愛してる親・愛されないこども
子育て相談に来られる方や講座生もそうだけれど本当にみんな、子どものことを大事に想って子育てをしてる。みんな、愛されて育ってるよね、と思う一方で「お母さんたち」の話を聞くと自分自身はあまり大事にされなかった、愛されてるって感じたことはないです、というような言葉が出てくることは実は珍しくないことです。いつの時代も「親」というのは子どもを誰よりも大切に想って子育てをしているのにいつの時代も、大人になった人に聞くとなぜか「自分は愛されなかった」と答える人がいる。その人たちの親だって、愛情たっぷりに育てたはずなのに…。わたしがこの仕事をしている理由はここにあります。現実には、子どものためを思って一生懸命に親が子どもへ与えているものが実は子どもを苦しめている、ということがたくさんあります…。私自身は子どものころ親の価値観を押し付けられて育ち親の世界観のなかで育てられてきたので不満、不安、自責などの渦巻く感情を抱えながら大人になりました。その環境育ちゆえの生きづらさを今でも抱えています。だからこそ、子どもが感じる、言葉にならないような苦しさは手にとるようにわかるし生きづらさを抱える人生の大変さも、本当によくわかります。でも、私自身も子育てをしている親としてもしわが子が、私の良かれと思うことでずっと苦しんでいたとしたら…ものすごく辛いです。だってわが子の幸せを誰よりも願っていたのにそんな自分自身が苦しめていたなんてそんなに親にとって辛いことはありません。私はこの愛情のすれ違いを一人でも多くの家庭からなくしたい、と思っています。子どもを心から愛している親の愛情が子どもにしっかり伝わり親から存分に愛されたいと願う子どもが親からの愛情を受け取って幸せに生きていく…お互いが願っているのは、ただそれだけなのに「すれ違い」が起きてしまうとどちらにとっても不幸な結末に至ってしまうのはあまりにも辛いことだと思いませんか?私はとくに、このような仕事をしているので自分の親が知識不足によって、あのような形の子育てをやる以外の選択肢を知らなかったのだろうと頭で理解することはできます。それでも、そうやって育ってきた時間は消えないしその時間をうまく生き抜くために歪めてきた価値観は頭で理解できたところで、そう簡単に変わってくれません。私自身が、身をもってさまざまな苦労を背負っているからこそ親の責任の大きさを感じるし、今度は親の立場としてわたしと同じように辛い幼少期を過ごすこどもをひとりでも減らしたいという想いでこの仕事をずっと続けています。講座生たちが、学び始めると面白いぐらい子どもの様子がどの家庭でも変わります。それは、今まで以上に親からの愛情を感じるようになるからです。子どもが本音を話してくれました。子どもの方から学校のことを話すようになりました。きょうだい喧嘩が少なくなりました。そういった変化のお声をたくさん聴きます。これは親にとっても子どもにとっても幸せなことです。親の子どもを想う気持ちが愛情のかたちのまま子どもへ届けることができる親子をこれからも増やしていけたらうれしいです。