シュプール号名鑑と銘打って、意外にも情報の少ないシュプール号各列車のダイヤや使用車両を可能な限り追ってみたいと思います。

 

第6回目は「シュプールニセコ号」を取り上げます。首都圏を経由しない珍しいシュプール号として忘れてはならない存在がこの列車です。

ネットを検索してでてきた、シュプールニセコ号の走行シーン。アップ主様、ありがとうございます!

 

仙台を中心に東北各県の主要都市と、北海道のニセコエリアを結ぶ、かつてないルートで運行されています。今となれば夢のような、函館本線のいわゆる「山線」を経由する寝台列車でした。当時は青函トンネルに在来線列車が往来しており、寝台特急北斗星号はじめ、いわゆるブルートレインも希少になりつつも、まだまだ健在だった時期にあって、シュプールニセコ号は、運行コースなど臨時列車ながら個性の光る列車でした。

 

  運転された年(シーズン) 

1990年〜1996年(7シーズン)

 

  年ごとの運転概要 

1990  郡山〜札幌間 1往復
1991

 仙台〜札幌間 1往復

  • 始発駅が郡山から仙台に変更
1992  仙台〜札幌間 1往復
1993  仙台〜札幌間 1往復
1994  仙台〜札幌間 1往復
1995  仙台〜札幌間 1往復
  • 停車駅の変更 八戸、青森が往復ともに通過
1996  仙台〜札幌間 1往復

 

 

  使用車両

 

24系24型、または25型寝台客車

 :尾久客車区7連(’90のみ)、4〜6連(’91〜)

 ※寝台車はすべてのシーズンで客車2段式のB寝台

 ※上記に加え、青森運転所の電源車(カニ24、またはマに24)が充当される

 

牽引機 (鉄道ダイヤ情報1996年情報より)

 郡山〜青森:ED75型(青森東運転区)

 青森〜函館:ED79型、ED76−500番台(青函運転所)

 函館〜札幌:DD51型(函館運転所)

 ※回送ながら、尾久から送り込みの際に、EF65型PF機が担当していた(尾久〜黒磯)

 

函館〜札幌間の牽引機に関して、札幌駅到着後の入庫作業に関連して、変則的な運用がされていたようです。

「鉄道ダイヤ情報1990年2月号」によると、札幌駅到着後の構内機回しが容易にできないため、札幌行の牽引機は函館から小樽がDD51単機ながら、小樽で編成後ろにDD51が補機として連結され、プッシュプル運行されました。札幌駅到着後、編成後ろのDD51が牽引し手稲に回送したようです。

また、手稲から札幌に送り込み時は、ED76型500番台が牽引し、そのまま編成後ろに連結されて、小樽までプッシュプル運行の補機として運行されています。

他年度の運用表をすべて見比べたわけではないのですが、その後1996年の運用表では札幌到着後に苗穂回送になっているのと、編成が電源車込みの5両編成と短くなっていることから、運転開始初期の「一時的な運用」だったと推察します。

 

 

  運転ダイヤ(各年時刻表より)

 

【ゆき】

ニセコエリアをターゲットにしたダイヤ設定がされています。初年度のみ始発駅が福島県ですが、2年目以降は仙台発着となっています。利用実態を把握した結果でしょうか。首都圏からのスキーヤーも仙台まで「やまびこ」に乗って乗り継げば、比較的リーズナブルに北海道スキーが楽しめたはずです。

’95と’96の2シーズンは青森県の八戸、青森は通過となっています。福島県の主要駅同様に利用客が少なかったと思われます。

最後に、列車名に「ニセコ」と冠名されている割に、ニセコ駅ではなく、ニセコを過ぎた倶知安駅を最寄り駅として停車していた件。ニセコ駅には当時から優等列車は停車していたはずですが、設備面が要因なのでしょうか。

 


 

【かえり】

 

 

過去のシュプール号はじめ、日本のスキー列車の歴史をまとめた一連のブログはこちらからご覧になれます。あわせてよろしくお願いいたします。

 

 

 

参考資料 1986年〜2000年のJR時刻表、交通公社時刻表、JTB時刻表、鉄道ダイヤ情報(シュプール号運転情報)