公会計の動向 -50ページ目

羽田新滑走路工事で全体スライド条項適用へ

 朝日は8月19日に「羽田新滑走路工事、1千億円増 国交省、予算上乗せへ」〔大平要〕を掲出。

 記事は、22年秋に完成する羽田空港の新滑走路の建設工事費が、発注時より1千億円近く増えて約7千億円に膨らむことになったと報じる。工事を担う共同企業体(JV)が求めていた資材価格の高騰分の工事費への上乗せを、国土交通省が受け入れる方針を固めたもので、21年度予算で約700億円、残りを22年度予算で手当てするとのこと。工事の受注後に資材価格が上昇しても、発注者は工事費への転嫁を容易に認めないため、工事を請け負う建設各社の経営が圧迫されており、羽田の巨大プロジェクトで工事費の上乗せが認められることで、ほかの公共工事や民間工事にも同じような転嫁の動きが広がりそうと記事は伝える。新滑走路の建設工事は鹿島などのJVが約6千億円で17年3月に落札し、19年3月に着工した。だがその後、鉄骨などの資材価格が高騰しており、このため、JVは昨年末、上昇分を工事費に上乗せするよう国交省に申請していたとのこと。申請の根拠は、標準的な公共工事契約に盛り込まれている「全体スライド条項」で、契約後1年以上経過した工事で、資材価格や労務費が契約時よりも増えた場合、その増加額から1.5%を差し引いた金額を上乗せするよう発注者に求めることができる、としているとの由。4本目となる羽田の新滑走路(2500メートル)は、首都圏の空港容量不足の解消が狙いで、当初は21年に完成する予定だったが、地元自治体の負担の仕方や漁業補償をめぐる交渉などで着工が遅れた経緯があると記事は伝える。

使われない地方空港を国がテコ入れ

 朝日は8月17日に「地方空港活性化ねらい交付金 国交省が制度創設へ」〔大平要〕を掲出。

 記事は、国土交通省が、厳しい経営状況にある地方空港の活性化や、空港周辺の地域振興策への交付金制度を創設する方針を固め、21年度予算の概算要求で、約2億5千万円を盛り込むと報じる。地元の創意工夫を促し、空港の活性化を狙うものだが、そもそも空港の造りすぎが経営不振の原因だとの指摘もあり、安易に交付すれば「新たなバラマキ政策」との批判も出そうと記事は評する。今年の通常国会で改正された空港整備法(現・空港法)には、空港ごとに自治体や地元経済団体、空港管理者らでつくる協議会の設置が盛り込まれており、この協議会が事業案をまとめて補助を申請し、国交省が認めた事業に、空港整備のための特別会計から事業費の最大50%を交付するという枠組みとのこと。国交省は、空港を使った物流強化のための施設整備や、乗り換え客を地域の観光地に案内するバス事業などを対象事業に想定しており、認定する事業は年間数件になる見通しとか。国内には97の空港があるが、大半が厳しい経営状況で、さらに航空各社が今、原油高騰を受けて不採算路線からの撤退や減便を進めており、着陸料や施設利用料収入の減少で今後、厳しさが増しそうと記事は伝える。


 「空港の造りすぎが経営不振の原因」という説は初耳。需要に見合っていない、という話は聞いたことがあるが。

交付税不交付団体は減少

 共同が8月15日に配信した「交付税総額3年ぶり増加」は、増田総務相が15日の閣議に報告した20年度の普通交付税大綱によると、財政状態が厳しい過疎自治体などへ重点配分する地方再生対策費の新設により、総額は前年度より1・3%多い14兆4816億円と3年ぶりに増加したと報じる。道路特定財源の暫定税率1カ月失効による地方税収の影響額は減収扱いとしたとのこと。東京都と愛知県も含めた全体の不交付団体数は前年度より9少ない179と、8年ぶりに減少したとか。

地方財政措置を要請

 日経は7月29日に「44項目の地方財政措置を要請 総務相が各府庁に」を掲出。

 記事は、増田寛也総務相が29日、来年度予算の概算要求基準が臨時閣議で了解されたのを受け、各省府に地方財政への配慮を要請したと報じる。道路特定財源が見直しになっても、地方に配分される額を確保するよう国土交通省に申し入れており、文部科学省には「骨太の方針2006」で定めた地方公務員の定員削減に支障をきたすような教職員の定員増を安易に要求しないよう求めたとか。各省府への申し入れは地方自治体からの要望を踏まえて総務省が概算要求の前にまとめるものとのことで、今年は昨年に比べ2件多い44項目となった。

