本サブテーマに対応するatp***さんの解説を掲載します。atp***さんは、私同様、少年時代にブリーフ着用への逆風を経験した方です(注1)。その逆風への対応と克服を模索する中で、ブリーフ第一世代の方達から、当時は状況がまるで違っていたと聞かされたそうです。今回はそのようなことを聞くまでの経緯を書いていただきました。

(注1)同氏の受けた逆風とその跳ね返し体験については以下を参照下さい:
https://ameblo.jp/lin-baelder/entry-12687163796.html?frm=theme
https://ameblo.jp/lin-baelder/entry-12685223288.html?frm=theme


文章主体の記事になりますので、前回からの方式(各パラグラフの冒頭にポイント表示)をatp***さんも了解・対応いただけました。

以下atp***さんの本文
―――――――――――――――――――――――――――――――――――

1.ブリーフへの逆風と自己対応
小学5年になって気付いてみると、クラス内で最後のブリーフ常用者となっていて、lin-baelderさんの言う「ブリーフ逆風」をモロ受けすることとなりました。自分としては「下着の種類でこんなの不条理!」との思いが強かったのですが、多勢に無勢ということで、やむなく短パン調で無難そうなトランクスや周囲で多数派のボクサーへの穿き換えを試しました。こうした我慢の試行を約1年近く続けましたが、「①何故こんなことをしなけりゃいけないのか!?」の思いが強く、最後は「②やはり自分に合わないものは合わない!」と思い決め、「③覚悟のブリーフ復帰」をしました。その後は周囲から逆風が吹いても「④そんなの個人の(カラスの?)勝手でしょ!」で対処していました(しばらく経ったら微風も吹かなくなって一件落着でしたが・・)。

2.従兄弟達も逆風体験して上世代に訴え+愚痴
このように①~④の経緯を経て行く中で、親戚の集まりで従兄弟達と話したとき、彼らの多くもブリーフ逆風の経験があることを知りました。そしてさらに、私達小中生グループと父親・伯父・叔父達が学校生活のことを雑談する機会も幾度かあり、いわばファッション関係のことが話に出て、「ブリーフ逆風」も話題に上りました。

3.親達の当初反応
当初の大人達の反応は「へえ~今はそんなことあるの?」程度でした。そうして言ってくれたアドバイスは、「まあそれぞれ個人の好みだし、雑音や悪口を入れてくる子がいたら相手にしなければいいんじゃない」との当たり障りのないものでした。

4.親達世代への突っ込み

しかし私達(特に直面中の者)としては、「そんな甘い話じゃない!」ということで納得がいきません。「個人の好み程度で済んでないし、こんな逆風おかしいでしょ!」と訴え、さらに「お父さん・伯父さん・叔父さん達はどうしたのよ!?」と突っ込んで行く方向となりました。

5.自分達とは真逆体験した「ブリーフ第一世代」
すると父親達から返ってきたのは、なんと「お前や○○君達の状況は自分達世代の体験とは真逆(!)だよ」という思いがけない言葉でした。これには、当時の自分達にはびっくりでした。こちら側からすればまさに「それマジ、それともからかい・・・!?」という感じです。

6.ブリーフ第一世代を聴取(ブリーフが仲立ちした世代間対話(笑))
こうして両者が互いに現在と過去の違いに驚くとともに、状況の真逆変化に一種の面白さを覚えて、思わぬ「下着話(笑)」になって行くことが複数回ありました。

こうした思わぬ成り行きの話で、上の世代(=まさしくブリーフ第一世代!)が実体験した当時の真逆状況を知ることになりました。

(今から振り返ると、そこで聞き知ったことが、自分が②③④のような意志や対処を採ることに結びついたのではないかと考えています。)

 

・ブリーフに対する一般的イメージ

 ブリーフについての国内一般の評は、少し前までは高齢者と子供用の下着パンツというものでした。現在に至ってはさらにマイナスのイメージが高まって、「高齢者や子供も穿かなくなった流行外れのダサい下着」とされ、時には「キモい」とまで酷評されるようです。


・逆風の実体験

生まれが1990~2010年位の男子の多くはこのようなブリーフに対する逆風(流行外れ・ダサい評)を少年~青年期に経験しているはずです(注1)。このため、逆風の雰囲気とブリーフ着用者に降りかかってくる種々のマイナス現象を否が応でも(人によっては存分に)実感的に受け取らざるをえませんでした(注2)。


・流行外れの前は「流行の始まり → 一般流行」だった筈!

