期だったからちょうどいいってなったんだって ところがその晩 すごい悲鳴が聞こえたの 

里志
悲鳴?

梨絵
7号室に首をつった人影がボウッと浮かび上がって ゆらゆら揺れてたんだって そのお客さん 会社のお金を使い込んで逃げてきたんだってさ

里志
まってました!

摩耶花
やめなさいよ

梨絵
そんなことがあってから 7号室に泊まったお客さんがね この部屋には何かいる 夜中に影が浮かんでくるって そして9人目に泊まったお客さんがね

える
どうされたんですか

梨絵
夜のうちに 急な病気で死んじゃったの

える
そんな

里志
そうこなくっちゃ

摩耶花
やめなさいって

梨絵
だからおばあちゃんお払いを頼んでさらにこの別館を建てたの 悪い噂が広がらないようにね

里志
その7号室って

梨絵
ほら 窓から見える真正面の あの部屋よ あたしたちは1階で暮らしてて 2階にはあまり上がらないようにしてるの 

摩耶花
・・とに? 冗談

梨絵
いい?この話は絶対内緒よ

奉太郎
古風だ 実に



立秋 初めて秋の気立つがゆへなれば也



奉太郎
朝か



梨絵
あ おはよう

奉太郎
おはよう

奉太郎
千反田たちは?

摩耶花
でた・・

奉太郎
出たって何が

摩耶花
昨日夜中に生あったかい風で目が覚めて なんとなく寝返り打ったら向かいの部屋に首吊りの影が ぼんやり浮かんで揺れてたの

奉太郎
《うろたえる伊原もなかなか珍品だな これを逃すとは里志も不運な奴だ 》



奉太郎
ごちそうさん

梨絵
露天風呂どうだった?

える
すごく気持ちよかったです

梨絵
よかったー あとお布団もふかふかだったでしょう

える
はい よく眠れました

奉太郎
《嘉代のは ないみたいだな》

梨絵
あはは 摩耶姉ちゃんがああいう話苦手だったなんて知らなかったなあ

摩耶花
あたしだって幽霊なら怖くないわよ でもあんなのまともに見たら 不気味にも程があるって 

嘉代
摩耶姉ちゃん 見たの?

摩耶花
みたわ 絶対に見た 本当に見た

嘉代
お姉ちゃんあの話したの? お父さんがしちゃだめっていってたのに

梨絵
うるさいわね いいじゃない 摩耶姉ちゃんなんだし

奉太郎
どうした?

える
あの 摩耶花さんのお話 どう思いますか

奉太郎
首吊りの影か? まあ 定番やお約束ってのは欠かせないから生き残ってるんだろう

える
では折木さん 摩耶花さんの言うことが事実だと思いますか?

奉太郎
思わない

える
ではやっぱり思い違いでしょうか

奉太郎
ん どういうことだ

える
私もみたんです 首吊りの影を 摩耶花さんが起きたので 私も目を覚ましたんです そしたら闇に浮かんで見えました 

奉太郎
ほお

える
思い違いかとも思ったのですが 摩耶花さんも同じものを見たというので

奉太郎
なにかの見間違いだろう 昨日のあれだ 幽霊の正体見たり

える
枯れ尾花ですか?

える
だとしたら何を見間違えたんでしょう?

摩耶花
そうね だったら何を見間違えたか言って見せてよ 

奉太郎
何で俺が

える 
折木さん 一緒に調べましょう 私 気になります!



摩耶花
ごめんちいちゃん 梨絵の夏休みの宿題見てあげる約束なの

える
任せてください 私たちできっと真相を突き止めます ね? 折木さん

奉太郎
《ね といわれても 》



える
おじゃまします

奉太郎
《とにかく やらなければいけないことは手短にだ》

奉太郎
さて その影とやらはお前の部屋の真向かいに見えたのか

える
ええ そうでした

奉太郎
大きさは?

