しばらくの間「シュプール号名鑑」と銘打って、意外にも情報の少ないシュプール号各列車のダイヤや使用車両を可能な限り追ってみたいと思います。

列車名の微妙な改称も含めると40種類ほどを確認していますので、順次まとめて公開していきたいと思います。

 

第1回目は、シュプール号初期から2000年代初頭まで活躍を続けた「シュプール蔵王号」を取り上げます。なお、下記関連列車は別枠で取り上げるため、この記事では取り上げません。

シュプールレインボー蔵王

シュプールゆう蔵王

 

シュプール蔵王号

 

  運転された年(シーズン) 

1986年〜2000年(15シーズン)

 

  年ごとの運転概要 

1986  横浜〜山形間 1往復 
 ※弁当販売のための停車駅:なし
  • グリーン車は連結されていたが、販売はされず(’86のみ)
1987  横浜〜山形間 1往復
 ※弁当販売のための停車駅は未確認
  • 停車駅の変更 上ノ山が追加される(〜’91)
1988  横浜〜山形間 1往復
  • 弁当販売のための途中停車駅 【かえり】福島、郡山、黒磯の3駅が設定される
1989  横浜〜山形(1・2号)・上野〜山形(3・4号)間 各1往復
  • 上野発着が追加設定
  • 停車駅の変更 池袋が追加される(〜’00)1990
1990  横浜〜山形(3・2号)・上野〜山形(1・4号)間 各1往復
  • 3号でB寝台販売開始
  • 弁当販売のための途中停車駅 4号 黒磯が外れ、福島、郡山の2駅となる
1991  横浜〜山形(1・2号)・上野〜山形(3・4号)間 各1往復
  • 1、2号 仙山線経由に変更
  • 3・4号 3月限定で上野発着(米沢経由、4系客車使用)が運転される。
  • 弁当販売のための途中停車駅 4号で弁当販売停車がなくなる
1992  横浜〜山形間(1・2号) 1往復
  • 上野発着便が運転とりやめ、横浜発着のみに変更
  • この年のみ【かえり】も山形発も夜行便となる。
  • 往復ともB寝台を販売
  • 山形発3/3,7,12で常磐線経由上野行の「迂回運転」実施
  • 弁当販売のための途中停車駅 がなくなる
1993  横浜→山形間(ゆきのみ)
  • 運転ダイヤが変更、横浜発が夜となる
1994  品川→山形(ゆき)、山形→上野(かえり)
  • 首都圏の発着駅が変更。品川発、上野着で1往復を構成
  • この年から毎日運転のとりやめ(詳細は下記時刻表参照)
  • 弁当販売のための途中停車駅 【かえり】:郡山が復活(’94のみ)
1995  品川→山形間(ゆきのみ)
1996  品川→山形間(ゆきのみ)
1997  品川→山形間(ゆきのみ)
  • レディースカー連結(〜ラスト)
1998  品川→山形間(ゆきのみ)
1999  品川→山形間(ゆきのみ)
2000  品川→山形間(ゆきのみ)
  • シュプール蔵王として最後の運転年(翌年はアルペン蔵王号

 

※2001年は「アルペン蔵王号」として運転。2002年以降はシュプール号の運転なし。

 

 

  使用車両

 

583系電車

 :青森運転所9連(〜’93)、6連(’94〜)、12連(運転開始当初の繁忙期)

14系客車

 :尾久客車区(?)(’91の3月一部日程のみ、3・4号)

 ※牽引機不明

 

583系ですが、このシュプール号運転によって、横浜(=東海道本線)、山形(=奥羽本線)への果たすことができたようです。

 

583系9連から6連への減車理由は明確なものはないのですが、鉄道ダイヤ情報No.141の記事によれば、山形到着後の回送ルートが影響している模様。具体的には山形から仙台に回送時に経由する仙山線での列車交換駅のホーム有効長に合わせるためとか。ゆきの時間帯は対向列車がないため影響ないが、日中の回送が発生するための対応とのことです。

 

なお、上記とは異なる変則的な運用だったのが、91年の3・4号。運転日からわかるように「春スキー」向けに3月のみ設定されている珍しいケース。列車番号から電車ではなく、客車が使用されていることがわかる(3号:9405レ、4号:9404レ)。使用された客車については調査中です。

JTB時刻表1991年3月号より

 

    

583系の編成について、運転開始当初1〜2シーズンは最繁忙期12連で運転されており、この運用は上野発着の寝台特急はくつるなどと共通運用だったようです。

(1986年冬の鉄道ダイヤ情報を見ると、年始早々の数日が12連だった模様)

当時の時刻表で特急編成表を覗いてみたところ、通常期583系を使用するゆうづる号、はくつる号は9連ながら、繁忙期12連となる記事もありました。

(コメントいただいた、開放戦隊サカザキホックマン♪さん、情報ありがとうございます!)

 

 

 

  運転ダイヤ(各年時刻表より)

 

1986年〜1990年 福島以北が奥羽本線経由

【ゆき】 ※奇数号

 

 

【かえり】 ※偶数号

 

 


 

1991年〜2000年 東北本線・仙山線経由

山形新幹線改軌工事の影響で福島〜山形間を従来の奥羽本線から東北本線・仙山線経由に変更。

【ゆき】 ※奇数号

【補足】91年3号は変則的に米沢経由

 

【かえり】 ※偶数号

【補足】91年4号は変則的に米沢経由、「弁」は弁当販売のため停車

※山形発3/3,7,12は常磐線経由上野止まり。上野着6:36

 

 

 その他、運転について備忘

横浜発着のシュプール号ですが、時刻表では横浜〜山形となっていながら、実際の運転時刻表では逗子(時期によっては横須賀)〜横浜も回送ではない列車番号が付与された運転があります。どんな目的かは不明ですが、備忘として残しておきます。

鉄道ダイヤ情報1992年1月号から、横浜〜逗子(横須賀)間のみ抜粋して残します。

9816M 逗子22:10 → 大船22:19 →横浜22:34 

9819M 横浜6:03 → 鎌倉6:28着、9:27発 →逗子9:33

9819Mの1991年12/22,23、1992年1/12、15(いづれも現地ベース)は横須賀まで運転

     横浜6:03 → 鎌倉6:27発 →逗子6:31 →横須賀6:41

 

過去のシュプール号はじめ、日本のスキー列車の歴史をまとめた一連のブログはこちらからご覧になれます。あわせてよろしくお願いいたします。

 

参考資料 1986年〜2000年のJR時刻表、交通公社時刻表、JTB時刻表、鉄道ダイヤ情報(シュプール号運転情報)