しかしここで、「ブリーフは流行外れ」というのを逆に考えると、そうなる前は「海外の下着のブリーフが受け入れられ・流行して・国内一般に広がって皆が穿くようになっていた」ことになります。


・わき起こる疑問

では、「今ではダサくてキモイとまで酷評されるブリーフの流行はどのように始まり・進んで行った」のでしょうか? そう考えたとき、私達は実はブリーフの流行・普及の過程について具体的なことをほとんど何も知らないことに気付かされます。

 

・当時の受け入れ感覚は一体どうだった?

例えば、第二次大戦後の日本にブリーフが米国から移入されて来たとき、国内での反響や受け入れ感覚はどうだったのでしょうか?また、終戦前まで男子下着として一般的だったフンドシや猿股(トランクスの先祖形)とは相当に異なったタイプを穿いたり穿かせたりすることへの抵抗はなかったのでしょうか?


何しろ今の国内では、ブリーフについての批評(酷評)は他タイプに対する批評をはるかに上回っているのですから。それはつまり、日本人はブリーフという下着について種々の面で非常に敏感で小ウルサイことを意味しています。そうなのに当時はなぜ「国内男子は皆ブリーフの段階に至った」のでしょうか?


・既存の一般解説には実感が欠落

こうした疑問については、Wikiやメーカーによる説明がWEBにありますが、説明内容の矛盾を含めて表面的で類型的(通り一遍)との印象を受けます。その原因は、いわば「ブリーフ第一世代」の方々の体験や実感が反映されていないために、こんな感じになっているのだろうと思っていました。


・実感欠落を補う方法

その解消には、「ブリーフ第一世代」の方々自身から直接説明を頂ければ、当時の状況をある程度までは実感的に捉えられるのでしょう。しかし第一世代の方々はもうかなりのご高齢の筈ですから、今では難しいでしょう。次善の策としては、1~2世代下の私達が親やその同世代親族から聞き及んだことを比較し、検討し、纏めていくことになるのでしょう。


このような観点から、「第一世代からの聞き取り経験やそれに基づいた考察(大げさかもですが(笑))」を以下のサブテーマに加えていこうと思います。


(注1)ご多分に漏れず、私自身も小5後半頃からその逆風にさらされ、小6始めに別タイプに移行したことがあります(半年後にはウンザリしてブリーフ復帰してしまいました(以下の記事の補足を参照下さい)。

https://ameblo.jp/lin-baelder/entry-12688850399.html?frm=theme


(注2)例えば以下にある3つの記事のようにでした。

https://ameblo.jp/lin-baelder/theme-10118502194.html


(注3)本テーマは文章主体になりそうですので、皆様に見やすく・受け取りやすいように、各段落(パラグラフ)のポイントを冒頭に太字項目として記しています。以後執筆の方々にもこの方式をお願いし、了解いただいています。
前回までに、国内で一般的なブリーフは前面部の形が欧州型ブリーフ(Slip)とは違っていて、穿き上げたときの前開きの形とその印象について説明頂きました(注1)。今回から、それが感触や穿き心地とどう関係するかを説明頂きます(注2)。

今回の内容にも、前開き型に慣れた者にとっては思い掛けない点が多く含まれています。その視点は、欧州型ブリーフ(Slip)を幼時から常用し、帰国して初めて国内型を穿き、さらに登校時(ブリーフ)と家庭内や校外活動時(slip)との穿き分けを経験した方ならではのものと思います。ブリーフとslipは同一カテゴリーとされていても、両者の違いは以外と大きく、穿き心地の細部にまで及んでいることに気付かされます。

その違いを生むブリーフ側の要因を、kia***さんは「前開き現象」と名付けていますが、言い得て妙と思います(注3)。前開き型を穿き慣れてきた皆様も、意識してみるとその現象に改めて気付いてなるほどと思われるでしょう。