19年度主計簿締め切り

 産経は7月31日に「19年度決算 純剰余金は6319億円」を掲出。

 記事は、財務省は31日、国の歳入と歳出を締め切り、平成19年度一般会計の決算を確定したと報じる。歳入から、歳出や翌年度への繰り越し分などを差し引いた純剰余金は、6319億円となり、純剰余金の2分の1以上は国債の償還に充てられることが財政法で規定されているものの、特例法を定めれば全額を補正予算の財源とすることができ、与党内では補正予算の編成を求める声が強く、純剰余金をあてにした議論も起こりそうと記事は余計なことを書く。税収の確定値は51兆182億円で、補正後の予算額を1兆5328億円下回っており、財務省は「円高や原材料価格の高騰で企業業績が悪化し、法人税が減収となったことが響いた」としているとか。法人税収は前年度比1・2%減の14兆7444億円で、前年度を下回ったのは5年ぶりとなる。



経財会議が特別会計を取り上げる

 朝日は7月29日に「特別会計の無駄にメス 経財会議、数値目標は合意せず」〔庄司将晃、山川一基〕を掲出。

 記事は、政府の経済財政諮問会議が28日、特別会計にメスを入れることを決めたと報じる。道路関連の特会から職員向けマッサージチェア購入費が支出されるなど「無駄遣い」が相次いで発覚したためだが、肝心の数値目標に異論が出るなど具体策の検討には壁もあると記事は伝える。この日の会議で民間議員の一人が「特会は不透明で、『伏魔殿』という印象を国民に与えている。わかりやすく改革すべきだ」と訴えたとか。民間議員が提案した特会改革の目玉は、公益法人への支出や人件費・事務費の効率化に関する数値目標の新設で、特会は事業ごとに独立させた予算で、各省庁が管理しており、20年度では21会計あり、歳出総額は国の一般会計予算の4倍以上の約368兆円に達し、会計間の重複分を除いても約178兆円になるが、民間議員はこのうち、国債償還など資金管理のために便宜上置かれている特会などを除いた、公共事業やエネルギー対策に関する特会を数値目標の対象に挙げたとか。歳出額は計11.2兆円で、一般会計で進めてきた「公共事業費3%削減」などのタガを、特会にもはめる狙いがあるとのこと。民間議員は特会全体を対象に「埋蔵金」とも呼ばれる積立金や剰余金について共通の基準をつくって監視することも提言しており、特会に含まれる空港や港湾などの施設ごとの収支も開示させることを求めたとか。ただ、この日の会議では、額賀財務相は数値目標に対し「一律に対応を定めることはできない。特会ごとに個別に対応したい」と難色を示し、合意には至らなかったとのこと。財務省によると11.2兆円のうち約5兆円は一般会計から繰り入れられているため、概算要求基準での削減目標の対象となるが、残りの約6兆円については巨大地震に備えた「地震再保険特会」や特許申請数に影響を受ける「特許特会」など「削減目標にそぐわない」(幹部)とのこと。結局、無駄ゼロを進める「行政支出総点検会議」で特会について総点検することに加え、一連の改革案について諮問会議で再度議論し、可能なものから年内に決定する運びとなったとの由。しかし、特会改革が政府の「歳出改革の柱」であることに変わりはなく、特会の多くには特定財源から自動的に税金が流れ込み、財務省や国会の監視が弱いと言われていて、小泉政権下で18年に成立した行政改革推進法では、31あった特会を23年度までに17に統廃合し、5年間で約20兆円を一般会計に繰り入れることになっているが、その後も、多額の職員のタクシー代やマッサージチェアの購入など道路特会などを舞台にした無駄遣いが次々と明らかになった経緯があり、福田政権は、社会保障費をまかなう増税を国民に求める前に、特会の無駄遣いを洗い出す必要に迫られていると記事は締め括っている。

