シュプール号名鑑と銘打って、意外にも情報の少ないシュプール号各列車のダイヤや使用車両を可能な限り追ってみたいと思います。
第24回目は、JR西日本のシュプール白馬・栂池(つがいけ)号を取り上げます。
当時JR西日本が一番力を注いでいたシュプール白馬・栂池号は、運転本数、使用列車種類も多く、大変複雑なため、一部構成を変えて、シーズンごとの詳細時刻は「特設ページ」に掲載する形にしたいと思います。
シュプール白馬・栂池号
運転された年(シーズン)
1988〜2002年 (15シーズン)
なお、運転開始当初、列車名がわずかながら異なった時期があります。
88年は、シュプール’88(白馬・栂池)号、89年は、シュプール’89 白馬・栂池号
また、’96、’97の2シーズンにおける大糸線へのシュプール号乗り入れ不可ながら、スキーヤー送客の救援列車、シュプール白馬アルプス号は、別のページで取り上げます。
年ごとの運転概要
★京阪神〜北陸への経由線については、注記がない限り「湖西線」です。
★運転日、停車駅の変遷、運転区間と号数の組み合わせについてコメントを試みましたが、大変複雑になるため断念しました。後項のダイヤ一覧で変遷をまとめておりますので、ご参考ください。
1988 |
西明石 → 南小谷、白馬 → 西明石 あわせて1往復
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1989 |
岡山・姫路・神戸〜南小谷・白馬 ※3・8号は米原経由
- 列車号数は1〜10号
- 京阪神エリアの始発駅が岡山、姫路、神戸に変更される
- 一部列車で、グリーン席 B寝台(3段式)の販売開始
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1990 |
岡山・姫路・神戸〜南小谷・白馬 ※3・10号は米原経由
- 列車号数は1〜12号
- 年末年始に限り、ジョイフルトレイン「ゆうゆうサロン岡山」、「サロンカーなにわ」が隔日で運用に入る(〜’97)
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1991 |
和歌山・岡山・姫路・神戸〜南小谷・白馬 ※3・8号は米原経由
- 列車号数は1〜12号
- 京阪神エリアの始発駅に和歌山が追加される
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1992 |
和歌山・岡山・姫路・神戸〜南小谷・白馬 ※3・8号は米原経由
- 列車号数は1〜13号
- ゆき のみ 神戸→糸魚川間で「シュプール苗場・湯沢」と併結(1号)
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1993 |
和歌山・岡山・姫路・神戸〜南小谷・白馬 ※3・8号は米原経由
- 列車号数は1〜13号
- ゆき、かえりとも 神戸〜糸魚川間で「シュプール苗場・湯沢」と併結(1、10号)
- 和歌山行き(かえり)が、夜行便から同日到着便に変更
- 年末年始限定で運用に入るジョイフルトレインについて、「ゆうゆうサロン岡山」更新改造にともない、「ゆぅトピア+たかやま号専用車」の3連が代行して運用に入る(サロンカーなにわは予定通り)
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1994 |
岡山・姫路・神戸〜南小谷・白馬 ※3・8号は米原経由
- 列車号数は1〜12号
- 京阪神エリアの始発着駅から、和歌山がなくなる
- 年末年始限定で運用に入るジョイフルトレインについて、「ゆうゆうサロン岡山」更新改造にともない、「ゆぅトピア+アストル中間車」の3連が代行して運用に入る(サロンカーなにわは予定通り)
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1995 |
1月17日に阪神淡路大震災が発生。以降、すべての列車が大阪発着となり、一部列車が運休となった。
(下記は時刻表に掲載されていた、震災前のダイヤについて)
姫路・神戸〜南小谷・白馬 ※3・8号は米原経由
- 列車号数は1〜12号
- 京阪神エリアの始発着駅から、岡山がなくなる
- 寝台車の運用が20系から14系に切り替え(引き続き3段式)
- 年末年始限定で運用に入るジョイフルトレインについて、「ゆうゆうサロン岡山」更新改造完了にともない「サロンカーなにわ」との隔日交代での運用に入る
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1996 |
大糸線が1995年7月に発生した災害により信濃大町駅 - 根知駅間不通に。その後開通区間が増えたものの、’96、’97の2シーズンのシュプール号大糸線乗り入れは断念。大幅に削減されたシュプール白馬・栂池号の救援列車として、シュプール白馬アルプス号が姫路〜南小谷間(米原・中央西線経由)で運行(〜’97)
姫路・神戸〜糸魚川 ※湖西線経由のみ(〜’99)
- 列車号数は11〜14号 ※特別対応
- 従来存在した富山〜敦賀間主要駅停車列車はなくなる(〜ラスト)
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1997 |
前シーズンに引き続き、大糸線乗り入れは断念。大幅に削減されたシュプール白馬・栂池号の救援列車として、シュプール白馬アルプス号が姫路〜南小谷間(米原・中央西線経由)で運行(〜’97)
姫路・神戸〜糸魚川
