昨年の年の暮れから個人的キャンペーンとして、私の時刻表コレクションを元にスキー列車の歴史を、実物の時刻表とあわせて、紐解いています。

 

このシリーズの現在地確認です。

【1】1970年代 ○○銀嶺号から○○スキー号への移行期

【2】1980年代 ○○スキー号からシュプール号への移行期

【3】1990年代 シュプール号をはじめとした各地のスキー列車

1章 1年目(1985〜86)

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7章 8年目(1992〜93)

8章 9年目(1993〜94)

4】2000年代以降 シュプール号の終焉

【5】番外編 

今回は第8章、シュプール号9年目(1993年〜94年)シーズンについてまとめます。

 

 

  ’93〜’94シーズンに追加されたシュプール号

 

このシーズンでは2種類のシュプール号が追加されています。

シュプール草津・万座号

JR東日本による上越エリア向けのシュプール号のひとつとして新たに登場しました。使用車両は新前橋電車区の185系200番台6連という仕様。運転区間は東海道本線の大船から上越線を経由し、吾妻線の万座・鹿沢口まで運行されました。また特徴として大船〜新前橋間は行き帰りともシュプール上越3・2号と併結されましたが、この当時シュプール上越3・2号は田町電車区の185系で運用されており、田町区と新前橋区の185系が併結される運用はこれがはじめてだったようです。
運行経路ですが、行きを例にすると、シュプール上越3号と大船駅を出発し、戸塚、横浜、川崎、品川とこまめに停車、その後山手貨物線にはいって、新宿、池袋、赤羽、大宮と停車、その後分割のための運転停車として新前橋に停車、客扱いは長野原草津口からで、その後終点、万座・鹿沢口に到着します。
 

※時刻詳細は列車名をクリック!別ページでまとめています。

 

 

シュプール立山号

JR西日本による新たなシュプール号が登場しました。大阪から立山間で行きのみ設定された夜行シュプール号です。使用車両は金沢総合車両所の485系3両(スーパー雷鳥付属編成)だったようです。短編成の理由は富山以降に乗り入れる富山地方鉄道側の制約によるもの。また、シュプール立山は、この頃夏場に運転されていた「リゾート立山号」の冬期版として誕生したと思われますので、運転実績はあるといえばある、ということですね。
さて、運行経路ですが、大阪を出た後、新大阪、京都、大津、米原と琵琶湖湖東方面のスキー客も広い、その後は運転停車で敦賀、金沢に停車するものの、富山までは客扱いなし。富山以降立山までは普通列車となっていたようです(地鉄内の詳細ダイヤは調査中)。
 
下記はスーパー雷鳥号ですが、シュプール立山に仕様された「付属編成」です。

JR West 485 superraicho 3

spaceaero2, CC BY-SA 3.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0>, via Wikimedia Commons
 

※時刻詳細は列車名をクリック!別ページでまとめています。

 

 

 

  ’93〜’94シーズンでみかけなくなった(前シーズンまで存在した)シュプール号

 

 

シュプール信州号

1990〜91年シーズンから3シーズン運行された妙高・志賀号と白馬・栂池号の補完的役割の列車でしたが、’93〜’94シーズンでは同じダイヤで妙高・志賀13号という名称に変わり、信州号の名称が消滅しています。
ちなみに、のちに1999年〜2000年に1シーズンのみ「復活」しますが、それは追って。
 
1989〜90年シーズンから4シーズン運行されて、この’93〜’94シーズン以降は運行が取りやめられています。
 

 

  各シュプール号のダイヤの動き(前シーズン【’92〜’93】との比較を中心に)

 

シュプール蔵王号シュプール猪苗代

シュプール蔵王号は、昨シーズン(’92〜’93)が横浜発「行き」のみの設定でしたが、このシーズンから往復の設定に戻ります。行きが品川始発、帰りは上野終着。使用車両は従来の青森運転所の583系6連となります。

 

シュプール猪苗代は、勝田電車区の485系7連を使った運用が続いています。ダイヤについては行きはほぼ昨年踏襲、帰りは始発の会津若松発時刻が昨シーズン(’92〜’93)よりも20分ほど繰り上げ、以降大宮、赤羽、上野の到着時刻は1時間以上早く到着しています。これは昨シーズンまであった途中駅(運転停車の宇都宮、須賀川、弁当販売の郡山、黒磯)での時間調整がなくなった、もしくは短くなった影響と思われます。