注1)今回に先だってKiia***さんが整理した「目次」をご覧下さい。
注2)コロナ明けで超多忙化し、現況も同様のため、予定内容を分割してupしていきます。
注3)分析の視点や記述から「あるいは・・」と思って伺ったところ、専門は違いますが、同じく理工学分野に従事とのことで納得でした(同氏了解済みメモ)。

以下、kia***さんの本文

-----------------------------

4-1.ブリーフ前開き現象-1:出入口からの感触・・縁取りの左右接近とズレ動き

★今後のテーマ背景

(1)これまでの項目・内容と相互関係について整理した以下のノートをご覧下さい。https://ameblo.jp/lin-baelder/entry-12802521505.html
 
前回と(比較3)および前々回(比較4)で、国内で普通のブリーフと欧州型ブリーフ(Slip)では前面部の形が違うこと、前者を穿き上げると前開きの形が変化することを述べました。また、その変化後の前面部が与える印象にも触れました。以後の2~3回は、この「形状変化:前開き現象(注4)」が、肌着として最も大切な感触と穿き心地にどう影響するのか」について述べようと思います。

基本となるのは、(slipが普通であった)私が帰国後の経験の中で感じ、思い、考えたことになります。ただし、モデル的な要素分解や整理は12~13才の身には無理でしたから、現在の目で当時を振り返って整理し、まとめています。「slipにはないブリーフの前開きで発生する現象とそこから引き起こされる諸事象」と言うと大袈裟になりますが(笑)、対象となる事項はかなり多岐にわたると思います。

―――――――――――――――――――――――――
注4)子供時代から理系諸現象に関心があり、周辺で起こる事柄も「○○現象」と勝手に名付けて呼んでいました。その流れで、初めて穿いたブリーフで体験した事柄も「ブリーフ現象」と名付けていました。例えば、「今日も体育や部活中にブリーフ現象が起こった・・・」といった調子です(笑)。しかし、当面採り上げる対象のほとんどは「前開きの存在」に起因しています。そこで、「ブリーフ現象」よりも絞り込んだ、「(ブリーフの)前開き現象」と呼ぶことにします。
―――――――――――――――――――――――――――――――

4 前開きが生むブリーフ特有の感触(前開き現象)
4-1.ブリーフの前開き現象-1:出入口からの感触・・縁取りの左右接近とズレ動き

この章では、「(Slipにはない)ブリーフ特有の構造」がどのような感触と穿き心地を自分にもたらし、それをどう感じ、受け取ったかについて述べます。その「特有の構造」として上げられるのは以下の2つです。

[1]前開き

[2]ローレグカットの裾(太股付け根や尻の下側まである裾)。
https://ameblo.jp/lin-baelder/entry-12720909528.html?frm=theme
(★リンク先を訂正しました。図11と図12から、欧州型ブリーフ(slip)と国内型ブリーフの形状差が、前面側とヒップ側の両方でハッキリすると思います)

まずは[1]による「前開き現象」を採り上げます。具体的には「前開き部が着用時に左右に広がって形状変化すること(下記記事参照)」から発生する諸事象」となります。
https://ameblo.jp/lin-baelder/entry-12750319274.html?frm=theme
https://ameblo.jp/lin-baelder/entry-12766038321.html?frm=theme

今回はその内の特に、「前開きの出口にある縁取り線の動き」がブリーフ初体験の者にどのような感触と穿き心地を与えたのかについて述べます。

(1)「ブリーフの前開き現象」とその構成要素
前回に述べたように、ブリーフを穿き上げると前開きの構造が左右に広がり、形が変化します。これをモデル的に図示したのが図18です



前開き着用前後モデル

図18 着用前後におけるブリーフ前開き(着色)部の形状変化。薄赤色は表側の生地、薄青色は内部側の生地。穿き上げるとと、①左(実線・表側開口部)右(点線・内側開口部)の縁取り線が互いに近づき、②その中央部が内側に湾曲して前開き二重部(薄赤・薄青の重複部)が狭まる。それと同時に、狭まった二重部の両脇にある一重部が左右に大きく広がる。

