「竹林はるか遠く」は、終戦直後に朝鮮半島から引き上げた日本人の壮絶な体験をした著者であるヨーコ・カワシマ・ワトキンス氏の自伝的小説です。


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以前読んだことはあったのですが、最近改めて読んでみました。この本は、米国で中学生の教材として使われていましたが、在米韓国人が教材からはずす運動を2006年に始めました。

 

在米韓国人は、日本人を被害者に仕立てて、日本が朝鮮半島統治で行ったことを正確に書いていなく、強姦についても写実的に書いていて中学生が読むのにふさわしくないと主張していたようです。

 

更に、著者の父親が731部隊に属しており、慰安婦を満州に送った悪者であるという、事実に反することを言って中傷し始めました。この動きにボストン駐在韓国領事も加担して、米国以外にも反対運動が広がったようです。

 

実際に本を読んでみると分かりますが、日本人女性を強姦していた朝鮮人も出てきますが、中学生が読むに堪えないような記述にはなっていません。また、一般人への強姦や殺人などを行っていたのは朝鮮やソ連の共産軍が主で、朝鮮人が殊更残虐だったという内容にはなっていません。

 

むしろ、日本が統治していた頃は、朝鮮半島では日本人と朝鮮人が共生していたことが伝わってきます。また、著者の兄は朝鮮人家族に助けられ、非常に親切な朝鮮人がいたということも分かります。日本人を助けたことが分かってしまえば、朝鮮人家族も処刑される可能性がありましたが、そのような危険があるにもかかわらず救ってくれたのです。

 

 

在米韓国人が反対運動を展開していることを知った時は、この本には朝鮮人がいかに日本人に酷いことをしたのかが書いてあるのだと思いました。しかし、実際に本を読んでみると、そのようなことが出てくる場面は極僅かです。

 

この本を読んで、朝鮮人が酷い民族だと感じる人はあまりいないように思います。普通であれば、反対運動を起こす理由は全くありません。

 

しかし、朝鮮半島で日本人と朝鮮人が仲良く暮らしていたこと、終戦後に日本人が朝鮮半島から引き上げるときに過酷な状況下に置かれ多くの人が被害に遭ったたことが分かってしまうと、韓国人が主張していることと辻褄が合わなくなってしまいます。

 

朝鮮は日本に統治されていた時に苛烈な状況にあり、日本人が一方的に朝鮮人を虐げていたという嘘がバレてしまうため、在米韓国人がこの本への反対運動を展開したのではないでしょうか。

 

 

この本の主題は「戦争がいかに悲惨で無意味であるか」「勇気を持って強く生きる」と、訳者は言っています。

 

しかし本を実際に読んでみると、「戦争がいかに悲惨で無意味であるか」というのは「戦争で負けて力を失い無防備な状態になるといかに悲惨か」ということを感じました。

 

戦争で戦いに巻き込まれてしまえば大変な目に遭いますが、通常の戦争では戦闘地域で軍隊同士の戦いが行われ、一般の人が戦闘に巻き込まれることはあまりありません。

 

大東亜戦争での都市部への無差別爆撃や原子爆弾投下は、明らかに国際条約に違反する虐殺行為ですが、日本人の多くは戦争とはああいうものだと勘違いしているのだと思います。

 

一般の人が被害に遭うのは、居住地域で軍や警察などの治安維持能力が及ばなくなり、暴動や略奪が起こった時や、秩序や規律のない軍隊に占領されてやりたい放題にされてしまう時です。

 

 

この本を読んで改めて感じたことは、情けは人の為ならずということです。著者が陸軍病院で会った負傷兵が、後に著者の人生に大きく関わっていくことになります。

 

そして、著者の姉の強さと逞しさには感心させられました。日本に戻ってからは、朝鮮半島から逃れるときとは違った苦難が待ち受けているのですが、力強い生き様に感嘆します。

 

まだこの本を読んでない方がいれば、是非読んでみてください。また、多くの日本の子供にも読んでもらいたいと思います。日本でも学校の副読本にして欲しいと思います。

 

壮絶で悲惨な目に遭うことが書かれていますが、それ以上に感動する場面が出てきます。そして、著者達がその後どうなったのかが非常に気になりますので、続編を早く読もうと思っています。
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