 

なお猪苗代エリアですが、1993年に磐越自動車道猪苗代ICが開業し、多数のスキー場が開設されたという時代背景も挙げておきます。

 

※運転時刻の詳細は、列車名をクリックした先にまとめております。

 

 

シュプールニセコ

ダイヤは、前シーズンとほぼ変わらず。使用車両も引き続き尾久客車区24系4連と、青森運転所のカニ24、またはマニ24 1両が連結され、5連で運行されていたようです。

 

※運転時刻の詳細は、列車名をクリックした先にまとめております。

 

 

シュプール上越号

上越号のダイヤ自体は、前シーズン(’92〜’93)とほぼ変わらず。車両について、1・4号が青森運転所の583系9連、3・2号は田町電車区の185系使用は変わらずですが、編成両数が前シーズンの7両編成からグリーン車1両が抜かれ6連で運用されたようです。これは今シーズン登場した「シュプール草津・万座号」と新前橋〜大船間で併結する(2列車で185系12連)ダイヤが影響しているようです。なお、上越号、草津・万座号ともに新前橋には運転停車して解結作業が行われています。

 

※運転時刻の詳細は、列車名をクリックした先にまとめております。

 

 

シュプール信越号シュプールレインボー信越号

※運転時刻の詳細は、列車名をクリックした先にまとめております。
シュプール信越号については前シーズンから細かな変更(号数の組み換え含む)が多数発生しています。
【始終着】前シーズン設定されていた行きの5号の高田行きは、妙高高原行きに変更。また野沢号と併結する6号は、前シーズンは妙高高原始発、かつ長野駅で1時間強の「待ち」があったものが、今シーズンは始発駅を長野駅とし、妙高高原からのアクセスのためシュプールリレー信越6号という普通列車が、信州6号利用客に設定されました。
【時刻繰り上げ】行きのみ繰り上げ。1号の出発時刻が前シーズンよりも20分ほど繰り上げ
【使用車両】1号、3号、2号、4号が長野総合車両所489系、または189系の9連のようです。5号、6号は14系客車(座席車)となっています。
 
シュプールレインボー信越号は、前シーズンのダイヤを踏襲して運行されています。

 

シュプール白馬号

行きの1号の始発の千葉駅発時刻が30分程度繰り下げさられています。帰りは、前シーズンまで4号=横浜行き、6号=千葉行きだったのが、4号が千葉行、6号が横浜行きと、組み換えが発生しました。またこの横浜行については、始発駅が白馬駅に変更となり、あわせて発車時刻が1時間程度繰り下げられています。この組み換えに関連して使用車両の変更ですが、従来横浜発着には田町電車区185系7連が使用されていましたが、このシーズンでは3号が松本運転所の183系9連に変更され、185系使用は6号のみとなりました。
1,2号 幕張電車区183系9連
3号 松本運転所183系9連
5,4号 幕張電車区183系6連、または9連
6号 田町電車区185系7連
※運転時刻の詳細は、列車名をクリックした先にまとめております。
 

 

シュプールユーロ赤倉・志賀シュプールリゾート赤倉・志賀号

ともに、ダイヤ、使用車両ともに前シーズンをほぼ踏襲して運行されたようです。

※シュプールリゾート→DC列車「リゾートライナー」、シュプールユーロ→PCB列車「ユーロライナー」

ちなみに、1990年〜91年シーズンから年末年始の「ユーロ赤倉・志賀号」の代打役だった「シュプールリゾート〜」は、「カートレインユーロ名古屋号」の運転がこのシーズンまでとなり、次シーズンの1994〜95年には消滅しています。

※運転時刻の詳細は、列車名をクリックした先にまとめております。

 

 

シュプール栂池・八方号

運行ダイヤ自体は概ね前シーズン踏襲ですが、

運行曜日について、【前シーズン】行き「木曜、金曜、土曜」、帰り「金曜、土曜、休日」から、【今シーズン】行き「金曜、土曜」、帰り「土曜、休日」と1週あたりの運転本数が減少しています。使用車両も神領電車区381系6連からは変更はありません。

※運転時刻の詳細は、列車名をクリックした先にまとめております。

 

 