える
大きすぎも小さすぎもしなかったと思います

奉太郎
形は

える
よく覚えていないんです

奉太郎
色は

える
わかりません 影だったので

奉太郎
影か つまり逆光だったから人の姿が影になって見えたってことか

える
そうだと思います

奉太郎
逆光ねえ 夜の光源ていえば まあ月だろうが

える
私もそう思います 昨日の晩月はずいぶん明るかったかと それがなにか あ

奉太郎
千反田 怪談が終わって寝たのは何時だ

える
ええと10時です

奉太郎
そのとき雨戸は?

える
しまっていたと思います

奉太郎
雨戸がしまっている限り影はできない 厄介なことになってきた こうなったら本館7号室を見たほうがいいだろう 

える
いいですね 謎めいて やっぱり合宿を開いてよかったです

奉太郎
《開かなくてよかったです》



奉太郎
なあ

嘉代
あ はい なんですか

奉太郎
たのむ

える


奉太郎
子供は苦手だ

える
あ はい 嘉代さーん ちょっといいですか? 私たち本館に入りたいんですけど

嘉代
本館に どうしてですか

える
例の首吊りの影のことを調べているんです 7号室を見せていただきたいんですが 

嘉代
ごめんなさい 今はだめなんです おねえちゃんに怒られちゃう

奉太郎
じゃあひとつ教えてくれ あの部屋は今でも客室なのか

嘉代
違います 本館はお客さん用には お風呂場と食堂しか使っていません

奉太郎
じゃあ空き部屋か

嘉代
二階は全部物置になっています もういいですか

奉太郎
ありがとう 役に立った・・ 嫌われたなあ

える
いいじゃないですか 大きな男の人が怖いんでしょう かわいいですよ



える
7号室に入れないと困りますか

奉太郎
困るというより面倒になった 現場検証ができないからな 

える
あら 懐かしいものがありますね 

奉太郎


える
朝のラジオ体操 おととしまでは通っていました

奉太郎
《中学2年まで 本当に?》



える
裏手からも見てみましょう

奉太郎
? 昨日の晩 雨は降ったか?

える
ええ 一雨

奉太郎
影を浮かび上がらせるには 西側と東側の両方の雨戸を開けなければならないと言うわけだ

嘉代
あの お昼ごはんです 



梨絵 嘉代
ごちそうさま

える
やっぱりいいですね 姉妹って

里志
へえ 千反田さんは姉妹に憧れでも?

える
ええちょっと

摩耶花
で 何かわかった?

える
いえ

奉太郎
まだ下調べだ 仮説はあるがな

摩耶花
へえ 聞かせてよ

奉太郎
え うん

里志
あのさ 一体何の相談? 僕を蚊帳の外にするなんて

奉太郎
蚊帳の外もなにもおまえいつもどこに行ってるんだ 全然見ないぞ

里志
解かってないなあ 温泉は何度でもつかりに行くのが作法だよ

奉太郎
《そんなものかね》

梨絵
じゃーん どう 私の浴衣

える
まあ すてきですね

摩耶花
いいじゃない

梨絵
夏休みの始めにやっとかってもらったんだ

摩耶花
ずっと欲しいっていってたもんね

里志
趣味はいいね

奉太郎
何がよくない

里志
あの帯さ イミテーションじゃないか

奉太郎
なにが突然変異だ

里志
ミューテーションじゃない イミテーションだよ 結び目だけ別に用意したものを取り付けるのさ 僕はあれを浴衣とは認めない

奉太郎
ばかばかしい はあ はっ

里志
どうかしたかい? ?

奉太郎
《さては俺も 首吊りの影ののろいにかかったか?》



奉太郎
昨日の温泉に行こう

える
はい



奉太郎
《首吊りの影 それは伊原と千反田の錯覚の産物 枯れ尾花だ しかしもう一押し足りない 》



える
一緒に出ましょうね 



奉太郎
里志か



奉太郎
おまえさっきまで食事の席にいただろう 一体いつの間に来たんだ

里志
いやあ 青山荘の裏手の崖を滑り降りると この真裏に出るんだよ

奉太郎
《たかが近道のために崖を滑り降りるとは 里志らしい》

奉太郎
《千反田を満足させられる説明がつかない 影の正体は難しくない 要はなぜそうしたのかということだ 》

里志
お 奉太郎まさかのぼせたのかい

奉太郎
なあ 昨日の晩何かイベントはなかったか

里志
湯あたりした奉太郎

奉太郎
じゃなくて

里志
うん みんなで怪談話をした 両手に花でも一輪あまったよ

奉太郎
いや もっとオフィシャルなやつだ

里志
そういや夏祭りがあったよ 太鼓の音が聞こえてたじゃない

奉太郎
《太鼓・・ そうか 夏祭り なるほど》

里志
で それがなにか?