この図で左右の着用前後を比較すると、以下の変化要素①が同時に起こることが分かります。

①補強縁取り線の左右接近
 
左(実線・表側開口部)・右(点線・内側開口部)の補強縁取り線Cが湾曲しつつ互いに接近する。

②中央二重幅の縮小
中央部にある二重(ふたえ)の領域(薄赤と薄青の重複部)の幅が狭まり、その下側2/3の面積も減る。
 
③表裏開口部に近接する一重部の左右拡張
中央二重部が狭まる以上に、この両脇にある一重(ひとえ)の領域(薄赤と薄青の領域)が大きく広がる。

以下の再掲16図も合わせ見ると、①、②、③の実感が伝わるように思います。

ブリーフ着用前後-2

     再掲16図 ブリーフ前あき部の着用前と後の形状比較。      https://ameblo.jp/lin-baelder/entry-12750319274.html?frm=theme


以上①②③の変化は単独であるいは相互に連携して、「slipにはないブリーフ独特の感触」を生み出します。また、その程度と安定性は着用洗濯の繰り返しとともに変化していくことも当時経験しました。



(2)「ブリーフの前あき現象」がもたらす感触-1:縁取り線からの感触
(2)-1.前開き縁取り線の左右接近が生む感触

図19は穿き上げたときのブリーフ前開き形状被覆保持対象部(灰色楕円形で代表)との関係をモデル的に示しています。


briefs着用後被覆状況
 図19 穿き上げたブリーフの前開きと被覆保持部の状況モデル図。縁取り線の赤色部から特有の感触。
 
図から分かるように、ブリーフを穿き上げると、左右の縁取り線が、被覆保持した袋部の下側を直接あるいは内側生地越しに間接的に通過するようになります。

これは私にとって初めての経験で、図の赤色着色した帯域に「slipにはない“ゴロゴロ感”」とでもいう(謎の)感触を覚え、「へえ~、ブリーフってこんな感じなのか~!?」と思いました。

(2)-2.縁取り線位置の安定性の影響

この縁取り線による(ゴロゴロ)感触は新品と穿き慣れ品の両方で感じましたが、位置とその安定性に違いがありました。具体的には、新品に近いほど一定箇所で安定的なのですが、穿き込んだものでは複雑に変化しました。

つまり、穿き込みブリーフを洗濯乾燥後に穿くと、その直後の縁取り線位置はほぼ新品と同様でした。しかし、日常生活や校内活動で時間が経過して行くと、ともすると縁取り線(ゴロゴロ感触)の場所がズレ動くのを感じました。

着用後前開き状況簡易版

図19の再掲簡易版:着用後状況

その理由を当時なりに探ってみると、
1)前開きの使用で縁取りが段々伸びていく、
2)その伸びは洗濯乾燥すると縮んで、縁取りは新品長さ近くに戻る、
でも
3)着用後の生活活動や運動とともに1)の状態まで伸びて緩む、
といったことが原因と気付きました。

このような現象に加えてさらに、縁取り線の左右接近度やその内側の) (型の湾曲レベルによっては、縁取り線が被覆保持対象のロッド部を斜め横断するため、位置の定まらない異物感のようなものを覚えました。

以上の現象は、新品に近いものほど生じにくく、穿き込んで縁取り線が伸びて緩んだブリーフほどよく生じる傾向でした。とくに、下半身を大きく動かす日常動作やスポーツでよく起こり、テニスのような片足を大きく踏み出すようなときに顕著でした。

図20は実際の着用状況の例です。図18~19図と合わせ見ると、「(2)-1~2のブリーフ現象と感触・穿き心地への影響」について、具体的な感じを分かって頂けるように思います。

穿き上げ状況実例

図20 成人用(左)とジュニア用(右)ブリーフの着用状況例 (c.f.図19)。


(2)-3.Slipとの対比

図21はslipの穿き上げ状況モデルです。slipでは前開きとその縁取り線が存在しません。したがって、縁取り線移動、同位置の不安定化、そしてこれらに起因する感触が本来的に生じないことが了解できます。

