シュプール号名鑑と銘打って、意外にも情報の少ないシュプール号各列車のダイヤや使用車両を可能な限り追ってみたいと思います。
第12回目は、前回のシュプールユーロ赤倉・志賀号同様、JR東海が運行していたシュプールつがいけ(栂池・八方)号を取り上げます。
ユーロ赤倉・志賀号と比べると、個人の印象として「のっぺり」した感じだったのですが、一旦調べてみると、阪神大震災の救済列車として活躍していた時代もあった、これまた興味深い歴史を有している列車です。
シュプールつがいけ(栂池・八方)号
運転された年(シーズン)
シュプールつがいけ号 1987〜89年 (3シーズン)
シュプール栂池・八方号 1990〜2001年 (12シーズン)
※ちなみに、列車名の栂池(つがいけ)、八方はどちらもスキー場の集中するエリアであるのですが、栂池高原、八方池、または八方尾根という名称で有名なようです。
年ごとの運転概要
1987 | つがいけ号 名古屋〜信濃森上間 1往復 ※弁当販売駅の停車駅:不明(調査中) |
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1988 | つがいけ号 名古屋〜信濃森上間 1往復 ※弁当販売駅の停車駅:かえり 松本
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1989 | つがいけ号 名古屋〜信濃森上間 1往復 ※弁当販売駅の停車駅:かえり 松本(〜3/10)、塩尻(3/11〜) |
1990 | 栂池・八方号 名古屋〜信濃森上間 1往復 ※弁当販売駅の停車駅:かえり 松本、塩尻
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1991 | 栂池・八方号 名古屋〜信濃森上間 1往復 ※弁当販売駅の停車駅:かえり 松本、塩尻
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1992 | 栂池・八方号 名古屋〜信濃森上間 1往復 ※弁当販売駅の停車駅:かえり 塩尻 |
1993 | 栂池・八方号 名古屋〜信濃森上間 1往復 ※弁当販売駅の停車駅:かえり 塩尻 |
1994 | 栂池・八方号 名古屋〜信濃森上間 1往復 ※弁当販売駅の停車駅:なし
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1995 | 栂池・八方号 大垣〜信濃森上間 1往復 ※弁当販売駅の停車駅:かえり 塩尻
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1996 | 栂池・八方号 神戸〜信濃森上間 1往復 ※弁当販売駅の停車駅:かえり 塩尻
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1997 | 栂池・八方号 神戸〜南小谷間 1往復 ※弁当販売駅の停車駅:かえり 塩尻
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1998 | 栂池・八方号 大垣〜南小谷間 1往復 ※弁当販売駅の停車駅:かえり 塩尻
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1999 | 栂池・八方号 大垣〜南小谷間 1往復 ※弁当販売駅の停車駅:かえり 塩尻 |
2000 | 栂池・八方号 名古屋→南小谷間 0.5往復
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2001 | 栂池・八方号 名古屋→南小谷間 0.5往復 |
※女性席の設定の記事を’90〜’94の紙面で確認しましたが、それ以外のシーズンで設定があったのかは不明です。そのため、年表内に記載はひかえました。
使用車両
381系特急形電車
:神領電車区6連(’87〜’99)、4連(’00、’01)
基本編成が6連のシーズンであっても、運転日によっては4連での計画があったことも付記しておきます(すくなくとも’89は4連の運転計画を確認)。
神領電車区所属の381系について、1987年当時、L特急しなの号の基本編成は9連、閑散期に2両減車で7連でした。しかし、あえて更に1両減車して6連にしたのは信濃森上駅到着後の信濃大町駅での滞留のため。大糸線は、ローカル線と似つかわしくないほどダイヤ設定が困難なシーズンに差し掛かっていました(松本付近の列車増発、早朝の排雪列車のスジ設定とその後の始発列車設定、シュプール白馬号の滞留など)。その難題を攻略するための結論として、信濃大町駅の待避となり、待避線収容能力にあわせて、1両減車の6連で対応しています。
なお、1988年シーズンも変わらず6連対応でしたが、しなの号の閑散期が6連になったため、つがいけ用の減車対応は不要になりました。
また、当時の神領電車区の381系編成には「パノラマグリーン車」(クロ381)が組み込まれていましたね。動画を残してくださった方がおりましたので、貼り付けておきます。
運転ダイヤ(各年時刻表より)
おおきく3つのシーズンにわけてまとめました(運転開始〜’95、’96・97(JR西日本救済)、’98〜ラスト)。シーズン通じて共通していたのは中京圏〜白馬エリアを週末のみ運行されたことと、ユーロ赤倉号にはあった「年またがり」の運行は一切行っていない点です。これは年末に急行つがいけ号が同じスジで運行されていたことが影響しています。
’87〜’95
過年度の変化として、
【ゆき】名古屋発時刻が運行開始当初から1時間程度繰り上げされているが特筆点です。その分岐点になっている’90〜’91のダイヤを見ると、追加された途中停車駅の利用率などが影響していると推察しました。
【かえり】初年度のみ、現地を18:00発となっていましたが、帰着時間が遅すぎたのか、2年目から昼間出発と、大幅に繰り上げされています。
【ゆき】
【かえり】
’96〜’97(JR西日本救済対応)
大糸線北部の不通が生じたため、糸魚川からの入線ができないシュプール号の救済として、JR東海は「栂池・八方号」を延長運転しました。JR西日本エリアにJR東海車が入線することは大阪発着のしなの号がまだ存在していた時代とはいえ、注目された列車でした。神戸発着にあたっては、西明石の西隣、大久保駅まで一旦送り込みされ、そこから折返して神戸に入るという運転が行われています。
あと、救済ダイヤにあたって、神戸→石山(時刻表上では大津)間で一部日程で運転時刻が15分程度繰り上げされました。その理由は、この救済便が、シュプール苗場・湯沢号のスジを利用して設定されていたことに由来しています。そのため「栂池・八方号」と「苗場・湯沢号」の両方が運転される日があった際、「栂池・八方号」が繰り上げ出発することでかぶりを解消していました。
このシーズンは、JR西日本乗り入れに注目されがちですが、’97から南小谷まで延伸運転を果たしていることも触れておきます。
【ゆき】
【かえり】
’98〜’01
JR西日本救済の役目を終えたあとは、従来のJR東海エリアからの発着に戻りました。
【ゆき】
【かえり】
本日は以上です。
過去のシュプール号はじめ、日本のスキー列車の歴史をまとめた一連のブログはこちらからご覧になれます。あわせてよろしくお願いいたします。
参考資料 1987年〜2001年のJR時刻表、交通公社時刻表、JTB時刻表、鉄道ダイヤ情報(シュプール号運転情報)