シュプール苗場・湯沢号

兄弟的な位置づけで紙面に掲載されていた「シュプール日本海蔵王号」は今シーズンから運転取りやめになりましたが、「苗場・湯沢号」は、かつての「日本海蔵王号」の行きのスジを使って運転されてました。その結果、前シーズンまで行われていた「シュプール白馬・栂池号」との併結運転も解消され、神戸〜越後湯沢間を終始単独運行されました。使用車両も前シーズンと同様、向日町運転所の14系15型寝台車5連でした。

※運転時刻の詳細は、列車名をクリックした先にまとめております。
 
 

シュプール妙高・志賀号

見た目で大きな変更として、号数が「間引かれて」いますね。その理由として信越本線乗り入れできる「ダイヤ制約」が挙げられます。運行本数を増やせないなら、1本の編成両数を増やせ!ということで、本来なら別々に運行するべき485系と583系を「併結」運転して、信越本線のダイヤ構成の困難と、運転要員確保を解決しています。それが3号・4号の14連という長大編成です。また、前シーズンまで設定されたシュプール信州号、ならびに「ダイヤ制約」の影響で信越本線に乗り入れが叶わなかった分が11号〜14号という形で設定されています。
また、このシーズンからJR東日本青森運転所の583系9連1本+増結車両も「借り入れ」を行ったようです。JR西日本も583系を所有していたのですが、団体臨時列車が多数設定された影響で本数が不足したための特別な事情があったようです。
その他細かい仕様は下記の通りです。
 
1号・6号 西明石→黒姫間 向日町583系12連
3号・4号 姫路〜長野間(米原経由) 向日町583系8連(または7連)+向日町485系6連(または7連)
5号・2号 神戸〜黒姫間 宮原客車区14系客車(座席車)12連
11号・12号 姫路→直江津間 金沢運転所(7両)・向日町運転所(2両)の489系9連
13号・14号 神戸〜直江津間 583系10連または12連か、向日町運転所14系15型7連
※7号、9号、8号、10号は紙面上は欠番とし、11号から14号で整理されています。
 
※運転時刻の詳細は、列車名をクリックした先にまとめております。
 
 

シュプール白馬・栂池号

前シーズン(’92〜’93)まで和歌山発着が存在していましたが、関西空港線の開業を控えて設定がなくなっています。その他細かい編成、ダイヤ調整が入っていますが詳細は下記の通り。

1号 神戸→南小谷間 宮原客車区14系客車6連(リゾート&シュプール用改造車)。

3号・8号 神戸→白馬間(米原経由) 宮原客車区14系客車6連(リゾート&シュプール用改造車)。

5号・11号・2号・10号 神戸〜南小谷間(糸魚川〜南小谷は普通列車) 京都総合運転所キハ181系7連。

7号・6号 姫路→白馬間 運転日によって、14系寝台客車6連、ジョイフルトレイン(サロンカーなにわ)、その他当時の運転情報(鉄道ダイヤ情報)からキロ65「ゆぅトピア」の間に急行たかやま用キロ28型6000番台を挟んだ3両編成だと推察します。

9号・4号 岡山または姫路〜南小谷間(糸魚川〜南小谷は普通列車) エーデル型(キハ65)6連

12号 白馬→神戸間 宮原客車区14系客車6連(リゾート&シュプール用改造車)。

※運転時刻の詳細は、列車名をクリックした先にまとめております。

 

シュプール大山号

前シーズンと概ね同じダイヤ。使用車両も引き続き熊本運転所の12系3連+24系3連の6連という編成から変更なしのようです。

※運転時刻の詳細は、列車名をクリックした先にまとめております。

 

 

今回は、以上です。

 

次回は、9章 10年目(1994〜95)のシュプール号について。首都圏発のシュプール号が誕生して10周年を迎えるシーズンの運行概況をまとめます。

 

参考資料 

JTB時刻表1993年12月号より

鉄道ダイヤ情報 1995年1月号(No.129)、1996年1月号(No.141)、1998年1月号(No.165)

参考サイト  http://gingaexp.web.fc2.com/jr/spur/spur_1.html

https://macchayasan.blog.fc2.com/blog-entry-1.html

※車両情報を中心に参考にさせていただきました。

国鉄185系電車(Wikipedia)

画像 485系スーパー雷鳥付属編成 spaceaero2, CC BY-SA 3.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0>, via Wikimedia Commons

カバー画像 Oleksandr PyrohovによるPixabayからの画像