シュプール号名鑑と銘打って、意外にも情報の少ないシュプール号各列車のダイヤや使用車両を可能な限り追ってみたいと思います。
第8回目は中央東線経由のシュプール号、「シュプール白馬号」とその姉妹列車を取り上げます。首都圏から長野県北部の大糸線エリアに点在するスキー場を結ぶ列車として、シュプール号初年度から活躍しています。同期の「蔵王」「上越」に負けず、この列車も運用車両・区間がバラエティーに富んでいます。
個人的には期間限定ながら185系の大糸線乗り入れや、平塚発、逗子発着など、横須賀線・東海道本線沿線からの運転も存在していたことをしっかりと記録しておきたいと思っております。
なお、シュプール白馬号の兄弟列車として、シュプール白馬山麓号、シュプールゆう白馬号も今回あわせて取り上げます。
シュプール白馬号、〜白馬山麓号、〜ゆう白馬号
運転された年(シーズン)
シュプール白馬号 1986年〜2000年(15シーズン)
シュプール白馬山麓号 1990年(1シーズン)
シュプールゆう白馬号 1993年〜1997年(5シーズン)
年ごとの運転概要
▼下記運転区間で無印は「白馬号」、「山麓」は白馬山麓号、「ゆう」はゆう白馬号を指す
▼逗子・大船・横浜発便の経由線について、特記ない限り、横須賀・品鶴・山手貨物線経由(今の湘南新宿ラインと同じ)。
1986 | 千葉〜信濃森上(1〜4号) 2往復 ※うち1往復は毎日運転 ※弁当販売駅の停車駅情報入手できず |
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1987 | 千葉〜信濃森上(1〜4号) 2往復 ※うち1往復は毎日運転 ※弁当販売駅の停車駅情報入手できず |
1988 | 千葉〜信濃森上(1〜4号) 2往復 ※うち1往復は毎日運転 ※弁当販売のための停車駅:2号 松本、塩尻、4号 松本、塩尻、上諏訪
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1989 | 千葉〜信濃森上(3・2号) 1往復 千葉〜南小谷(5・4号) 1往復 ※毎日運転 新宿〜南小谷(1・6号) 1往復 ※弁当販売のための停車駅:2・4・6号 松本、塩尻、上諏訪 |
1990 | 千葉〜南小谷(1〜4号) 2往復 ※うち1往復は毎日運転 【山麓】逗子〜南小谷間 1往復 ※弁当販売のための停車駅:2・4・山麓号 松本、塩尻
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1991 | 千葉〜南小谷(1〜4号) 2往復 ※うち1往復は毎日運転 大船→南小谷(5号) ゆきのみ(0.5往復) ※弁当販売のための停車駅:2・4号 松本、塩尻 |
1992 | 千葉〜南小谷(1〜5号) 2.5往復 ※うち1往復は毎日運転 南小谷→津田沼(6号) かえりのみ(0.5往復) ※弁当販売のための停車駅:2・4・6号 松本、塩尻 |
1993 | 千葉〜南小谷(1・5・2・6号) 2往復 ※うち1往復は毎日運転 横浜〜南小谷(3・4号) 1往復 【ゆう】平塚→南小谷、南小谷→横浜 あわせて1往復 ※品川・山手貨物線経由 ※弁当販売のための停車駅:2号 松本、塩尻;4・6・ゆう号 松本
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1994 | 千葉〜南小谷(1・5・2・4号) 2往復 ※うち1往復は毎日運転 横浜→南小谷(3号) ゆきのみ(0.5往復) 白馬→横浜(6号) かえりのみ(0.5往復) 【ゆう】品川〜南小谷 1往復 ※山手貨物線経由 ※弁当販売のための停車駅:2・6号 松本、塩尻;4・ゆう号 松本
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1995 | 千葉〜南小谷(1・5・2・4号) 2往復 ※うち1往復は毎日運転 横浜→南小谷(3号) ゆきのみ(0.5往復) 白馬→横浜(6号) かえりのみ(0.5往復) 【ゆう】品川〜南小谷 1往復 ※山手貨物線経由 ※弁当販売のための停車駅:2・4・ゆう号 松本;6号 松本、塩尻 |
1996 | 千葉〜南小谷(1・5・2・4号) 2往復 ※うち1往復は毎日運転 横浜→南小谷(3号) ゆきのみ(0.5往復) 白馬→横浜(6号) かえりのみ(0.5往復) 【ゆう】品川〜南小谷 1往復 ※山手貨物線経由 ※弁当販売のための停車駅:2・4・6・ゆう号 松本 |
