氷菓 3話 事情ある古典部の末裔 セリフ | タイトルは “くぉてーしょん城” 

タイトルは “くぉてーしょん城” 

このブログは アニメ 11mg、音楽 25mg 、ニコ動 3,000mg 、youtube 5,000mg ,野球 23,000mg いいかげんさ 41,000,000mg で構成されています

氷菓 3話

事情ある古典部の末裔

<喫茶パイナップルサンド>

奉太郎
マスター コーヒーをもう一杯

える
あの 実は 私

える
私 折木さんに 頼みがあるんです 

奉太郎
えっ あぁ えっ ・・ 頼み?

える
はい 本当ならこれは 私だけの問題ですから お願いできる筋合いではありません だからまず話を聞いてくれませんか? 

奉太郎
まあ 聞く だけなら

える
はい



える
私には関谷純という叔父がいたのですが 私がその叔父から何を聞いたのか 思い出させてほしいんです  

奉太郎
よくわからんのだが

える
はっ すいません 先走りすぎました ちゃんと順を追ってお話します

える
実はその叔父は7年前にインドに行ったっきり 行方不明になっています 子供のころの私は その叔父によくなついていました どんな突拍子も無い質問にも必ず答えてくれて 知らないことなど何も無いような人でした

える
私が幼稚園のころ 叔父が古典部だったことを知り 私は興味を持ちました いつも家にあった 酢昆布に 語呂が似ていたからだと思います 

奉太郎
《駄洒落か》

える
ある日私は 古典部にまつわる何かについて 叔父に尋ねました するとその時だけ何故か 妙に返事を嫌がったんです 

奉太郎
嫌がった?

える
はい 私がずいぶん駄々をこねて ようやく叔父は答えてくれたんですが その答えを聞いた私は 

奉太郎
お前は?

える
泣きました 恐ろしかったのか 悲しかったのか 大泣きしました 

奉太郎
泣いた・・

える
しかも母が驚いて跳んできてくれたんですが 叔父はそんな私をあやしたりはしてくれなかったんです その時の事は ただショックが大きかっただけで これ以上何も覚えていません

える
でも 中学生になった頃 気になりだしました 叔父はなぜ 答えを渋ったのか なぜあやしてくれなかったのか 

える
それからの私は やれることはやったつもりです 疎遠になっている関谷家にもできる範囲で接触しました ですが どうしても思い出せなかったんです 



える
だから 神山高校に入ったとき 古典部が最後の望みだと思いました 

奉太郎
それが一身上の都合か 

える
ですが古典部が廃部寸前だったとは知りませんでした 職員室で聞いてみても 叔父が高校生だった45年前の事を知っている先生もいなくて

奉太郎
で なぜそこで俺に助けを求める

える
それは それは折木さんが私では想像もしなかった結論を出してくれそうだからです あの鍵の時とか 本の時 そして勧誘メモの時もです

える
折木さんなら きっと私を答えまで導いてくれると思うんです 

奉太郎
買いかぶられても困る あんなものは ただの運だ 

える
ならその運に頼らせてください!

奉太郎
気がすすまん

奉太郎
《これは 千反田という人間の 大げさに言えば人生観にもかかわる問題だ そんな事に省エネ主義のこの俺が少しでも責任を負うとでも? ご冗談を》

奉太郎
何故 俺だけなんだ 頼れるやつは他にもいるだろう

奉太郎
人海戦術を使えばいい お前の友達にも頼んでみればどうだ? 

える
折木さん 私は過去を言いふらして回る趣味はありません 

える
こんなの 誰にでもする話じゃありません

奉太郎
すまん



える
私は随分無茶を言っています 自分の思い出に折木さんまで巻き込んではいけないと解っています ただ 叔父よりもずっと愛想は悪いけれど あなたも答えてくれました 

奉太郎
愛想が悪くて悪かったな

える
私は そんな折木さんに 叔父を重ねていたのかもしれません 

奉太郎
高校は3年間ある その間にゆっくり探せばいい 

える
私は叔父が死んでしまう前に叔父の事を思い出したいのです

奉太郎
死んでしまう?

える
はい 法律では7年の間、生死が不明となれば 死亡したとして扱う事が出来るそうです

奉太郎
そうなのか

える
叔父の家でも、いずれこの件に区切りをつける予定です ささやかですが葬儀も営むそうです だから だから私は叔父が伝えてくれた事を胸に その葬儀に臨みたくて ・・ すみません



回想
奉太郎、どうせやりたいことなんて無いんでしょ?