逆にいえば、このようなslipに幼児期から慣れていた者にとって、ブリーフの「前あき現象」から来る上記(2)-1~2の感触は、物珍しさ、軽い驚き、それに一種の新鮮味(?)を覚えさせるものでした。


slipの着用後状況

図21 Slipの穿き上げ状況モデル(c.f.図19)。

次回は「前あき現象」のpart-2として、穿き上げ後の「②中央二重(ふたえ)幅の縮小」の影響について述べる予定です。


     Slip 対.ブリーフについて個人体験を述べてきましたが、当初想定よりもかなり長編化してきました(末尾注1)。このため、当初からの標題付けでは、各回のテーマ内容と相互関係が分かりにくくなってきたように思います。そこでlin-baelderさんと相談の上、各回の標題をより具体的なものに修正するとともに、目次項目として以下のように整理しました。今後、記事のupとともに以下の目次も追加改訂していきます。

1. Slip派自覚までの経緯概要

Slip(欧州型ブリーフ)派を自覚した経緯概要
https://ameblo.jp/lin-baelder/entry-12701654353.html?frm=theme

2.Slipに対する周囲反応・対策と限界

2-1.slip(欧州型ブリーフ)に対する周囲反応
2-2.ブリーフ併用の隠れslip派(対策1)
https://ameblo.jp/lin-baelder/entry-12705936851.html?frm=theme

2-3.ボクサー併用の隠れslip派(対策2)
https://ameblo.jp/lin-baelder/entry-12709371780.html?frm=theme

2-4.トランクス併用の隠れslip派(対策3)と対策1への復帰
https://ameblo.jp/lin-baelder/entry-12712526892.html?frm=theme

3. slipと比べたブリーフの特徴と印象(毎日の両者比較)

3-1.形と着用感の相異概要(比較1)
https://ameblo.jp/lin-baelder/entry-12720909528.html?frm=theme

3-2.着用前(平置き)の前面デザインと構造の違い(比較2)
https://ameblo.jp/lin-baelder/entry-12729006992.html?frm=theme
https://ameblo.jp/lin-baelder/entry-12788893542.html?frm=theme

3-3.穿き上げると拡大する前面形状の違い(比較3)
https://ameblo.jp/lin-baelder/entry-12750319274.html?frm=theme

3-4.着用前面の印象:前開きブリーフ vs. 前閉じのSlip(比較4)
https://ameblo.jp/lin-baelder/entry-12766038321.html?frm=theme


4 前開きが生むブリーフ特有の感触(前開き現象)

 
4-1.ブリーフの前開き現象-1:出入口からの感触・・縁取りの左右接近とズレ動き


4-2.ブリーフ前開き現象-2:二重幅縮小で生じる“外れ”現象

4-3.ブリーフの前開き現象-3: 一重部拡張による大規模外れ


次回以降の予定

二重幅の縮小や一重部の左右拡大がもたらす特有の感触、小用動作とその影響、裾カットの影響(ローレグカットとノーマルカットの違い)、汗ばみ・熱籠もりとの関係、高温多湿時期の軽快・快適性、継続使用に伴う形状・穿き心地の変化等について当時、ブリーフとslipで経験比較したことを記します。

(注1)帰国後の体験について、種々の事象を思い出し、当時思ったこと、考えたこと(自分なりの原因究明や理由付けなど)、さらに現在の目でその背景なども見直していくと、当初予定よりも関連事項と内容が相当に多岐にわたってくる結果となっています。ある意味、”内容豊富なテーマ(笑)”なのかも知れません。
最近になってネット通販等で見かける「スリップブリーフ」についての解説です(注1) 商品のネット画像を見ると、国内で一般的な前開き付きのブリーフとは違って前閉じで、ビキニブリーフの一種のようにも見えます。それなのになぜ「ビキニブリーフ」と呼ばれずに、「スリップブリーフ」といわれるのでしょうか。

 

(注1)「本ブログテーマ:ブリーフの形と種類」の一項目として掲載しました。連載中の「slip派への経緯」と密接に関係するとともに、最近は国内通販でも該当商品を見掛けるようになったため、皆様に参考にして頂ける内容と思います。


Kia***さんによる解説

――――――――――――――――――――――――――――――

スリップブリーフ(slip briefs)とは要するに、「“スリップ型”のブリーフ」ということです。ここでスリップ(slip、Slip、slipslipy・・・等)は、米(英)語圏の外のほとんどの大陸側欧州語で、ブリーフ(briefs)のことを指します。