- 列車号数は11〜14号 ※特別対応
- 寝台が3段式から2段式に切り替え。かつ、従来の寝台車のみから、寝台車+座席車の混合編成に変更(〜ラスト)
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1998 |
姫路・神戸〜南小谷・白馬
- 列車号数は1〜6号
- 大糸線乗り入れ再開。なお、従来存在していた大糸線内普通列車となる対応がこのシーズンからなくなっている。
- キハ181系がはじめて白馬発着の運用に入る(姫路〜白馬)
- 長野オリンピック開催期間中は運休(大阪発基準で2月6〜22日)
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1999 |
姫路・神戸〜南小谷・白馬
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2000 |
姫路・神戸〜南小谷・白馬 ※3・4号は米原経由
- 列車号数は1〜6号
- 米原経由列車が復活
- 全列車、湖西線堅田に停車(〜ラスト)
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2001 |
姫路・大阪〜白馬 ※3・2・4号は米原経由
- 列車号数は1〜6号
- 京阪神エリアの始発駅が姫路、大阪に、現地の始発駅は白馬のみに変更される
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2002 |
大阪〜白馬 ※米原経由
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使用車両
シュプール白馬・栂池号は、前述のとおり運転本数とそれを賄うための多様な車両種別の多さがJR西日本シュプール号界隈では有名でしたが、それに輪をかけて運転日や運転区間で編成が異なるなど、調査者泣かせの列車です。そのためか、シーズン毎の編成変遷について、とりわけモデラー(模型鉄)の方々が収集するシュプール号編成情報においては群をぬいてシュプール白馬・栂池号への言及が多いようです。
今回は当時の鉄道ダイヤ情報の運行情報を元に構成していますが、注意書きにあるように、ここでの提示は「基本形」であり、当日の運用をすべて網羅するものではなく、また記載された情報での運行実績の提示ではないことを先に断っておきます。
【ディーゼル列車】 ※以下、編成両数は基本形であり、運転日、シーズンによって増減あり
キハ181系特急型ディーゼル列車
:向日町(京都総合)運転所 7連(グリーン車付き)
キハ65系ディーゼル列車(リゾート&シュプール用)
:向日町(京都総合)運転所 2連(’89)、6連(’90〜ラスト)
キハ65系ディーゼル列車(ゆぅトピア) ※年末年始に運用にはいったゆうゆうサロン岡山の更新改造にともなう代行
- ゆぅトピア+たかやま号キロ28型6000番台の3連(’93)←鉄道ダイヤ情報1998年1月号にて運転実績として記載されていたもの
- ゆぅトピア+ゴールデンエクスプレス・アストルの中間車の3連(’94)
【客車】 ※以下、編成両数は基本形であり、運転日、シーズンによって増減あり
20系特急型客車(B寝台3段式)
:宮原客車区 6連(’89〜’94)
あくまでも基本です。ネット上の情報では下関運転所のホリデーパル編成が入ったこともあるようです。
14系特急型客車(座席車)
:宮原客車区 4連(’88)、6連(’89〜’97)
基本はリゾート改造型(腰高までピンク色)だが、’88は一般色(青)が運用に入っていた可能性あり
14系特急型客車(寝台車含む編成) ※寝台はB寝台のみ、3段式と2段式(’97〜’01)があり
:宮原客車区を中心に、シュプール妙高・志賀号同様にJR西日本管内の各所からかき集めて編成を構成したと推察しますが、詳細はわかっておりません。なお、’97からは座席車+寝台車の編成も誕生しています。
寝台車6連(’95、’96)
座席車4両+寝台車4両=8連(’97) ※糸魚川止まりだったので実現
座席車3両+寝台車3両=6連(’98)
座席車2両(展望車付き)+寝台車4両=6連(’99〜’01)
24系25形特急型客車 ※B寝台2段式
:京都総合車両所 9連(’97のみ) ※糸魚川止まりだったので実現
サロンカーなにわ(14系)、ゆうゆうサロン岡山(12系)
ともに’90〜’97の年末年始のみ。2列車が隔日で運行される形。時刻表上での識別は不可能でした。また、編成両数について、サロンカーなにわが通常は7両固定編成のため、シュプールの運用に入るときは1両減車されました。
なお、ゆうゆうサロン岡山号については、’93〜’94に更新改造が行われた関係で、その代車として、ゆぅトピア+●●が代行で運用に入っています(詳細はディーゼル列車の欄)。
【牽引機】
EF81型 敦賀運転所(のちの福井地域鉄道部敦賀派出所) (京阪神エリア〜糸魚川)
→EF81が不足した時期は、京阪神エリアからDD51が牽引した実績もあるようです。
DD10、またはDE16によるプッシュプル (大糸線内)
運転ダイヤ(各年時刻表より)
【ゆき(〜’93)】、【ゆき(’94〜)】のダイヤ掲載ベージへ。
【かえり(〜’93)】、【かえり(’94〜)】のダイヤ掲載ページへ。
本日は以上です。
過去のシュプール号はじめ、日本のスキー列車の歴史をまとめた一連のブログはこちらからご覧になれます。あわせてよろしくお願いいたします。
参考資料 JTB時刻表、鉄道ダイヤ情報(シュプール号運転情報)