公用車の6割は国交省

 朝日は7月28日に「公用車数、国交省ダントツ 全省庁の6割、特別会計背景」〔松川敦志〕を掲出。

 記事は、中央省庁が保有する公用車が全国に約6千台あり、6割以上を国土交通省分が占めていると報じる。同省発注の公用車業務をめぐっては天下り先による談合疑惑も浮上しており、福田首相が「無駄ゼロ」の歳出改革を打ち出す中で、巨額予算を背景にした同省の公用車は大幅な削減を迫られそうと記事は伝える。1府12省庁に、本省や外局、地方組織で保有している公用車の台数と、管理・運転業務を民間に委託している台数、委託先などを聞いたもので、各省庁が公費で購入した公用車にはセダンやワゴンなどさまざまな車種があり、幹部職員の送迎や一般職員の移動に使われていて、運転手の人員削減が進む中、管理・運転の民間委託が進んでいるが、一般職員自らが運転する場合もあるとか。総保有台数は6382台で、国交省が4123台(64.6%)を占めており、他省庁は財務省610台、防衛省428台、法務省237台、厚生労働省168台などで、国交省が際だつとのこと。国交省が管理・運転業務を民間に委託していたのは、確認できただけで2303台で、談合疑惑では、国交省からいずれも20人前後の天下りを受け入れる3社による独占受注が問題となっているが、他省庁の民間委託分計約200台(一部省庁は未回答)では、3社のうち2社が18台を受注していただけで他業者と比べ目立った偏りはなかったとか。国交省の保有台数の多さには、全国各地にさまざまな出先を抱える上、予算規模の大きい特別会計(特会)を持っている背景があり、国交省の4123台のうち、一般会計からの支出でまかなわれているのは803台で、残りは五つの特会で費用負担していて、それぞれの特会の関連業務ごとに独立して使っているとのこと。道路特定財源を主な原資とする道路整備特会と河川やダムの管理・整備のための治水特会の旧建設省系の2大特会で7割近くを占めており、道路特会分だけで管理・運転業務委託の年間支出は82億円(06年度)に上るとか。道路、治水両特会の突出ぶりについて国交省は「災害時の緊急出動に備えるため各事務所に運転手つき公用車を常備する必要がある」と説明するが、災害による緊急出動が頻繁にあるわけではなく、一般職員が日常的な移動をする際に自分では運転せずに公用車を使っているのが実態となっており、県警や法務局など公共交通機関で容易に行き来できる場所が運行記録に残されているケースが目立つとか。1カ月の稼働時間が40時間しかない例もあり、同じ事務所に道路と河川、それぞれの特会による公用車がだぶって配備されているケースも多いとのこと。こうした実態に批判的な声は省内にもあり、地方勤務の経験がある幹部は「特会ごとの縦割り運用が無駄を生んでいる。真剣に見直せば優に半減は可能」とし、中堅職員は「日常の移動は自分で運転できるし、タクシーでもいい。災害時に必要な台数を確保し、それ以外は見直すべきだ」と話しているとか。談合問題を機にした批判の高まりを受け、冬柴国交相は22日の閣議後会見で「国民の目から見て納得できる必要最小限の台数に削減する」と述べ、具体的な削減の数値目標を8月中には打ち出す意向を明らかにしているとの由。

高速道路交流推進財団資金の使い途

 日経は7月25日に「国交省の検討委、400億円の使途10通り提案」を掲出。

 記事は、国土交通省の検討委員会が25日、財団法人「高速道路交流推進財団」が保有する資金約400億円について、自動料金収受システム(ETC)専用のインターチェンジの案内標識を設置する地方自治体向け費用、ETCの購入費の助成、サービスエリア(SA)のトイレ整備など10通りの使い道を提案したと報じる。国交省は提案を参考に使い道の検討を進めるとか。同財団はSAやパーキングエリア事業を手掛けていたが、道路公団の民営化に伴い高速道路会社に資産や事業を譲渡し、同財団が持つ資金の使い道が注目を集めていたとのこと。

熊本県が裏金有無の調査を開始

 読売新聞熊本ページは7月26日に「県と県教委、来月結果を公表」〔佐々木道哉〕を掲出。

 記事は、宮崎や長崎、岐阜県など全国の自治体で裏金問題が相次いで発覚したことを受け、熊本県と県教委が出先機関を含む全庁的な裏金調査を始めたと報じる。裏金の有無や金額、捻出目的などを調べ、8月に結果を公表するとのこと。蒲島知事は公約で「裏金の調査」を掲げ、6月定例県議会で早期に着手する考えを表明しており、山本隆生教育長も知事部局と歩調を合わせる意向を示していたとか。調査は、知事部局が各部局と地域振興局、県教委が本庁各課と教育事務所、77の県立学校、県立図書館、県立美術館などで実施し、裏金の有無をはじめ、存在が確認された場合は金額、帳簿や証拠書類の有無、捻出目的や方法、保管状況を詳しく報告させるとのこと。調査結果は月末までに集約し、知事部局については蒲島知事が8月に公表するとか。県は官官接待が全国的に問題化したのを機に7年以降、食糧費の支出基準を設けたり、旅費規程の見直しや外部監査制度を導入したりしてきており、県人事課は「現状では裏金を捻出するためのカラ出張やカラ会食などはできない仕組みになっている。念のための再調査で裏金が存在しないことを信じている」と話しているとか。一方、県警は、年1回の警察庁や県による監査のほか、4、5年ごとに会計検査院の実地検査を受けるなど厳重にチェックされているとして、裏金調査は行わないとか。

自主申告で課徴金を減免された談合企業に対しても違約金を請求

 日経は7月26日に「国交省、談合「自首」でも違約金 民事上の責任追及」を掲出。

 記事は、国土交通省が、談合の事実が確定した場合、情報提供により課徴金を免除された業者に対しても違約金を請求することを決め、8月入札分の契約から適用すると報じる。違反を最初に自主申告した企業は刑事、行政処分については減免されるが、民事上の責任は見逃さない方針で、同省は「無駄に支出させた税金は払い戻すべきだ」としているとか。会計検査院が国交省などが発注した水門設備工事を巡る談合で、契約額の1割として算出される計約3億円の違約金は請求されていないことを指摘し、「違反行為による損害が速やかに回復できない状況は不適切」として改善を求めていたとの由。