子どもにステロイドを使うべきか
今回は医師の書いた本を参考に
ブログ記事にしていきます。
が、アトピーで子どもを対象として
ステロイドによる治療中心に書かれた本は
それほど多くないのです。
「子どもの免疫力を上げて治す」
という観点を中心に展開している本は
それなりにあるのですが
ステロイドを治療の中心として書かれた本は
少ないです。
アマゾン本で『子供アトピー』で
検索をかけると
以下の2冊が上位に上がってきました。
正しく知ろう 子どものアトピー性皮膚炎/朝日出版社
赤ちゃん・子どものアトピー治療―ステロイドにNO!を/佐藤 健二
2冊ともステロイドのことを論じていますが
上の本は
「正しく」とあるということは標準治療を薦める
ステロイドをキチンと使って治そう派です。
親には読みやすい文字数や挿絵
柔らかい文章表現で
本としてはとっつきやすいですが
ステロイドの副作用のことは
あまり書かれていないタイプの本でした。
内容は、「とにかく標準治療の本」です。
それがすべての説明かな~(笑)
>>『”標準”治療という啓蒙』
一方、対極にあるのが
表紙からもわかる赤い方の本。
タイトルからもNO!入っているし
ステロイド否定派です。
それも完全否定!
子どもの治療という内容だし
表紙にも絵が載ってるし
お母さんにとって読みやすい感じかな~と
おもいきや!
もうね、文字ぎっしりの本です。
多分読書苦手な人にはつらいレベル。
さらに内容も優しい表現というわけではないです。
こちらの著者の佐藤先生はご夫婦で
ステロイド使わない治療をされている先生で
脱ステロイド、脱保湿を提唱しています。
アトピーの世界に入った人は
どこかで聞いたこともあるかもしれない
【脱保湿】の提唱者です。
アトピー症例写真付き、ステロイドの副作用詳細
脱ステの方法等々しっかり文字で書き込まれた本です。
で、自身の治療院のデータから
以下の様な結果を出されています。
佐藤小児科での11年半にわたる調査で
0歳の乳児の顔に出る湿疹について調べたもの。
ステロイドを使用したことのある患者129人と
ステ未使用の患者312人の2群に分け
ともにステロイドを使用せずに治療開始。
その結果、顔の湿疹が消失する期間は平均で
ステロイド使用群6.4ヶ月
ステロイド不使用群で4.8ヶ月。
又一度治ったあとの再発率も
ステ使用群で未使用群の3倍近く。
こういったことからも
ステロイド使わずとも治るケースがあるのだから
安易にステロイドを使わず
治療をしていいじゃないかということです。
ステロイド無しの治療を望む親がいても
その受け皿となる病院が現状はほぼなく
ステロイド一辺倒。
しかし薬なしでも治るのだから
ステロイド無しの治療を提供している病院です。
別に全然ステロイド推進派ではない私ですが
一応、この結果に対して言うならば
世の中には当然、ステロイドを使って治った子もいるわけで
そういった子はこの小児科には訪れていないということですよね。
だからそういう子は
こういった調査には加わっていない。
あと、この本で言えるのは
ステロイド、保湿を否定するだけでなく
色々なことを一刀両断しています。
たいていアトピー対策では
免疫とか腸内環境とか
それに伴い食べ物とかがクローズアップされますが
そういうのも意味が無い!と否定しています。
食事制限はいらない間違っている!くらいのスタンスです。
アレルギー陽性だから除去、俗説による除去などに対し
「アトピー性皮膚炎患者のごく一部に、偶然食事アレルギーが合併することがあるだけです」
「もう一つの間違いは、甘いモノや洋食を食べれば、アトピー性皮膚炎が悪化するという俗説がまことしやかに言われていることです。しかし、これは全く根拠がありません。」
とまあ、こんなふうに。
なので、いろんなことをストイックにやり過ぎて
苦しくなっている方が読むには
こういう考えもあるんだとちょっと視野の変更にするにはいいかなと思います。
話を戻しステロイド。
この本の内容通りに
ステロイド無しで行くとしても
アトピーって本当に炎症の度合いが様々だし
乳児湿疹が出始めた頃の子と
色んな所かきむしってジュクジュクダラダラの子でも
必要なケアが違うし
だから、もしステ無しでこの本のとおりにやろうと思っても
情報不足な素人判断で
自分だけで行うのはけっこう厳しいと思います。
この主張をするこの医師のもとで
もしくは脱ステロイドの医師のもとで行わないと
きついんじゃないかな、と思います。
本当にね、ステロイドという観点だけじゃなく
