焚書とは、書物を廃棄することで、一般的には支配者や政府などによる組織的で大規模なものを言います。学問や思想を権力によって弾圧するために行われます。
焚書で有名なものとしては、秦の始皇帝やナチスドイツが行った焚書があります。日本でも焚書は行われており、戦後にGHQによって実施されました。
GHQが行った占領政策のうち焚書については、どのように行われたのか分からない部分が多かったのですが、徐々に内容が明らかになってきています。
今回は、西尾幹二氏の「GHQ焚書図書開封」に記述されている内容から、どのように焚書が行われたのかを説明したいと思います。
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昭和3年1月1日から昭和20年9月2日までの間に刊行された約22万点のうち、GHQは7,769点を没収宣伝用刊行物に指定しました。
刊行物の没収についてはGHQが日本政府に対して覚書の通達を出していて、第1回の昭和21年3月17日から昭和23年4月15日まで全部で48回の通達がされていました。
指定された刊行物は、書店、古書店、出版社、配給会社、広告宣伝会社の他に、官公庁など公共ルートからも没収されました。但し、一般家庭や図書館にあるものは没収の対象にはなりませんでした。
没収はGHQ自らが行ったのではなく日本人に行わせていて、最初は日本の警察が本の没収を行っていました。昭和23年6月からは、焚書業務が文部省社会教育局に移管され、各都道府県知事によって担当官が指名されるようになりました。
本の没収に抵抗する人がいた場合は、警察力を使って没収するように指示を出していました。没収する行為に違反した場合は、10年以下の懲役もしくは罰金などが科されることになっていました。
焚書には、日本政府だけでなく日本の知識階級の学者や言論人の協力がありました。特に、東大文学部が大きく関与していたようです。日本政府から東大に協力要請があり、東大文学部内に戦犯の調査のための委員会が設けられています。
また、帝国図書館(現国立国会図書館)内に出版物追放に関する調査のための委員会が設けられ、その委員長として東大法科教授の牧野英一氏が務めていました。牧野氏は、公職追放に協力するための中央公職適否審査委員会の委員も、昭和22年6月から昭和23年5月まで務めていました。
焚書に協力した日本人には、やむにやまれず消極的に協力した人と、積極的に協力した人に別れていたようです。
焚書については、関係者に対して外部に漏らさないように厳格に命じていました。本の没収官などに対して、没収行為を当事者以外に漏らさないように命じ、帝国図書館や東大で行われていた焚書に関連する各種会議が記録に残らないようにしていました。
焚書という行為は、文明社会がやってはいけない歴史破壊であるということをGHQは自覚していました。従って、GHQ自らが本を没収する行為はせずに日本政府に行わせ、しかも焚書を行ったことを知られないような手を打っていました。
一般の家庭や図書館にあるものを没収の対象にしなかったのは、焚書をしていることがバレないようにするためです。
また、焚書の対象となった本を多く出版していたのは、以下の3社です。
出版社別焚書出版物ベスト3
・朝日新聞社:140点
・講談社:83点
・毎日新聞社:81点
この3社は、戦後は自虐史観の優等生と呼ばれる存在となっており、反日派の旗振り役とも言えるところです。そういったところが、焚書された出版物が多かったというのは中々興味深いですね。
日本ではいまだに米国によって日本に民主主義がもたらされたという嘘が蔓延していますが、これはGHQによる日本人洗脳工作の賜物だと思います。
焚書は検閲と並んで、民主主義の根幹となる言論の自由と出版の自由を阻害するものです。民主主義に大きく反することを行っているのに、米国によって民主主義が日本にもたらされたというのは、大きな矛盾だと思います。
GHQの焚書の目的は、日本の歴史を消して連合国に都合の良い歴史を日本人に刷り込むことです。日本人が近現代史に疎いのは、学校教育の影響が大きいのですが、焚書によって近現代の様子を知ることができなくなったことも大きな原因の一つだと思います。
- GHQ焚書図書開封/西尾 幹二
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