奉太郎
俺はお前に対して 責任を取れない だから お前の頼みを引き受けるとは言わない だがその話を心に留めておいて ヒントになるような事を見かけたら 必ず報告しよう その解釈に手間取るようなら そのときも手助けする 

える
はい

奉太郎
それでよければ 手伝わせてもらう

える
ありがとうございます どうか よろしくお願いします

奉太郎
ああ



<教室>

奉太郎
《高校生活といえども けして薔薇色だけではない 例えば定期試験 神山高校でも 一学期中間テストが始まった この試験期間中はすべての部活が休止になる それはもちろん古典部もなのだが 普段から何もやっていないので 正直ほとんど変わらない ならば普段どうりにしていてもいいようなものだが 鍵が貸し出されないのでは仕方が無かった》



<自室>

奉太郎
中間テスト終了 やれやれ

手紙(折木供恵)
前略 私は今 イスタンブールにいます ちょっと失敗しちゃって 日本領事館に篭ってるから 街の中はまだ観てないんだけどね

奉太郎
何やったんだ 姉貴・・

手紙
この旅おもしろいわ きっと10年後 この毎日の事を惜しまない 

手紙
ところで古典部はどう? 部員は増えた? それで ちょっと気になる事があったから 書いておくね あんた文集作る気ある? 古典部は毎年文化祭で文集出してたんだけど 今も続いてるのかな 続いてるとしたら もしかして文集の作り方わからないかもしれないと思って 古典部の文集は図書室には無いからね 探すのは部室 そこに使われてない薬品金庫があって バックナンバーはその中 鍵は開いてるわ じゃあプリスチナに着いたら一度電話するから かしこ 折木供恵

奉太郎
薬品金庫? タイミング良過ぎだろ・・



小満 万物盈満(えいまん)すれば草木枝葉繁る



<地学準備室>

える
本当ですか? クシュン

奉太郎
本当だ その手紙もここに持ってきた 

摩耶花
なるほどぉ 薬品金庫ねぇ うん

奉太郎
ここには無いぞ 

える
あっ そう言えば見当たりませんでした じゃあ文集は? 文集は? 

摩耶花
チイちゃん落ち着いて 落ち着いて 

奉太郎
《チイちゃんって》

奉太郎
千反田 その手紙には部室の薬品金庫って書いてあるだけだ 姉貴がここを卒業したのは2年前だからな その間に部室が変わったんだ 

える
なるほど そういうことですか

摩耶花
それで 折木 2年前はどこだったか分かってるの?

奉太郎
顧問に聞いてきた 生物準備室だとさ 

摩耶花
へぇ 珍しく準備がいいじゃない

奉太郎
効率を上げただけだ 

摩耶花
ふうん 張り切ってるわね

奉太郎
そんな事は無い 俺は一般に張り切らない

える
じゃあ行きましょう そういえば福部さんは?

摩耶花
ああ 手芸部よ なんか夏のファッションシーンを先取りーだとかなんとかいってたけど

える
折木さん!

<生物準備室前>

える
あら? 開きませんよ? どなたかいらっしゃいませんかー?

遠垣内
やあ すまない 鍵をかけてた 我が壁新聞部に入部希望かな?

える
いえ 違います ここは壁新聞部の部室なんですか?

遠垣内
そうだけど?

奉太郎
《このにおい 香水? いや消臭剤か?》

遠垣内
で、何か用でも?

える
あの、私、古典部の部長 千反田えると申します 3年E組の遠垣内先輩ですよね

遠垣内
どうして俺の名前を

える
去年万人橋さんのお宅でお姿を見かけていたものですから

遠垣内
万人橋の家で まてよ もしかして 神田の千反田さん?

える
はい 父がお世話になっています

遠垣内
ああ こちらこそ そうかぁ 千反田の 

奉太郎
《何を気にしているんだ》

遠垣内
それで なにか

える
はい それでこの生物準備室に古典部の文集のバックナンバーが保管されていると聞いてきたんです ここは以前 古典部の部室だったそうですね 

遠垣内
あ ああ 俺が一年の頃はそうだったかなあ

える
では ではその文集はご存知ですか? 

