正しく言葉(数式)を読み、理解すること。
今回苫米地博士が認知戦を取り扱いながらご自身の理論を数式として出してくださったのはとても助かりました。誰かの「イメージ」や「書いてないけど思ったこと」よりも、本人の作る理論の正確な理解がしたいから。スライド:https://tomabechi.jp/TomabechiSlidesSCJA20260422.pdf論文:https://tomabechi.jp/TomabechiNDUpaperJApublic.pdf論文の「潜在ポテンシャル統⼀理論:認知ホメオスタシスと認知戦— 物理・社会・AIシステムにおける認知制御の数理基盤に向けて —」はとても勉強になりました。冒頭はホルムズ海峡を議題として、現代における戦争における作戦は物理系と認知系を単⼀の統合された領域として⼀体的にモデル化・制御する統⼀的枠組みを必要とすることが示されています。これは現代戦争における根本的な変容を⽰している:物理的戦争と認知戦争はもはや分離可能な領域ではなく、作戦上の意思決定は物理的⾏動と認知的効果を同時に考慮しなければならず、戦略的成果は物理システムと集団的認知との相互作⽤から⽣まれる。したがって現代の作戦は、物理系と認知系を単⼀の統合された領域として⼀体的にモデル化・制御する統⼀的枠組みを必要とする。そのような統合なくしては、意思決定は断⽚化し、内部整合性を失い、ますます予測不能になる。そのために必要となるのが現代の帰納的な人工知能ではなく物理領域と認知領域をシステムダイナミクスのレベルで統合できる演繹的数理基盤。単なるデータ駆動型最適化ではなく、物理領域と認知領域をシステムダイナミクスのレベルで統合できる演繹的数理基盤であるそしてこう続きます。そのような基盤は、正当性・健全性・頑健性を満たさなければならず、形式的数理証明によって担保される必要がある。正当性・健全性・頑健性を満たしていない基盤の上で作戦を立てるのは確かに怖い。形式的数理証明をすることによって、正当性・健全性・頑健性を担保したのですね。今回の論文は元々、そのような基盤を提供することにあるそうです。本論⽂の⽬的は、そのような基盤を提供することにある。論文なので最初に目的が書かれていてとてもわかりやすいです。次から聞き慣れない単語が出てきます。物理・認知・社会のダイナミクスを統合する統⼀的数理枠組みを導⼊し、Lyapunov型収束解析とLaSalle型議論によってその妥当性を確⽴する。下記からは調べつつ。Lyapunov型収束解析(リアプノフ型収束解析)とは、「あるスカラー量がステップごとに単調に減少することを示すことで、アルゴリズムや力学系が望ましい点に収束することを証明する」手法のことです。ロシアの数学者リャプノフさんが作ったから、リャプノフ型というらしい。なぜ「型」なのか「Lyapunov型」と呼ぶときは、厳密な意味のLyapunov安定性定理そのものではなく、その精神を受け継いだ「単調減少量を一つ見つけて押し切る」という証明スタイル全般を指していることが多いです。最適化・機械学習の論文で “Lyapunov-type analysis” / “Lyapunov function argument” と書かれていたら、だいたいこの意味です。ここで私の生成AIから出てきたのが下記の言葉。1. 古典的Lyapunov安定性定理(連続時間・自励系)2. 線形系: Lyapunovの方程式3. LaSalleの不変原理制御系の文脈では、 「エネルギー的に減少する量 VV V を構成 → V˙\dot{V} V˙ の符号で安定性・収束性・収束率を導く」という流れが、線形/非線形・確定/適応・連続/離散を問わず通底する哲学になっています。今日はここまで。形式的数理証明を正しく理解する。ここからはじめよう。