『生物の変遷と進化』第12回
<4億4400万年前>
(オルドビス紀)
「1回目の大量絶滅」
<オルドビス紀の大量絶滅>
現在知られている5つの大量絶滅のなかで2番目に大規模なこの出来事は、オルドビス紀とシルル紀の境目となるO-S境界で起こりました。
オルドビス紀最終期である4億4520万年前から4億4380万年前にあたります。
2020年、中国、アメリカ、オーストラリアの研究チームは、「オルドビス紀末の大量絶滅が4億4310万年前から4億4290万年前までの20万年の間に発生した」との見解を発表しました。
この大量絶滅で、それまで繁栄していた三葉虫は半減し、腕足類(貝に似た生物)、ウミリンゴ、筆石、フデイシ、コノドントの大半が絶滅しました。
海洋生物全体では49%から60%の属が絶滅し、種レベルでは85%が地球上から姿を消しました。
<原因>
大量絶滅の原因はよくわかっていません。それを知る手がかりは大陸の移動によって深く埋もれ散逸してしまったからです。
どの要因も原因と結果の相関関係だったり、複合的に発生した可能性は高いのです。
一般的には火山噴火が主原因だといわれています。
オルドビス紀の大量絶滅のピークは二段階で進行していました。一段目は海水準の低下、二段目は海水準の上昇がありました。
第一段階では、温暖気候からごく短い時間のうちに急速に寒冷気候へ移行しました。南極域にあった超大陸ゴンドワナに広大な氷床が形成され、世界の海水準は最大で100mも急激に低下して広大な大陸棚海が失われました。当時43℃ほどだった海洋温度は、現代と変わらない23℃前後にまで下がりました。全球的な気温の低下は、温暖な環境に適応していた熱帯域の生物にも深刻な寒冷ストレスを与えました。
第二段階では、氷河時代は地質学的には短期間で終わり、気候が再び温暖化に転じると、大陸氷床は急速に融解しました。これにより、今度は急激な海水準の上昇が起こり、干上がっていた大陸棚が再び水没しました。温暖で酸素が乏しい海水が広がり、寒冷化に適応した海洋生物は姿を消しました。
海水準変動をもたらした環境の変化と大量絶滅との関係は不明です。
(原因1)大陸氷河
オルドビス紀末期の気温の乱高下は、ゴンドワナ大陸の移動によるものという説があります。
南半球に集中していた冷たい海流を遮断するような大陸配置と、南極で発達した氷河で冷やされた海流が循環する大陸配置が繰り返されたことによって、ゴンドワナ大陸の氷河が増大しました。世界的に海面は数十mも低下しました。すると広大な大陸棚が陸地化し、サンゴ類からなる環礁やそこを住処としていた生物が大打撃を受けました。
ところが、今度は大陸移動による活発な火山活動による温室効果で、氷河が解け出すと海面が再び上昇し、その環境の変化でせっかく生き残った種も死に絶えてしまいました。
絶滅は、海水準の低下と上昇の2回が確認されていますが、海水準変動をもたらした環境の変化と大量絶滅との関係は不明です。
また、この海洋循環の変化により、深海の酸素供給が減少し貧酸素環境が拡大したという説もあります。。
(原因2)火山噴火
大量絶滅は火山噴火(下図)による地球寒冷化によるものという説があります。
「火山の大噴火で、マントルにあった水銀とともに二酸化硫黄ガスが大量に放出されて成層圏で亜硫酸ガスに変化しました。この硫酸が浮遊微粒子(エアロゾル)になって太陽光を遮断し、寒冷化して大量絶滅に至った」というシナリオです。
火山の大噴火が起こると一時的に寒冷化が進み、しかしその後は大量に放出された温室効果ガスにより温暖化が進行します。
2017年に、東北大学大学院などの研究チームにより、火山噴火による地球寒冷化が原因ではないか、という研究発表がされました。高温でのみ生成されるコロネン(カルパチア石)(下図)が発見されています。
(原因3)ガンマ線バースト
地球が超新星爆発によるガンマ線バースト(下図) の直撃を受けたためという説。
大きな恒星が最後を迎えるとき超新星爆発を起こします。そのときに爆発する恒星から光速に近いスピードで強いガンマ線が放出されます。これがガンマ線バーストと呼ばれる現象で、宇宙でもっとも強力なエネルギーとされており、何十億光年先までその影響が及ぶほどです。
2005年、NASAとカンザス大学はオルドビス紀末の大量絶滅は、ガンマ線バーストが数十秒間にわたって地球を襲った結果ではないかという仮説を発表しました。
しかし、このようなガンマ線バーストが地球の近くで起こったという証拠は、今のところありません。
<大量絶滅後>
氷床が融解して海水面が上昇すると再び絶滅のピークが訪れましたが、それが安定すると絶滅事変も収束を見せました。
そして次の時代(シルル紀)には節足動物(ウミサソリ)(下図)やサンゴ(下図)が繁栄します。
全球凍結や大量絶滅などの過酷な環境変化の後には「大適応放散(だいてきおうほうさん)(adaptive radiation)」というものが起きて、生物が生き残るための適応性を増大させるといわれています。
適応放散という現象は、単一の先祖が多様なニッチ(生態的地位・空白)に適応して行くことで、それぞれが別の種に分かれていったことによるものと考えられています。一般に大きくニッチが生じるのは何らかの理由で大規模な攪乱を受けた場合であるとされています。
具体的には三畳紀末の大量絶滅で空いた偽鰐類のニッチを恐竜が、白亜紀末の大量絶滅で空いた恐竜のニッチを哺乳類が埋めたのでした。
大量絶滅については、当ブログ『生物 大量絶絶滅』をご覧ください
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次回は 第13回「節足動物の上陸」
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(担当B)