遠垣内
あ いや ないね

奉太郎
そうですか ありがとうございました

摩耶花
帰るな!

摩耶花
あの すいません ここにあるはずなんです 探させてください

遠垣内
悪いけどさっき無いって言ったはずだよ 

える
そんな

奉太郎
さ 帰ろうか



摩耶花
あんたおかしいと思わないの? 

奉太郎
思う

摩耶花
だったら帰るな

遠垣内
ま 気の毒だけど 他をあたってくれ 

える
でも ここにあるっていう手掛かりを見つけたんです ここになければ学校中を探さなければならなくなるんです  

奉太郎
《学校中・・ 冗談じゃない》

える
少しの時間でいいんです 中を見せてください

奉太郎
俺からも

遠垣内
あまり部外者に入ってほしくないんだよ 

摩耶花
先輩 でもここは部室である前に 教室ですよね

遠垣内
・・ 君は? 

摩耶花
古典部の伊原摩耶花です

遠垣内
わかった いいよ 探せばいい だけど あまり引っ掻き回さないでくれよ

<生物準備室>

奉太郎
他の部員さんは?

遠垣内
ああ きょうは休みなんだ 俺は6月号のねたを考えてた 神高月報ていうんだが 歴史も古くて もう500号近い 

摩耶花
この部室には無いみたいね 

える
やっぱりそうですか ハクション

摩耶花
どうする? 折木



奉太郎
先輩 部室の入れ替えのときに何か荷物の出し入れはありませんでしたか

遠垣内
・・そういえばダンボール箱をいくつか運んだな

奉太郎
ダンボール箱ですね 

遠垣内
ああ

奉太郎
《と、なると・・ だがそいつを手に入れるのはちょっと難題だ ここはカマをかけてみるか》

奉太郎
すいません どうもこの部屋はものが多くて探し物には手間がかかりそうです 顧問の先生にも手伝ってもらって 徹底的に捜索したいんですが いいですかねぇ

遠垣内
それはだめだ あまり引っ掻き回さないでくれと言っただろう

える
でも ここになかったら もう手掛かりが無いんです 

奉太郎
責任もって 全部元通りにしますから お願いしま・・

遠垣内
駄目だといっている!

える
そんな・・

遠垣内
俺は忙しいんだ 何が徹底的に捜索だ ここにはお前らの文集など無いんだ わかったら帰れ!

奉太郎
先輩 俺たちは薬品金庫の中身に興味があるんですよ

遠垣内

なんだと

奉太郎
その中に文集があるはずなんです それさえあれば先輩の手を煩わせる事もないんですがね ところで俺たち これから図書室に用があるんですが 俺たちが行った後でもし文集が見つかったら 地学準備室に置いといてもらえませんか 鍵は開いています

遠垣内
お お前 お前は俺を

奉太郎
先輩を?

遠垣内
・・ わかった 見つかったらそうしておくよ 

奉太郎
お願いします さあ行こうか 

遠垣内
おい1年 お前の名前だけ聞いてなかったな 

奉太郎
折木奉太郎 悪いとは 思ってますよ 



摩耶花
ねえ折木 どうしてこんなところで待っているのよ?

奉太郎
省エネだ

摩耶花
なによそれ

奉太郎
ところで千反田 遠垣内の家は どういう方面で有名なんだ 

える
そうですね 中等教育に影響力があって 教育関係者が何人もいるお家柄ですね 

奉太郎
なるほどなぁ 

奉太郎
《5分経過》 そろそろ戻るか



<地学準備室>

奉太郎
あ きてるな

摩耶花
文集だわ

摩耶花
ちょっと折木 あんたこれどうやったの? 何か知ってたの?

奉太郎
まあ ちょっと脅迫をな

摩耶花
脅迫?

奉太郎
ああ 伊原 お前口は堅い方か?

摩耶花
何よ 言うなといわれればしゃべらないわよ 

奉太郎
そうか じゃあまずはじめ 遠垣内が部屋から出てきたとき やつは明らかに俺たちを警戒していた 

摩耶花
確かに

奉太郎
室内の様子はどうだ? 窓を開けて扇風機を回していたが あの位置ではテーブルのうえの用紙も吹き飛ばしてしまいかねん 

摩耶花
空気の入れ替えをしたかったんでしょう? 

