シュプール号名鑑と銘打って、意外にも情報の少ないシュプール号各列車のダイヤや使用車両を可能な限り追ってみたいと思います。

 

 第27回目は、このシリーズ最後となる、JR九州のシュプール大山(だいせん)号を取り上げます。大山とは鳥取県にある名峰であり、この麓に広がるスキー場にアクセスする列車が、京阪神エリアではなく九州エリアから運転されました。

 

先達の皆様はご存知の通り、シュプール大山号の前身として、’88〜’90の3シーズンで「ビッグスキー大山号」という臨時列車が運行されています。こちらは、私のブログで過去に取り上げておりますので下記リンク先もご参考ください。

 

九州からのシュプール号は熊本から運転されていました。当時でも九州島内を走行する客車列車自体も珍しい時代に、快速列車(’91と’92)で、座席車+寝台車の混合編成は撮り鉄としても被写体としてもてはやされたと思いきや、意外にもインターネット上で確認できる写真は数少ないのは残念。冬場、九州の日の出時刻は7時過ぎとなるので、撮影可能だと思われるのは【かえり】の博多以南だったことも影響しているのでしょうか。

 

 

シュプール大山号

 

  運転された年(シーズン) 

1991〜2000年 (10シーズン)

 

 

  年ごとの運転概要 

この列車では、どのシーズンも弁当販売駅の停車駅設定はありませんでした。

1991  (号数なし) 熊本〜米子 1往復
 80・81号 熊本〜米子 1往復 ※座席車のみ
  • このシーズンのみ、大田市、出雲市、松江停車;下関通過(80・81号)
1992  (号数なし) 熊本〜米子 1往復
 80・81号 熊本〜米子 1往復
  • このシーズンのみ、戸畑通過(80・81号)
  • 基本便、80・81号 ともに寝台車連結(〜’94)
1993  (号数なし) 熊本〜米子 1往復
 80・81号 熊本〜米子 1往復
1994  (号数なし) 熊本〜米子 1往復
 80・81号 熊本〜米子 1往復
  • 80・81号の設定(=同日で2本運行)はこのシーズンが最後に
1995  熊本〜米子 1往復
1996  熊本〜米子 1往復
1997  熊本〜米子 1往復
1998  博多〜米子 1往復
  • 運転区間が博多からに短縮される
1999  博多〜米子 1往復
2000  博多〜米子 1往復

 

 

  使用車両

 

【客車】

座席車 12系 熊本運転所川尻派出所(シュプール専用客車)

寝台車 14系15形、24系25形 熊本運転所

基本の組み合わせですが、

  • 座席のみ編成 12系6両(シュプール専用編成)
  • 座席+寝台編成 12系+24系25形 6〜8両

 ※14系寝台車も初期のころは運用に入っていた模様

 

特に「座席+寝台編成」による編成構成両数は、シーズンで異なってきます。わかっている範囲では以下の通りです。

92年 座席車6両+寝台車2両、または座席車4両+寝台車4両 ともに8連

93、94年 座席車5両+寝台車3両 8連

95年 座席車3両+寝台車3両 6連

96〜98年 座席車4両+寝台車3両 7連

99、00年 座席車4両+寝台車2両 6連

※いづれも鉄道ダイヤ情報の運転情報を参照

 

こんな素敵な動画をアップされているチャンネルを見つけました。シュプール大山号の動画ではありませんが、使用されていた「12系シュプール号専用客車」を観察できる動画です。

Youtubeチャンネル 鉄道mellow.こんなのよく残してたねTV より

 

【牽引機】

ED76 熊本〜門司 大分運転所 

EF81 門司〜下関 大分運転所や、JR貨物門司機関区

DD51 下関〜米子 下関運転所 

 

 

  運転ダイヤ(各年時刻表より)

 

【ゆき】1991〜95年

最初の2シーズンは快速、その後急行に格上げされていますが、運転時間が短縮された様子はありません。熊本から下関(一部除く)まで主に快速停車駅でスキーヤーを拾い、大山の最寄り駅となる米子に向かいます。なお、’91シーズンのみ大田市、出雲市、松江の停車が行われていますが、この目的はわかっておりません。

80号は再繁忙期の増発便。運転日は大変少ないものの、一日2本体制で運転されていたという事実はなかなか興味深いところです。

 

 

【ゆき】1996〜2000年

’95シーズンからは80号の設定はなくなり、1日1本体制に変更され、’98シーズンからは始発駅が博多となり、運転区間が短縮されています。

また運転日数も、’98には1月の運転日数が2日、’99はナシとなり、スキー客離れ、またはツアーバスの勃興を感じさせるダイヤになっています。

 

 

【かえり】1991〜95年

【ゆき】同様、最初の2シーズンは快速、その後急行に格上げされていますが、運転時間が短縮された様子はありません。米子発時刻ですが、’91シーズンと’92シーズン以降を比較すると1時間程度繰り下げたダイヤになっています。両方とも下関到着時刻は変わらないので、山陰線内の時間調整が解消された結果なのかと推察します。最後に、81号については再繁忙期の増発便で、’94まで設定されていました。

 

 

【かえり】1996〜2000年

【ゆき】同様、’98シーズンから博多止まりとなり、博多到着時刻も例年より30分繰り上げされたダイヤに変更されています。過密ダイヤを縫った上での熊本到着時刻を加味する必要がなくなったことが影響しているのではないかと推察します。

 

本日は以上です。

 

これで27回にわたってまとめてきたシュプール号シリーズを終わります。スキー関連の多客臨には大変興味深い列車が多いので、また折を見てゲリラ的に取り上げようと思います。

 

過去のシュプール号はじめ、日本のスキー列車の歴史をまとめた一連のブログはこちらからご覧になれます。あわせてよろしくお願いいたします。

 

参考資料 JTB時刻表、鉄道ダイヤ情報(シュプール号運転情報)