「センター」という概念がもし上達を邪魔をするのであれば..『片目になって神の国に入る方がよい』 | 気功師から見たバレエとヒーリングのコツ~「まといのば」ブログ

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*2013年9月3日のアメンバー記事をアメンバー解除しました(2017/08/09)

最近、身体と向き合う講座が多くなりました。

「まといのば」としても蒙が啓けます。スコトーマというか盲点が外れます。

最近は講座では過激なようですが、「センター」や「脱力」という概念はもうやめようと言っています。

センターや脱力という概念がきわめて大事なことは当然なのですが、誤解が多すぎ、かつ「分かった気になる」ことが多すぎるので、「まといのば」では捨てたいなと思っている概念です。

良く言えばアップデートということです。

端的に言えば、「センター」というと正中線としか考えずその短絡さゆえに、「真っ直ぐだけでは硬直して動けません」などと言う発言は多く聞かれます。

センターというのは単なる情報でしかありません。情報というと曖昧です。概念です。ですから、環境センターと言って、壁のヘリをなぞることで、自分の中にセンターが立ち上がるのです。定規をなぞってもセンターは立ち上がります。なぜコピーされるかと言えば、しょせん真っ直ぐなものという「概念」以上のなにものでもないからです。

センターや軸というバレエにおいて重要な概念を理解するときに、直立不動の身体を想定するからおかしなことになります。軍隊調の直立不動です。

センターや軸を理解するときに、最初にはじめるべきは重力の理解であり、重心線の理解です。
そしてベクトルという概念を理解します。すべての細胞には質点が想定されます(質点というのは物理学の概念ですが、そんなものは存在しません。ただの数学的な定義です。質点を真面目に考えたら、それは質量のすべてが一点に凝縮されているのですから、定義上、ブラックホールです。特異点です。部分がなく、大きさがないものが点ですので)。
重力は地球や太陽しか持っていないという不思議な信仰を持つ方もいますが、ニュートンは万有引力と言っています。すべてのものが持っている引く力と書いて万有引力です。
質量のある物質であれば(無い物質という意味がよくわかりませんが、光は静止質量が0なだけで、運動量は持ちます。ですから重力の影響は受けます)、引力を持ちます。
すなわち、自分の身体と、目の前の携帯電話は引き合っています。
ただ真下にある(ある場合は)地球の万有引力が大きいので(引く力は質量に比例するので)、自分と携帯電話の引力は無視出来るほど小さいというだけです。

身体にあるすべての細胞は地球と綱引きをしています。
すべての細胞の質点から、重心線を描くことができます。ベクトルとして(その長さは細胞の質量に比例します)。
ベクトルは加算できますので、すべての細胞の質点のベクトルの和が、重心線として記載できます。

その重心線がプリミティブなセンターです。

原始的な最初のセンターであり、軸の概念の基本です。

ですから、どんな姿勢をしようが、逆立ちしようが、寝てようが、関係なく、重心線は存在します。

直立不動しないとセンターが立ち上がらないわけではありません。センターは神と同じくいつも我々とともにあります(神は冗談です)。
もし重心線がなければ(重力がなければ)、我々は吹っ飛んでいきます。遠心力のおかげで宇宙の果てまでたびに出れます(もちろん遠心力というのは見かけの力であり、たかだか慣性力のことでしかありませんが)。

その点の誤解があると、センターは分かりません。

センターという分かったような分からないような、誤解が根深い概念を使うのであれば、重力と垂直抗力という普通の大人の言葉を使ったほうがいいのかなと最近は思っています。

センターや脱力というのはもっとも重要な概念として、「まといのば」でも提唱してきましたが、しかし概念は概念です。アプリオリに正しいわけではなく、それが機能する限りは使いますし、利得より損失が大きいのであれば、破棄するのは厭いません。

(引用開始)
もし、あなたの片目が罪を犯させるなら、それを抜き出しなさい。両眼がそろったままで地獄に投げ入れられるよりは、片目になって神の国に入る方がよい。(マルコ9:47)
(引用終了)