奉太郎
そうだ ではなぜ換気をしたかったのか もっと言えば 何故内側から鍵を掛け 赤外線センサーまで設置して 

摩耶花
ちょ、ちょっとまってなによその赤外線センサーって

奉太郎
ああ 廊下の両側に見慣れない小さな箱があったんだ それにあの室内にあったあのアンテナのついたのが受信機だとすると あそこを誰かが通れば アラームがなる仕組みなんだろう

摩耶花
よくそんなのが分かったわね 

奉太郎
ま 状況からの推測だけどな 問題は何故そこま警戒して 接近者が来るや 慌てて部屋の換気をしたのか 

摩耶花
匂いを消すため

奉太郎
それが妥当だろう 奴は消臭スプレーの匂いもさせていた で そこまでして人に知られたくないにおいとなると 

摩耶花
タバコね

奉太郎
教育界の名家の御曹司ともなれば なんとしてでも 不法行為を見つかるわけにはいかないって事だな 

摩耶花
なるほどねぇ

奉太郎
まあ もし千反田が風邪を引いていなかったら 一発でにおいに気づいていただろうがな

摩耶花
でもまって 結局文集ってどこにあったの?

奉太郎
薬品金庫のなかだろう

摩耶花
おーれーきー

奉太郎
べ、別にからかってるんじゃないぞ 薬品金庫はあの簡易テーブルの下にあったんだ そしてその中に タバコやライターも隠していたんだろう だから俺が先生と一緒に探させてくれと頼んだとき 遠垣内はあんなに慌てたんだ 

摩耶花
やっぱり あんた 変!

奉太郎
なにを 典型的な 一般人を捕まえて 

里志
みんなー ヒマワリー

奉太郎
里志 文集のバックナンバーが見つかったぞ

里志
え わ 本当だ へぇ こんなのだったんだ

摩耶花
40年も前となると さすがに手作り感があるわよねぇ

里志
それはガリ版印刷だね 正確には謄写版印刷って言って明治時代に発明されたものなんだよ 1970年代だとまだ学校にはコピー機はなかった時代だから ほらこっちはコピー機をつかってる

奉太郎
どうした 千反田 

奉太郎
どうした

える
折木さん ちょっと

える
これです

奉太郎
氷菓 第2号

える
あの時私は これを見つけたんです 叔父のところにこれを持っていって これは何かと聞いたんです 

奉太郎
思い出したのか

える
この中を見てください これには叔父の事が載っています 何かがあったんです 45年前に この古典部で 

奉太郎
《今年もまた文化祭がやってきた 関谷先輩が去ってからもう1年になる この1年で先輩は英雄から伝説になった 争いも犠牲も 先輩のあの微笑さえも すべては時の彼方に流されてゆく いやそのほうがいい 覚えていてはならない なぜならあれは 英雄譚などでは決してなかったのだから 全ては主観性を失って 歴史的遠近法の彼方で古典になってゆく いつの日か現在の私たちも 未来の誰かの古典になるのだろう 一九六八年 十月十三日 郡山養子 》

える
ここにある去年は 45年前になります ならば 古典部の関谷先輩とは 叔父の事でしょう その叔父が 私に教えてくれた答えも 古典部に関する事でした 

奉太郎
なら もう大丈夫だろう 

える
でも 思い出せないんです もうちょっと もうちょっとなのに・・ あの日 叔父は何を語ってくれたのでしょう 45年前叔父に一体何があったと

奉太郎
調べてみればいいさ

える
でも 覚えていてはならないって書いてあります もし調べたら 不幸な事になるかもしれません 忘れられたほうがいい事実というのは存在するでしょう
 
奉太郎
45年も前のことでもか

える
違うんですか

奉太郎
違うさ ここに書いてあるじゃないか 全ては 歴史的遠近法の彼方で古典になっていく 時効って事さ  

える
・・はい

奉太郎
それに 調べるって言ったって第2号に去年の事って書いてあるんだから 創刊号を見ればいいだけだ 

摩耶花
ちょっと何よこれ 創刊号だけ欠けているじゃない 

里志
あっ

える
はっ



The niece of time



<キャスト>
折木奉太郎 中村悠一
千反田える 佐藤聡美
福部里志  阪口大助
伊原摩耶花 茅野愛衣

折木供恵 雪野五月

遠垣内将司 置鮎龍太郎

先生 川原慶久
剣道部主将 会一太郎