奉太郎
首吊りの影 あれな ハンガーにかかった浴衣だったんだろうな

える
えっ なんでそんなところに浴衣が それに雨戸を開けてまで私たちに浴衣の影を見せるなんて 変です

奉太郎
お前たちに見せるためじゃない 

える
じゃあ

奉太郎
乾かしていたんだよ 濡れた浴衣を 雨戸がひらいてたのは風通しをよくして早く乾かすため 

える
なんで

奉太郎
雨が降ったから 

える
違います なんで7号室なんですか 

奉太郎
乾かしているところを見られないようにするためだ 

える
私たち見ました

奉太郎
違う 家族から隠したかったんだ

える
どうして

奉太郎
浴衣を干したのは 嘉代だ 

奉太郎
嘉代は梨絵の浴衣がうらやましく 着てみたいと思った でも梨絵は貸してくれないだろう 

える
どうしてですか 姉妹ですよ?

奉太郎
気づかなかったか 梨絵は 湯飲みもラジオ体操のカードもボールも自分のものははっきりと区別している子なんだ そんな梨絵に浴衣をかして なんて言えなかったんだ 

える
そんな

奉太郎
だが 嘉代は着たかった だから持ち出して 昨日の夏祭りにそれを着ていった 時刻は8時

える
嘉代さんが夏祭りに? 

奉太郎
見たんだよ 昨日の夜8時に家を出て行く人影を 

奉太郎
嘉代は怪談話の場にはいなかったようだな 

える
確かに嘉代さんはいませんでした 

奉太郎
そんな時 祭りを楽しむ嘉代に不幸が起きた

奉太郎
雨が降った 雨はすぐに上がったが 浴衣は濡れた 嘉代は明日の花火の予定を思い出した 梨絵は間違いなくこの浴衣を着て花火をしたがるだろう 何とか明日までに浴衣を乾かさないと梨絵に責められる

奉太郎
本館の一階は家族に見つかる 別館は論外 夜中に乾燥機は使えない だから嘉代は夜中にみんなが寝静まるころを見計らって 本館二階の一番奥の部屋に浴衣を干した さらに嘉代の不幸は続く 開いた窓から月明かりが差し込み 首吊りの影を見せた そして最後の不幸は おれたちが首吊りの影を調べたこと 嘉代は針のムシロだったはずだ 

奉太郎
《おそらくあのときの襖の人影は 嘉代だったに違いない》

える
嘉代さん

奉太郎
浴衣は朝早くに戻しておいた 梨絵と違って毎日ラジオ体操に通ってる嘉代のことだ戻すのは簡単だっただろう

える
そうでしたか

奉太郎
このことは 伊原には伏せておく いろいろ事情ってのもあるだろうからな 

える
そうなら・・ あの二人は仲が悪いということになります 浴衣を貸し借りすることもできない姉妹なんて

奉太郎
・・ そんなもんじゃないか 兄弟なんて

える
私は 兄弟が欲しかったんです 尊敬できる姉か かわいい弟が 
奉太郎
《千反田が望む兄弟ってのは 枯れ尾花なのかもな》

奉太郎
熱 ん

梨絵
いける?

嘉代
うん

える


奉太郎
まあ 枯れ尾花ばかりでもないかもな



Little birds can remember


<キャスト>
折木奉太郎 中村悠一
千反田える 佐藤聡美
福部里志  阪口大助
伊原摩耶花 茅野愛衣

善名梨絵 豊崎愛生
善名嘉代 小倉唯

子ども 三上枝織
女性 近野明日香