アトピーは黄色ブドウ球菌を始めとして細菌感染とかも
かなり怖いですからね。
ーー
次は、何度もブログにも書いている
深谷先生。
ステロイド依存〈2010〉日本皮膚科学会はアトピー性皮膚炎診療ガイドラインを修正せよ/深谷 元継
深谷先生も元脱ステロイドの先生ですが
著書にも書かれていますが
決してステロイドを全否定しているわけではありません。
その抗炎症作用の優れた効果も評価したうえで
適切に使うことに問題を唱えているわけではありません。
一方できちんと副作用を提示していないことに警鐘を鳴らしている
塗り続けても治らない人も一定数いて
逆に塗り続けたことで重篤なステロイド副作用が起きていることを
ガイドラインに入れるべきという動きをされている方です。
この先生も、ステロイドの効果を評価しているのですが
しかし、小児に限ってはまた別の話としています。
なぜならば、小児という発達段階ならではの影響がある。
1)角化細胞数を減らしてしまう
2)まだ少ないランゲルハンス細胞機能発現を抑えて死滅させてしまう
これらのことから言うと
小児はまだまだ未知数の成長段階だから、
成長とともに治るポテンシャル高い。
【成長】という可能性を阻害するのは避けるべき
ということなんですよね。
まだまだ未熟で、もともと皮膚がすごく薄いから
ステロイドの副作用皮膚萎縮も起きやすいということ
あと、放っておけば成長とともに数ヶ月で治るかもしれないこと
特に脂漏性湿疹だったらとくに確実に治る
それなのに、ステロイドを長期に使って
皮膚萎縮をおこし、そこからさらに皮膚バリア機能低下で
負のスパイラルになるかもしれない。
それだったらステロイド以外で様子を見たほうがいいだろうということです。
またランゲルハンス細胞ですが
これは樹状細胞の一種で、皮膚免疫に関わる
重要なお方です(笑)
この樹状細胞のことは私もマニアックな記事を
書いていますので、ご興味のある方はどうぞ!
>>アトピーは自律神経を整えるといいのか?と、樹状細胞のこと
>>アトピーは免疫力が高い?低い?また樹状細胞(笑)
ーーー
最後に第3者的立場で
アトピー・アレルギー性疾患がある患者とその家族を支援する
NPO法人 アトピッ子地球の子ネットワークの本。
アトピー・アレルギー克服応援ブック―必ず道が見つかるアドバイス/合同出版
ステロイドを処方する医者の立場ではなく
処方された患者のその後を見ている立場とも言えます。
全国から寄せられる相談に答えている組織が
以下のようにまとめられています。
ネットワークに寄せられる相談の内
半数近くは乳幼児期の母。
4分の1が就学児童生徒(食物アレルギーとアトピー関連)
残り4分の1が思春期以降
成人の8割近くがステロイドの連用による
副作用や突然使用中止のリバウンドに苦しんでいる。
’それらの現状をふまえて
小児期のステロイド外用剤の塗布指導を振り返ってみると
炎症をすばやく抑えるというステロイド外用剤の使用を
第一選択とした治療方針の決定のしかたは
はたして妥当なものであるのかどうか
臨床の現場の議論が待たれるものだろうと
私たちは感じています’
さらに
”医療従事者でもない私たちが
あえてその立場を超えてこのようなことを発言せざるを得ない背景には
①ステロイド外用剤の連用によって症状が重篤化したり
②長期連用が10年以上続いていながら長期連用に関する医師の指導がない
③使用中止によるリバウンドを経験する乳幼児などの相談が
窓口解説して以来、未だに後を絶たないという現状があるからです。”
というのが、まあ実際に病院の外の
社会一般でのアトピーの実情を
表しているのかな、と思います。
お医者さんは病院に来た時しか知らないからね。
その後来なくなってからのことを本当には知らない。
ということですが。
次に、使うか使わないかゼロか百かではなく
【適宜使う】という立場の本を紹介しますね。
あら、思いの外長くなってるわ(笑)
つづく
『乳児の湿疹肌荒れが病院行かずに治った実例写真』
5月募集中の講座
・5月17日(火)ベビーマッサージ講座
・5月26日(木)卵子快適お灸教室
・5月31日(火)VBAC茶話会
販売中のテキスト
逆子の方はぜひお読み下さい!
これまでのアトピー記事
・赤ちゃん返り症状?上の子の皮膚トラブル
・子供のアトピー症状、原因は?食事?
・矢山クリニック流れやまのうち小児科へ
・アトピー治療方法、漢方薬で完治する?
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