したがってslip briefsのslipを英語に直すとbriefs(-type) briefs、カタカナ書きすると「スリップ(型)ブリーフ」は「ブリーフ(型)ブリーフ」となって、ナンセンスになってしまいます。しかし、米(英)圏側としては下記理由から「スリップ」の語を被せて、彼らにとって普通の「ブリーフ」とは区別しているということです。


briefs-slip比較知恵
 
図1 A(米(英)型(注2))とB(欧州型)のブリーフの典型例

 図1Aの米(英)型B大陸側欧州型(以下“欧州型”)の比較です。Aは日本でもお馴染みのブリーフです。コットン主体生地で前開き付き、裾が股の付け根より下に沿っているローレグタイプ(注3)です。このタイプのスタンダード型では、穿き込みがかなり深いハイ・ライズ(注3)傾向のものが多いようです。

一方のBは南欧・北欧・中欧からロシアまでの各国で共通のスリップです。やはりコットン主体の生地ですが、前閉じで裾が太股の付け根に沿うノーマルカットになっています。穿き込みはミッドライス~ややローライズの傾向です。これらの特徴は欧州側の各国で共通しています(注4)。見てのとおり、両者は前開きの有無、それに関連したフロント部や裾のカットデザインに相異があり、着用感もかなり違います。


(注2)最近の英国内の状況は、本ブログの案件に関する限り、大陸側に近づいています。このため、旧記事の「英米」を、現況に沿って「米(英)」ないし「米日(英)」と修正標記しています。
 
(注3)裾の長さ・形と穿き上げ深さについては以下をご参照下さい。 
(注4)南米・中米のスペイン語・ポルトガル語圏、また知る限りではトルコなどの欧州隣接国でも同様です。

このように、米(英)側から見て、「同じbriefsの語では一括りにしにくい」こと、また英(注5)さらに米にもヨーロッパブランドのブリーフが入ってきたことから、区別するためにslip briefsという語を編み出したのでしょう。

 

(注5)英国におけるブリーフのタイプは、EU離脱以降(皮肉なことに?)、大陸側欧州に融合の傾向です。M&SやNEXTの現地サイトを見ると、slip型が相当割合を占めるようになっています。私が子供時代に、周囲にいた英国人で目にしたY-front前開き型(注6)は成人用が激減、ジュニア用は消滅しています。


(注6) https://ameblo.jp/lin-baelder/entry-12694015287.html  の図1A


なお、このslip briefsはいわゆる「ビキニブリーフbikini briefs」のように見えると思います。特に日本ではそのようで、私も中学入学で帰国して以来よくそう聞かれました。それで「ビキニとかじゃなくてヨーロッパで普通のブリーフ」と説明していました。https://ameblo.jp/lin-baelder/entry-12704667816.html?frm=theme (帰国直後の状況」slipへの周囲反応)


しかしその内に面倒になり、「ビキニ?」と聞かれると「そうかも」と答えていました。しかし、図Bはあくまで男性パンツのslipであり、子供用から大人用までごく普通に製造・販売・購入され、着用されているものです。


これを例示したのが図2で、上側が成人用(紳士用)のブリーフとslip、下側がジュニアのブリーフとslipの比較です。但し、成人用のスタンダードブリーフは一般に大きく重厚なので、ここではセミビキニタイプをslipと比較しています。


S-B比較成人・子供用

図2 米(英)日型のブリーフ(左側)と欧州型型ブリーフ(右側:Slip)の比較。両者間での形状・スタイルの違いは成人用(上)とジュニア用(下)とで共通(注7)。


ブリーフとslipのデザイン差は成人用からジュニア用まで同様なことが分かります。両タイプの間のこのような違いの区別を意識して、米(英)圏ではslipの上に更にclassicの語を被せてクラシック・スリップ・ブリーフ(classic slip briefs)と表記している例があり、紳士用は日本国内の通販サイトでも見かけるようになりました。


(注7)ポイントは前開きの有無、足口カット、中央二重部の形と幅にあります。下記記事とその中の図24を参照下さい。

https://ameblo.jp/lin-baelder/entry-12814207065.html?frm=theme (ブリーフ前開き現象-2)