1997 | 千葉〜南小谷(1・5・2号) 2往復 ※うち1往復は毎日運転 白馬→横浜(4号) かえりのみ(0.5往復) 【ゆう】品川〜南小谷 1往復 ※山手貨物線経由 ※弁当販売のための停車駅:2・4・ゆう号 松本
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1998 | 千葉〜南小谷(1・2号) 1往復 ※長野オリンピックの会期中を除いた毎日運転 横浜→南小谷(3号) ゆきのみ(0.5往復) 白馬→横浜(4号) かえりのみ(0.5往復) ※弁当販売のための停車駅:2号 塩尻、4号 なし(代わりに白馬〜松本間で車内販売実施) |
1999 | 千葉〜南小谷(1・2号) 1往復 横浜→南小谷(3号) ゆきのみ(0.5往復) ※弁当販売のための停車駅:2号 塩尻
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2000 | 千葉→南小谷(1号) ゆきのみ(0.5往復) 横浜→南小谷(3号) ゆきのみ(0.5往復)※品川・山手貨物線経由
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使用車両
183系電車 ※シュプール白馬号、シュプール白馬山麓号
:幕張電車区6連、8連、9連(’86〜’00)
:松本運転所9連(’94〜’00) ※横浜発着便がメーン、189系となる日もあった
→とかく複雑な運用でした。パターンとしては、おおむね平日6連、週末9連と捉えることができ、その編成両数の増減は、運転日によって変動する「グリーン車あり・なし」にも現れてました。よりマニアックな話ですと、1989年のシュプール白馬3・2号で、シーズン開始時にグリーン車なし9連(6両+3両)というモノクラス編成もありました。需要に合わせた柔軟な運用の結果といえます。
なお、列車種別ごとですと、シュプール白馬山麓号は幕張電車区6連(グリーン車なしのモノクラス)がもっぱら運用に入っていました。
185系200番台電車
:田町電車区7連(’93〜’96)
189系電車
:松本運転所9連(’94〜’00) ※183系の代走となる場合のみ
485系電車 ※シュプールゆう白馬号
:ジョイフルトレインゆう号(’93〜’97)
運転ダイヤ(各年時刻表より)
あらかじめ、下記掲載ダイヤの補足をしておくと、運転日指定で発着時間が変更になっている駅、ならびに区間が小規模ながら多数ありました。特に、ゆき、かえり問わず、八王子以東の首都圏各駅が多いのですが、ここでは主となるダイヤのみ掲載しました。
また、首都圏での運転線について、鉄道ダイヤ情報(’86年冬号)によると、千葉〜錦糸町間は「総武快速線」、錦糸町〜御茶ノ水間は「総武緩行線」、御茶ノ水以降は中央快速線であり、それぞれの線区では平日、休日がそれぞれ設定されていたわけで、線区ごとの時間調整には見えない苦労があったようです。
【ゆき】1986年〜1990年
触れておきたい列車として、1988年2月末に急遽設定された「シュプール白馬81号」という幻の列車の記事を、鉄道ダイヤ情報(1998年1月号の22頁)で発見し、これこそ備忘として残しました。
臨時列車の増発、というなかなかレアな設定です。「幻」としたのは発行された時刻表には記事がないためです。当該月となる1988年2月号のシュプール号の紙面にも書かれていません。駅の告知を見た方や、シュプール白馬号チケットを求める乗客のみが知る列車だったようです。
記事内本文の一部引用から
(1988年)2月の週末には『シュプール白馬81号』が急遽追加運転され、新宿〜南小谷間で運転されている。車両は松本運転所の183系・189系が初登場となり、大糸線内では新たにスジを入れることが困難となり、定期普通列車のスジを代走して一般客扱いを行った
とあります。
【ゆき】1991年〜1995年
【ゆき】1996年〜2000年
【かえり】1986年〜1990年
【かえり】1991年〜1995年
【かえり】1996年〜2000年
過去のシュプール号はじめ、日本のスキー列車の歴史をまとめた一連のブログはこちらからご覧になれます。あわせてよろしくお願いいたします。
参考資料 1986年〜2000年のJR時刻表、交通公社時刻表、JTB時刻表、鉄道ダイヤ情報(シュプール号運転情報)
参考サイト 国鉄185系電車(Wikipedia)